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1
京都の朝鮮学校が卑劣な人種差別攻撃に襲われたのと同時期の
2010年4月。
徳島県教職員組合が四国朝鮮初中級学校へ贈ったカンパを
「募金詐欺」などとして京都と同一の人種差別主義者の一団が
組合事務所に乱入し、所内にいた職員らに拡声器を向けて罵詈雑言を
浴びせかけるなど狼藉の限りを尽くし、その様子をネット上にさらし、
さらに後日徳島市中心部で職員を誹謗中傷し脅迫する街宣を行った――。
2
この「徳島県教組襲撃事件」(「徳島事件」)の民事裁判控訴審、
第1回口頭弁論がさる8月31日に高松高等裁判所で開かれ、
傍聴支援に京都から参加しました。
当日は平日昼の土砂降りのなか、120人近くもの方々が地元や
関西から高裁へ支援に駆けつけ、抽選券の配布に長い列をなし、
裁判所職員による物々しい警備体制を通過して76人が第1号
法廷傍聴席に着きました。
開廷と同時に訴訟手続が開始され、裁判官が時間制限を加えようと
するところ原告のTさんは10分ほどの意見陳述を気丈に行われました。
相手方は被告らの一人の女性が代理人と出廷していましたが、みずからの
した行為の深刻さを受け止める様子はなく、あっけらかんとした体で
手続に応じていました。
1時間強のやりとりを経て閉廷し、多くの支援者の皆さんと弁護士会
ホールに赴き、支援報告集会に参加しました。
3
弁護士の冨増四季さんやジャーナリストの中村一成さんがすでに詳しく
伝えていらっしゃるとおり(※)、「徳島事件」の最重要争点は、
第一審裁判所が原告の損害賠償請求は一部認めたものの、被告らの行為は
県教組の活動等に対する批判にとどまり、「朝鮮人に対する差別を直接的に
扇動・助長するような内容まで伴っているとはいいがたく、本件抗議活動
〔1〕それ自体をもって、人種差別思想が発現したとはいえない」などと
判示した(今年3月27日徳島地方裁判所)点にあります。
これに対し、原告のTさんは控訴を決意され、法廷では「口にするのもはば
かられるのですが、被告らが「ゴキブリ朝鮮人」と人間以下の扱いをして
差別する人たちに対し、県教組が支援したことによる攻撃も、同じ構造です。
朝鮮人を差別すると、こんなひどい目に遭うんだということを知らしめると
同時に、マジョリティ社会での差別・偏見の拡散を狙っています」と訴え
ました。
この点について、弁護団は次回以降、徳島事件が京都の事件と人種差別扇動
という本質においては豪の差もないことを立証されていく予定です。
4
今回の傍聴支援には、四国の朝鮮初中級学校の校長先生も参加されていました。
校長先生は、「毎年、県教組が学校を訪問され、原告のTさんが組合の
書記長をされていたときに多くの支援を基金から宛ててもらったことを、
いつも覚えている」「これまで一傍観者であったことを痛切に考えている」
「でも、これから、行動いかんによって、勝利を勝ち取ることができるのだと
感じた」と集会で発言されました。
この裁判は、朝鮮人に対する人種差別扇動との闘いの最前線の一つにほか
なりませんが、40年近く社会科教師として教職人生を子どもたちとともに
歩まれてきた原告Tさんの尊厳を取り戻す闘いでもあります。
Tさんは陳述をこう締めくくりました。
「徳島地裁判決がそのまま通ることになれば、日本の国の表現の自由は、個人を
攻撃する自由もあり、人を差別する表現の自由もありという、言いたい放題、
やりたい放題の自由を認めてしまうことになってしまいます。子どもたちが
未来に希望と夢をのびやかに思い描きながら生きることのできる社会にする
ためにも、正当なる判決を求めます。」
Tさんの尊厳が回復されるということは、日本全国の朝鮮学校の「子どもたちが
未来に希望と夢をのびやかに思い描きながら生きることのできる社会」が
到来することでもあるのです。
5
次回の口頭弁論は、11月18日(水曜)の13時30分からです。
高松高等裁判所に人種差別の本質に迫ることを求めるべく、また多くの皆さんと
関西から傍聴に駆けつけたいと思います。
※冨増さんブログ
中村さん記事
「差別を許さず生きていくために――在特会らの襲撃を受けた徳島県教組・
前書記長の闘い」(『週刊金曜日』2015年3月13日(1031号)
30-32頁)
京都の朝鮮学校が卑劣な人種差別攻撃に襲われたのと同時期の
2010年4月。
徳島県教職員組合が四国朝鮮初中級学校へ贈ったカンパを
「募金詐欺」などとして京都と同一の人種差別主義者の一団が
組合事務所に乱入し、所内にいた職員らに拡声器を向けて罵詈雑言を
浴びせかけるなど狼藉の限りを尽くし、その様子をネット上にさらし、
さらに後日徳島市中心部で職員を誹謗中傷し脅迫する街宣を行った――。
2
この「徳島県教組襲撃事件」(「徳島事件」)の民事裁判控訴審、
第1回口頭弁論がさる8月31日に高松高等裁判所で開かれ、
傍聴支援に京都から参加しました。
当日は平日昼の土砂降りのなか、120人近くもの方々が地元や
関西から高裁へ支援に駆けつけ、抽選券の配布に長い列をなし、
裁判所職員による物々しい警備体制を通過して76人が第1号
法廷傍聴席に着きました。
開廷と同時に訴訟手続が開始され、裁判官が時間制限を加えようと
するところ原告のTさんは10分ほどの意見陳述を気丈に行われました。
相手方は被告らの一人の女性が代理人と出廷していましたが、みずからの
した行為の深刻さを受け止める様子はなく、あっけらかんとした体で
手続に応じていました。
1時間強のやりとりを経て閉廷し、多くの支援者の皆さんと弁護士会
ホールに赴き、支援報告集会に参加しました。
3
弁護士の冨増四季さんやジャーナリストの中村一成さんがすでに詳しく
伝えていらっしゃるとおり(※)、「徳島事件」の最重要争点は、
第一審裁判所が原告の損害賠償請求は一部認めたものの、被告らの行為は
県教組の活動等に対する批判にとどまり、「朝鮮人に対する差別を直接的に
扇動・助長するような内容まで伴っているとはいいがたく、本件抗議活動
〔1〕それ自体をもって、人種差別思想が発現したとはいえない」などと
判示した(今年3月27日徳島地方裁判所)点にあります。
これに対し、原告のTさんは控訴を決意され、法廷では「口にするのもはば
かられるのですが、被告らが「ゴキブリ朝鮮人」と人間以下の扱いをして
差別する人たちに対し、県教組が支援したことによる攻撃も、同じ構造です。
朝鮮人を差別すると、こんなひどい目に遭うんだということを知らしめると
同時に、マジョリティ社会での差別・偏見の拡散を狙っています」と訴え
ました。
この点について、弁護団は次回以降、徳島事件が京都の事件と人種差別扇動
という本質においては豪の差もないことを立証されていく予定です。
4
今回の傍聴支援には、四国の朝鮮初中級学校の校長先生も参加されていました。
校長先生は、「毎年、県教組が学校を訪問され、原告のTさんが組合の
書記長をされていたときに多くの支援を基金から宛ててもらったことを、
いつも覚えている」「これまで一傍観者であったことを痛切に考えている」
「でも、これから、行動いかんによって、勝利を勝ち取ることができるのだと
感じた」と集会で発言されました。
この裁判は、朝鮮人に対する人種差別扇動との闘いの最前線の一つにほか
なりませんが、40年近く社会科教師として教職人生を子どもたちとともに
歩まれてきた原告Tさんの尊厳を取り戻す闘いでもあります。
Tさんは陳述をこう締めくくりました。
「徳島地裁判決がそのまま通ることになれば、日本の国の表現の自由は、個人を
攻撃する自由もあり、人を差別する表現の自由もありという、言いたい放題、
やりたい放題の自由を認めてしまうことになってしまいます。子どもたちが
未来に希望と夢をのびやかに思い描きながら生きることのできる社会にする
ためにも、正当なる判決を求めます。」
Tさんの尊厳が回復されるということは、日本全国の朝鮮学校の「子どもたちが
未来に希望と夢をのびやかに思い描きながら生きることのできる社会」が
到来することでもあるのです。
5
次回の口頭弁論は、11月18日(水曜)の13時30分からです。
高松高等裁判所に人種差別の本質に迫ることを求めるべく、また多くの皆さんと
関西から傍聴に駆けつけたいと思います。
※冨増さんブログ
中村さん記事
「差別を許さず生きていくために――在特会らの襲撃を受けた徳島県教組・
前書記長の闘い」(『週刊金曜日』2015年3月13日(1031号)
30-32頁)