こっぽんおりブログ

朝鮮学校と民族教育の発展をめざす会・京滋(愛称:こっぽんおり)のブログです。

「60万回のトライ」に関連した文章

2014-05-30 15:41:26 | おしらせ
ただいま京都シネマで上映中の、60万回のトライについて書かれた文章を見つけたので、転載します。(R)
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〈60万回のトライ〉我々はこの映画から何を学ぶべきか/鵜飼哲・一橋大学大学院教授(朝鮮新報 2014.2.24)

みんなに支えられているから強い

この映画を観て思うのは、一人ひとりの朝鮮学校の生徒たちの生き生きとした表情、人柄、考え方、感じ方が自然体に描かれていることだ。それを引き出した監督の表現する力がすばらしい。同時に、朝鮮高級学校のラグビー部が全国大会に出る力があり、この社会に受け入れられているにも拘わらず、なぜ、「高校無償化」制度が適用されないのか、これまで長い間認められてきた朝鮮学校への補助金をカットするという不条理がまかり通るのか、改めて怒りを覚える。

映画には大阪朝高ラグビー部を応援すると言いながら、民族教育に介入し、補助金打ち切りを決定していった橋下府知事(当時)を登場させた。監督から見る日本社会の変化や同胞社会の危機意識を描き出したものだと思う。私たちが求められているのは、朝鮮高級学校の保護者の方々と共に、若者たちを応援するだけではなく、このラグビーチームから何を学ぶかということだ。大阪朝高のラグビーは、何度も何度もタックルしていく意思の強さが特徴だ。タックルはみんなに支えられているから強い。

過去を克服できない日本の弱さから生まれたのが、安倍政権である。いま、日本は改憲、集団自衛権の行使容認へと軍事拡大路線を突っ走り、日本の民主主義は危機的状況にある。それに待ったをかける民衆の力が弱体化している。そうしたなかで、この映画を観て強い示唆を受けた。ヨーロッパで、西ドイツでできた過去の克服が、日本ではできない。居直り強盗のように開き直るばかりだ。植民地支配や侵略戦争の犠牲者を口汚く罵るしかないメンタリティーに染まっている人たちの言動は、人間として恥ずかしい。日本の社会の弱さ、大きな精神的な危機がそこにある。在日外国人への差別や憎悪をあおるヘイトスピーチや原発問題など、この社会を根本のところで変えていく力が今の日本にはない。

この映画のなかで、在日ラグビーの父と呼ばれている全源治先生が「小さなことで団結はすぐ崩れる。誰一人として慢心しないことが大事だ」と説いておられたが、現在の日本社会の問題点も照らし出す見事な指摘だと思った。朝鮮学校はこの精神で様々な危機を乗り越えてこられたのだと思う。

映画を日本人は他人事としては見てはいけないと思う。どうしたら、反動との闘いに勝てるのか。仲間の結びつき、集団のあり方など大事なヒントをいくつももらった気がする。そして、日本で生きる同世代の若者に見てもらいたい。そして、多くの人たちが、それぞれの角度から観て、その感動を共有して、発信していってほしい。(フランス文学・思想専攻)

60万回のトライ、京都上映は、あと一週間!

2014-05-30 15:39:55 | おしらせ
60万回のトライというドキュメンタリーが、
いま京都シネマで上映中です。
大阪朝鮮高級学校のラグビー部を追ったものです。
京都での試写会に行ったのですが、
監督がウトロの在日のオモニたちに
お世話になったこともあり、京都で上映できるのは、
感慨深いと言っておられました。

もちろん、映画館でも見ましたよ。
私の育ったエリアでもあるので、懐かしさも感じました。
当時は、チマチョゴリの制服のお姉さんが、
私の通学路を自転車で蝶のように通り過ぎて行ったものです。
いまは、チマチョゴリ切り裂き事件のあと、
日本学校と変わらない第二制服を着ていることが多いですよね。

6月6日まで上映。以下の京都シネマのホームページも、ご参考にしてください。

http://www.kyotocinema.jp
(R)