杉の樹大学同窓会(杉同)

杉の樹大学同窓会では杉並区高井戸地域区民センターにて時宜を得たテーマの講演会等を開催し高齢者の方々にご参加戴いています。

アメリカの出口戦略とアベノミクス

2013年11月30日 | Weblog

  

 

アメリカの出口戦略とアベノミクス

            日時 2013年11月30日(土) 13:30~16:00

              会場 杉並区高井戸地域区民センター 2階 多目的室

             講師 元大和証券常務取締役  川口碩保氏

内容 2008年9月15日のリーマン・ブラザーズ破たんから5年、米国経済の回復に伴い連邦

        準備制度理事会(FRB)は量的金融緩和策の縮小・出口戦略の検討に入った。基軸通

        貨国米国の金融政策の変更に伴い世界各国はその対応策を検討せざるを得なくなって

        いる。米国・EU・中国・新興国・日本・中近東など各国の現状を詳細に分析し、米国の

        金融引締めの各国への影響について述べ、ている。21世紀に入り、先進国(G7)と新

        興国の政治・経済の格差が縮小し、世界経済はEUのロシアへのエネルギー依存

        は続き、米国・日本などアジア諸国は中国と相互依存の関係にあるなか、領土・

        領海問題での中国の一方的な自己主張による安全保障の問題、基軸通貨国米国の

    量的金融緩和の縮小、SNSが大衆を動かす中東問題など下押しリスクを増大させて

    いるとする。    

    かかる世界状況のもと、日本のアベノミクスについて、言及する。1.衆議院選挙と夏の

    参議院選挙で圧倒的な勝利を得て「政治のねじれ」を解消し民主党政鳩山権との違い

    を示し、政権基盤を強化したこと、2.熱心で精緻なオリンピック招致活動や国連総会や

    NY証券取引所での積極的な外交活動によって国際的にもその実行力・リーダシップを

    証明してみせたこと、3.日本人に「世界から選ばれる素晴らしい国」と自信と夢をもた

    せたこと、4.国民・企業に7年先の政治的、経済的目標を与え日本の将来像を示した

    こと、5.直接的な経済効果(約3兆円)だけではなく、副次的な経済効果(約150兆円)

    をもたらすこと、6.インフラ整備や観光客招致、カジノ計画含む観光需要、スポーツ省

    の新設などをつうじて民間需要を刺激して雇用や賃金にも良い影響を与えるとし、成長

    戦略を補完する第4の矢になったとする。一方、アベノミクスのリスクについては1.日本

    は人口減少時代に入り労働力が減少、経済規模が縮小すること、2.国の歳出・歳入

    は改善されるとは考えられない、1,000兆円を超える国の借金全体の平均金利が上

    昇し成長の糧を得られない、3.日銀の金融緩和政策には出口戦略が描けず保有する

    国債の価格リスクに耐えるのが困難になるとみる。そして、アベノミクスに欠けているの

    は成長のカギを握る人口問題・「質の高い労働力」「移民政策」にあると結ぶ。