日時 2015年(平成27年)10月17日(土)13;30~16:00
会場 杉並区高井戸地域区民センター
主催 杉の樹大学同窓会
講師 川口碩保 生涯学習振興会会長 元大和証券常務取締役
概要 第2次大戦後の米国やG7の力が相対的低下し、中国やロシアの新大国の復活・台頭によって「国境線・領海」を変更する動きが顕著になってきている。特に中東地域・アフリカ、ウクライナ、南シナ海・東シナ海と地政学リスクが拡大・深化しつつある。スエーデンのストックホルム国際平和研究所の2014年の世界軍事費によれば急増し特に中国167%、ロシア97%と大きく増え、トップ5をみると、米国6100億ドル、中国2160億ドル、ロシア845億ドル、サウジ808億ドル、フランス623億ドルとなっている。
世界情勢 E U:ギリシャは低金利で借金を重ねチプラス首相は議会でEU案の受け入れを決議したがギリシャのユーロへの影響は不透明である。紛争が拡大する中東からの難民、移民がEUに殺 到反移民を掲げる極右政党が急伸している。イギリスの2017年のEU離脱の可否を問う国民投票や中・東欧のリーダ格のポーランドの大統領コモロフスキー氏が大統領選で敗れユーロ導入が遠のきチェコやハンガリーにも影響を与え欧州統合の動きが後戻りをしかねない状況になってきた。 米国:金融大国であるとともに製造大国であっる。国連によると2013年製造業付加価値シェアーでは1位
米国19%(実質1.7兆ドル)、2位中国18%(1.6兆ドル)、3位日本12%、4位ドイツ6% と続く。また、世界最大の農産物輸出国でもあり2012年の世界輸出シェアーは10%を超え6%前後で続くオラmmダやブラジル、ドイツなどを大きく引き離している。 政治;TPP(環太平洋経済連携協定)が米国議会で可決された大統領貿易促進権限法案によって大筋合意となり、TPPが実現すれば世界の40%、人口で10%を占める巨大貿易圏が誕生す る。欧州で進めているTTIP(環大西洋貿易投資協議)にも弾みがつき米国の通商政策が一気に加速することになる。外交面ではキューバ、イランとの国交正常化という成果もあげている。しかし、イランと敵対するイスラエル、サウジアラビアとの調整に問題が残る。イランとの国交回復は「ホルムズ海峡の緊張緩和」と「イラン原油の供給」が始まる効果がある。ロシアなど石油資源依存国にとっては大問題だが日本経済にとっては大きなプラスとなる。 経済;財政赤字(GDP比)は着実に縮小、直近の失業率は5.3%と完全雇用とみられる5%に接近し、フィッシャーFRB副議長も米国GDP(実質)の成長率は巡航速度(潜在成長率)である 2.5%程度まで回復したとしていた。しかし、中国初の不況の連鎖の可能性を含めてイエレン議長は利上げの時期を慎重に判断、先送りすることにした。
中国 成長は転換点を過ぎ製造業は下振れ圧力が強く、不動産開発や固定資産投資も伸びが鈍化、個人消費も新車販売から低下し、8/11人民元の切り下げを機に世界のリスクマネーが委縮世界の商品・金融市場大混乱に陥った。中国政府は新成長戦略へ移行しテコ入れ策「メードイン・チャイナ2025」をスタートさせている。少子高齢化が進み成長率は落ちると予想されキリスト教が増加しその増加を抑制している。
日本 本格的人口減少時代に入り、少子高齢化と財政再建問題を抱えて政府は債務問題の解決に迫られている。社会保障の増加に伴う厳しい見通しについて、債務残高、財政規律、
基礎的財政収支の問題となること、さらに2015年度一般会計の歳入、歳出について解説し、日銀の異次元の金融緩和などに言及する。
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