こっぽんおりブログ

朝鮮学校と民族教育の発展をめざす会・京滋(愛称:こっぽんおり)のブログです。

新年もどうぞよろしくお願いいたします

2023-01-01 23:08:00 | おしらせ
2022年、ご支援くださったみなさまのおかげで、在日コリアン同胞のみなさんとともに、日本社会の市民、韓国社会の市民いっしょに、私たちみんなの朝鮮学校「ウリハッキョ」を支えることができました。
心から感謝いたします。

新年も、みなさんとともに、民族教育の発展へ、共に生きる社会をめざして力をつくします。
どうぞよろしくお願いいたします。

新しいサイトと並走してきましたが、
このブログは2022年をもって停止します。
これからはこちらをご覧ください。

ブログ | 朝鮮学校と民族教育の発展をめざす会・京滋こっぽんおり

朝鮮学校の民族教育が発展していくことは、日本社会にとって重要な目標だと考え、民族教育を支援しています。京都・滋賀の朝鮮学校をはじめ、ブラジル学校や、日本の学校の...

こっぽんおり

 

引き続き、よろしくお願いいたします。

2022年度こっぽんおり総会

2022-04-21 00:14:00 | 活動報告

4月18日、2022年度こっぽんおり総会を開催しました。

総括・決算案/監査報告

方針・体制・予算案が採決されました。

総会のために協力してくださったみなさん、本当にありがとうございました。


参加者の発言から、こっぽんおりの活動にとどまらない、それとつながる豊かな活動が胎動していることを感じる総会でした。

この絆を絶やさず、広げ、ともに歩んでいきたいと思います。


新年度もどうぞよろしくお願いします!


○●朝鮮学校・保健室基金●○

【毎月の寄付はこちらから】

https://congrant.com/project/kopponori/3599 

1回の寄付はこちらから】

https://congrant.com/project/kopponori/3564 

【会員募集しています!】

https://congrant.com/project/kopponori/3600






韓国モンダンヨンピルから

2022-03-12 23:40:00 | 活動報告

216日、韓国で朝鮮学校を支援している市民団体「モンダンヨンピル」から、朝鮮学校の保健室の取り組みを支援するための募金が贈られました。

コリアNGOセンターが窓口になってくださり、こっぽんおりに伝達していただきました。


これからもともに!

モンダンヨンピルのみなさんと一緒に

ウリハッキョとともに歩めてとてもうれしいです。

ありがとうございます!

앞으로도 함께!

몬단 영필 여러분과 함께

우리학교와 함께걸을  있고 너무 기뻐요.

감사합니다!


モンダンヨンピルサイト

http://www.mongdang.org/jp/


モンダンヨンピルの総会に送った祝電





朝鮮学校・保健室オンライン基金が紹介されました

2022-03-05 00:10:00 | おしらせ

京都新聞で、オンライン基金の取り組みが紹介されました。

[京都新聞]「全国唯一」常勤養護教諭いる京都朝鮮初級学校 市民団体が支援へ基金設立(34日)


ぜひ、朝鮮学校応援の輪に加わってください。

○●朝鮮学校・保健室基金●○

【毎月の寄付はこちらから】

https://congrant.com/project/kopponori/3599


1回の寄付はこちらから】

https://congrant.com/project/kopponori/3564


【あなたもぜひこっぽんおりに!】

https://congrant.com/project/kopponori/3600


【振込先】

ゆうちょ銀行 振替口座:00910-7-305016

加入者名:朝鮮学校と民族教育の発展をめざす会・京滋

振替用紙に「保健室」「朝鮮学校」とご記入ください


【こっぽんおりサイト】

https://mezasuhakkyok.wixsite.com/website

ブログからサイトにリニューアルしました!


引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。


12月26日ヘイトクライムのない社会をめざす市民集会

2021-12-18 15:03:00 | おしらせ
下記に参加フォームがあります。
関西の方も全国の方も、ぜひご参加ください!

◆□◆ 緊 急 集 会 ◆□◆
ウトロでの放火事件を許さない!
ヘイトクライムのない社会をめざす市民集会

2021年 12月26日(日)
午後2時 開始(午後3時30分終了予定)
同志社大学今出川キャンパス明徳館M21教室

主催)
京都府・京都市に有効なヘイトスピーチ対策の推進を求める会
同志社コリア研究センター
同志社大学人文科学研究所第8部門研究

プログラム)
・ウトロ放火事件、映像上映
・ウトロの団体からの訴え
・求める会からヘイトクライム根絶をめざす訴え
・海外からオンライン中継、ビデオメッセージ
・集会アピール文の発信

感染対策を講じたうえで200人以上が参加でき
る会場を用意しました。ご参集お願い致します。
会場ではマスクをご着用ください。体調不良の場
合はオンライン参加に切り換えるなどお願い致し
ます。「ウトロ放火事件を許さない!」「ヘイト
クライムをなくそう!」という声を多くの人たち
と世界に向けて発信する場にしたいと思います。

【 参 加 方 法 】
・感染症拡大防止対策の一環で基本的に事前申し
込みをお願いしています。
・下記フォームより12月24(金)24時までに
基本情報を入力したうえで当日ご参加ください。


【 オンライン参加(zoomウェビナー)】
・上記フォームより同じく12月24日(金)24
時までに基本情報を入力してください。
・当日午前11時までに参加用URLと配布資料
を主催より送付致します。

事件に対する会の声明文(12月15日発表)

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 周りにこの案内を広めてください! NO HATE!!
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ヘイトクライムを許さない、ともに生きる社会を

2021-12-18 14:46:00 | おしらせ
ウトロ放火事件(2021年8月30日)を受け、
京都府・京都市に有効なヘイトスピーチ対策の推進を求める会と、
一般財団法人ウトロ民間基金財団が12月15日に声明を出しました。

ヘイトクライムを許さない、ともに生きる社会を。
誰もが安心して生きられる日常を、心から望みます。

ヘイトクライム根絶をめざす声明文 ~ ウトロ地区の放火事件を受けて ~
京都府・京都市に有効なヘイトスピーチ対策の推進を求める会

ウトロ地区での放火容疑者逮捕を受けて
一般財団法人ウトロ民間基金財団

【報道】
京都・ウトロ放火は「ヘイトクライムの可能性」 市民団体が根絶目指し声明(12/15京都新聞)

朝鮮学校・保健室基金★オンライン&毎月寄付 スタート!

2021-11-06 09:47:00 | おしらせ

いつも、こっぽんおりへのご支援ありがとうございます。

今年4月から、京都朝鮮初級学校に初の養護教員の先生が赴任されています。

7月のこっぽんおり講座では実践をお話いただき、民族教育での学校保健活動のかけがえのない取り組みを学びました。


この大切な朝鮮学校の保健活動を安定して支えられるように、こっぽんおりが取り組んでいる「保健室基金」「朝鮮学校基金」の寄付サイトを立ち上げました。

オンラインからクレジットカードでも振り込んでいただけます。ぜひアクセスしてみてください。

いただいた基金は、京都・滋賀の朝鮮学校4校の保健室運営、学校支援に使わせていただきます。


【毎月の寄付はこちらから】

https://congrant.com/project/kopponori/3599


1回の寄付はこちらから】

https://congrant.com/project/kopponori/3564


【こっぽんおりサイトもオープン!】

https://mezasuhakkyok.wixsite.com/website

ブログからサイトにリニューアルしました!


オンライン化の目的

京都と滋賀の朝鮮学校・保健室運営を支えたいと思う人なら、全国どこからでも、さらに韓国など世界中からも支援できる!

これまでの寄付方法のほかに、毎月の定額自動送金を導入することで、安定して保健室を応援できる!

コロナ禍で会う機会が減っても、朝鮮学校を応援できる!


オンラインでのカンパしかできなくなるの?

今までどおり、振込用紙や手渡しでのカンパも大歓迎です。

ご自分に合った方法で、引き続きのご支援をお願いいたします!


【カンパ振込先】

ゆうちょ銀行 振替口座:00910-7-305016

加入者名:朝鮮学校と民族教育の発展をめざす会・京滋

振替用紙に「保健室」「朝鮮学校」とご記入ください


まわりの方にもお知らせください。

これからも、どうぞよろしくお願いいたします。






7/24 連続講座#2 「構造的な差別を乗り越えよう〜朝鮮学校の保健・発達支援活動から学ぶ」

2021-06-12 09:19:47 | 連続講座


3月から始まったこっぽんおり連続講座。

2回目の今回は、子どもたちの安心・安全を支える学校の保健活動に焦点を当て、朝鮮学校を取り巻く構造的な差別を読み解きます。

どうぞご参加ください。

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こっぽんおり連続講座#2 オンライン

「構造的な差別を乗り越えよう〜朝鮮学校の保健・発達支援活動から学ぶ」


2021724日(土)

開始:午後630分(午後830分終了予定)

参加チケット:500

学生は「学生専用チケット(無料)」を選べます

オンライン配信(特設視聴会場あり)

 期間限定で録画配信も予定


参加申込はこちら

https://kopponnori2021-2.peatix.com 


〈プログラム〉

【講演】

「朝鮮学校における学校保健活動から見える構造的差別について」

呉永鎬さん(鳥取大学教員)


【報告】

「特別支援科開設から2年間の取り組みについて」

朴欣玟さん(京都朝鮮中高級学校教員)

「保健室のようす、実践について」

曺元実さん(京都朝鮮初級学校養護教員)


ファシリテーター

さとう大(京都朝鮮学校保健室運営協議会事務局)


講座趣旨と異なる言動がある場合、主催者判断で参加をお断りすることがあります。


——講座の趣旨——

多くの朝鮮学校には日本の学校のような保健室がありません。

朝鮮学校は、法律で「各種学校」と位置づけられているため、

保健室設置費用の公的な助成がないのです。


公的支援がない中で、京都の朝鮮学校では、

2015年に「保健室運営協議会」を立ち上げ、特別支援教育の実践などを続けてきました。

そして、遂にこの4月から、醍醐の初級学校に初の養護教員の先生が赴任され、

新学期がスタートしています。


一緒に学び、より良い社会をめざす市民、地域住民として、

「私たち」の朝鮮学校・ウリハッキョの子どもたちを育み支えていきましょう。

どうぞお気軽にご参加ください。

————————————————

主催:朝鮮学校と民族教育の発展をめざす会・京滋(こっぽんおり)

mezasu_hakkyo_k@yahoo.co.jp


3/28 連続講座#1オンライン 知ろう! 民族学校 ~滋賀の朝鮮学校&ブラジル学校

2021-03-08 22:20:00 | 連続講座
こっぽんおり連続講座#1 オンライン
「知ろう! 民族学校 ~滋賀の朝鮮学校&ブラジル学校~」
2021年3月28日(日)
開始:午後2時(午後5時終了予定)
参加チケット:500円
学生は「学生専用チケット(無料)」を選べます

参加URL https://kopponnori2021-1.peatix.com 

オンライン配信(特設視聴会場あり)
ひと・まち交流館 京都 2階 オープンスペース(先着10人)

<プログラム>
【第1部】知ろう! 滋賀朝鮮初級学校
鄭想根さん(滋賀朝鮮初級学校校長)
高野真知子さん(みんな集まれ!ウリハッキョマダン 第1回実行委員長)

【第2部】知ろう! コレジオ・サンタナ学園
中田ケンコさん(コレジオ・サンタナ学園校長)
柳田安代さん(コレジオ・サンタナ学園スタッフ)
コーディネーター:河かおる(こっぽんおり共同代表、滋賀県立大学教員)

※1部と2部の後に5分休憩があります。質問をチャットでお寄せください。
※2部終了後に、50分ほど質疑応答、意見交換の時間を設けています。
※講座趣旨と異なる言動がある場合、主催者判断で参加をお断りすることがあります。


---講座の趣旨---
コロナ禍の民族学校は、国からの教育助成が一切ないなかで、
二重、三重の苦境に立たされ、それを乗り越えようと奮闘しています。
なかでもクラウドファンディングは大きな成果をあげました。
サンタナ学園(ブラジル学校)は学校存続のための支援を呼びかけ、
インターネット上で440万円を超える支援が寄せられました。
朝鮮学校ではクーラー設置のための支援が呼びかけられ、
京都・滋賀と合わせて同じく550万円を超える支援が寄せられました。

幅広く市民の寄付を呼びかけて民族教育をつづけようとする民族学校。
その背景には、民族学校が制度上差別されているという問題があります。
例えば、朝鮮学校の園児たちは幼保無償化の対象になっていません。
対象となったサンタナ学園も、コロナ失業で親が解雇されてしまった場合、
「保育の必要性なし」とみなされ無償化適用外になる矛盾をはらんでいます。
いずれも公私立幼稚園の園児たちとまったく異なる対応がされているのです。

滋賀朝鮮初級学校は60年を超える歴史をあゆんできましたし、
サンタナ学園は20年を超える歴史をあゆんできました。
ルーツとなる民族のアイデンティティを育みながら、
日本社会で胸を張って生きていくために、民族教育は必要不可欠です。
クラウドファンディングで全国の注目を集めた民族学校。
そこでおこなわれている民族教育の意義と日本社会へのメッセージを、
現場の先生から、そして民族学校の強力なサポーターから、発信してもらいます。
知ろう!民族学校。

参考(クラウドファンディングページにリンク ※プロジェクトは終了しています)
『子供たちを守りたい!』滋賀県のブラジル人学校の存続のための支援プロジェクト
コロナ禍で学校運営する京都・滋賀の朝鮮学校を応援しよう!
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主催:朝鮮学校と民族教育の発展をめざす会・京滋(こっぽんおり)
mezasu_hakkyo_k@yahoo.co.jp
https://blog.goo.ne.jp/kopponori 

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ヘイトスピーチを名誉棄損罪で裁いた意義とわたしたちに残された課題

2021-02-13 16:35:41 | おしらせ
2月は朝鮮学校生徒への高校無償化適用を求める運動月間です。
いまのところ京都では集会や街頭行動の予定はありません。
 
そこで、このブログ記事にある文章をネット上で拡散して欲しく思います。
昨年12月14日に確定した「朝鮮学校名誉棄損事件裁判」判決に寄せた、
こっぽんおりからのメッセージをみなさまに届けます。
 
 
 
↓全文PDF
 
 

ヘイトスピーチを名誉棄損罪で裁いた意義とわたしたちに残された課題
-京都朝鮮学校名誉棄損事件裁判判決の評価-


2021年2月13日

朝鮮学校と民族教育の発展をめざす会・京滋(こっぽんおり)

 

 2020年12月14日、最高裁第3小法廷(林景一裁判長)は、京都朝鮮第一初級学校跡地前でヘイトスピーチ(2017年4月)をおこない名誉棄損罪に問われていた在特会元幹部の西村斉被告の上告を棄却した。これによりヘイトスピーチを裁く刑事訴訟として初めて名誉棄損罪による有罪判決が確定した。そもそもヘイトスピーチを名誉棄損罪として公判請求(2018年4月20日)したこと自体、本件が初めてのことであった。そのうえ、京都地裁判決(2019年11月29日)と大阪高裁判決(2020年9月14日)がともに有罪判決を下したことの意味は非常に重い。ヘイトスピーチを厳しく処罰する社会に向けて、さらに一歩前進したと評価できる。

 この裁判において、検察官は、①本件演説の動機には公益目的の特例要件が満たされないこと、②被告人の前科に在日朝鮮人への人種差別発言があったこと、③再犯のおそれが大きいことを指摘している。地裁、高裁の各判決も、被告人の発言の重要部分には真実性の証明も、それを真実と信じる相当な理由も認められないと述べ、名誉棄損罪を免れる特例には値しないと断じている。これは、京都朝鮮学園、弁護団、関係者たちが事件を決して看過せず、司法に積極的に働きかけたことで勝ち取った大きな成果である。それと同時に、2016年にヘイトスピーチ解消法が施行され、その後も各自治体で公的施設使用のガイドラインが策定されたり、2019年に川崎市議会がヘイトスピーチ禁止条例を全会一致で可決したりと、全国各地のヘイトスピーチを許さない運動が制度圏において拡大した成果でもある。

 しかし、この刑事裁判で、当事者の傷つけられた尊厳が回復されたとは言い難い。裁判の過程でヘイトスピーチとデマが一方的に繰り返されたほか、裁判官がレイシストの言説戦略にのせられ、朝鮮学校を攻撃するための言説の一部に公益目的を認め刑の確定において「考慮すべき事情」としたからだ。このことは、差別動機に基づく言動に対して処罰の甘い日本司法の課題を浮き彫りにした。

 被告は、前科(2009年京都朝鮮学校襲撃事件)の最終刑の執行後1年も経たないうちに本件違法行為を起こした。朝鮮学校跡地前の公園に立ち、朝鮮学校と日本人拉致問題を無理やり結びつけて学校を貶める主張を拡声器で発言している。有罪判決を受けても反省しないばかりか、同じ場所でヘイトスピーチを平然と繰り返す姿は、司法判断に唾を吐く行為と言えよう。それにも関わらず地裁判決は、「学校の業務を直接的に妨害した前科とは犯行様態が大きく異なるから量刑にあたって前科を過度に重視しない」との旨を述べ、差別犯罪の連続性、悪質性を断罪しなかった。高裁判決は事件の連続性を認めたが地裁判断を追認している。

 また、公判廷において、検察側が提出した証拠数は23と最小限にしぼられていたのに対し、被告弁護人は朝鮮学校に疑いの目を向けるジャーナリストや公安調査庁の資料など158の証拠を提出、被告証言の場では在日朝鮮人への対応を「外来魚駆除」に例える発言が反論も制止もされずにつづけられた。そして、判決は「被告人は、主として、日本人拉致事件に関する事実関係を一般に明らかにするという目的で判示の行為に及んだ」として、そこには「公益を図る目的があった」とみなしている。

 レイシストの言説戦略のひとつに、単なる情報の羅列を因果関係があるようにすり替える手法がある。すなわち、「どこそこの朝鮮学校の元校長と言われている人物が、拉致事件の実行犯だという話がある」という伝聞情報を、「朝鮮学校の関係者は、日本人拉致事件に関わっている」というように、一部の話を一般化させ、あたかも根拠があるかのように語るのだ。レイシストは理由があって差別をするのではなく、差別をするために理屈を探し出してくる。他者への排撃を正当な政治行為として理屈付けるために、悪役が糸を引いているという架空のシナリオをつくり、悪役から「われわれ」と「祖国」を守ると主張する。本件判決は、この種の言説戦略にのせられてしまったのだ。ここにわたしたちが乗り越えるべき課題がある。

 このような誤謬を解く鍵は何か。まず、刑事司法手続きの形式的限界が指摘できる。被告らの提出する権威付けのための資料ばかりを証拠採用する一方、検察が証拠提出しなければ、差別動機に関する証拠は考慮されずに訴訟が進んでいく。この点で限界を超えていく可能性を見たのが、川崎市ふれあい館脅迫ハガキ事件の裁判である。威力業務妨害罪が問われた裁判で、検察を通じて裁判官は被害者の意見陳述を認め、横浜地裁は実刑判決を下した(2020年12月3日)。とはいうものの、差別的言動の断罪は、被害当事者の語りを前提にせずともなされるべきである。本当に変わるべきは、被害者ばかりが心身をすり減らして差別の不当性を訴えなければならない社会の関心度である。それには、差別を禁じる法制度や差別を抑止する社会の仕組みが必要である。人種差別禁止法が制定され、検察官や裁判官がレイシズムは許容できないという反差別の規範意識を兼ね備えるならば、差別動機を量刑過重として判断できるだろう。差別的言動の目撃者が犯行を通報し警察がいち早く取り締まっていれば、裁判にコストを費やすかわりに、被害者の権利回復のためにこそ社会の側がより多くの行動を起こせるはずだ。さらに、拉致問題の言説を用いることで、「朝鮮フォビア(嫌悪)」が容易に煽られる日本社会の意識を転換することが求められている。

 今回の裁判では、検察がヘイトスピーチを名誉棄損で訴え、裁判所が断罪するという成果を勝ちとった。ヘイトスピーチの生まれる背景には、朝鮮半島に対する日本の植民地支配の歴史があり、その歴史的事実を否定する昨今の動きがある。ネット上で事実を歪曲して発信し、確証バイアスを強化することで、差別は扇動されてきた。2009年の京都事件では、検察は被害者(京都朝鮮学園)の評価を貶めたことを理由に加害者(在特会ら)を侮辱罪で立件した。今回は、具体的事実の適示に真実性がないことを見逃さず、より重い犯罪である名誉毀損罪で起訴した。事実の歪曲が問題とされたところに本件判決の意義の重さがある。ようやく検察実務のなかでも、特定の個人や団体に対するヘイトスピーチは現行法で処罰できるという一定の理解がされるようになったと思われる。残された課題は、不特定多数の人々により構成される集団に対するヘイトスピーチへの対応である。特定の属性を理由として十把一からげにまとめて差別し個人の尊厳を傷つける行為をも許さない法制度が必要急務である。差別に法の抜け穴をつくらせてはならない。

 差別禁止法の制定運動と並行して、わたしたちは差別を許さない地域社会をつくり、制度的レイシズムとたたかっていく課題と日々向き合っている。教育課程の無償化から朝鮮学校を排除する日本政府。その違法性を訴えた裁判でまるで国策と一体化したかのような判決を下した司法。法廷闘争に加えて、法廷外から判決の意味を付与し、克服すべき課題を解き明かして、ともに乗り越えていこう。上からのヘイトスピーチを含め、レイシズムを根絶するまで運動を高めていこう。