統一協会は真に、従軍慰安婦問題で日本人に謝罪を求めているのか
今日の新聞によれば、放送倫理.番組向上機構(BPO)が、旧日本軍「慰安婦」問題を扱ったNHK「ETV2001」の改編問題について審議入りすることをきめた。
この問題のポイントは政治家の力がこの改ざんに介入した事実だ。言論の自由を基本とする民主的国家において、あってはならないことが、起きたのだ。
第2次大戦における日本帝国主義の侵略的本質を隠ぺいし、従軍慰安婦問題がなかったこのような考えを持つ勢力が日本の社会の大切な部分に手をつけ始めた。
ふりかえってみよう
旧日本軍の性暴力を民間人が裁く『女性国際戦犯法廷』は00年12月に開催された。
NHK教育テレビで01年1月30日に放送された「ETV2001 問われる戦時性暴力」が「法廷」を取り上げることになった。放送直前の同月29日に松尾武・放送総局長(当時)らが安倍晋三官房副長官(当時)と面会。安倍氏から「公正・中立の立場で報道すべきではないか」との発言があり、急遽、NHKのいう「自律的改編」が放送直前まで繰り返されたのだ。安倍氏はいまでは、93年の「従軍慰安婦」問題に関する河野官房長官談話をそのまま認めるといっているが、談話の根拠が崩れた、修正すべきというのが安倍氏の当時からの主張であった。
2007年の裁判では、29日~30日のNHKでの様子が明らかになった。放送前日の01年1月29日、安倍晋三官房副長官のところから帰った、NHK野島直樹国会担当局長と松尾武放送総局長の指示で29日と30日、二回にわたって番組の作り直し作業が続けられた。
放送当日(30日)の夕方、松尾総局長にカットを指示された長井氏は、永田浩三チーフプロデューサーに次のようにいう。「そんなことをしたら大問題になる。松尾総局長になんとか再考を促してほしい」といってくれと頼んだ。永田氏は松尾総局長に掛け合った。「なぜ、いちばん大事な『慰安婦』の証言部分を切るのですか。人間としてやっていいことと、悪いことがある」。抵抗する永田氏に、松尾氏は「責任は僕がとる」と譲らなかった(「しんぶん赤旗」2006年10月26日)。
その後、NHKの報復人事によって、長井、永田氏は現在、製作現場をはずされたままである。
2008年6月12日最高裁は、政治の介入に目をつむった不当判決だした。
以上が経過だ。
慰安婦問題を隠ぺいする安倍晋三とつながる統一協会
従軍慰安婦問題についての統一教会の歴史認識は正しいようにみえる。
しかし、統一協会は自分たちの歴史観、理念よりも、政治家とのつながりの方が大切なことのようだ。
「天宙平和連合」福岡大会への安倍氏のメッセージ
http://blog.goo.ne.jp/c-flows/e/0987241085a649f506309e61f1f83fe7
2006年5月13日、マリンメッセ福岡で開かれた、「天宙平和連合」の「祖国郷土還元日本大会」福岡大会に、安倍晋三内閣官房長官、保岡興治(元法務大臣)を初めとしての各議員が祝電(安倍は肩書つきで)を打っていたことが波紋を呼んだ。
NHKの従軍慰安婦を取り上げた番組編集に、政治が介入したことに対して、統一協会は本来、安倍氏に抗議しなければならないのに、なぜ彼の祝電を拒否しないのか。従軍慰安婦問題をはじめ、旧日本軍国主義の朝鮮半島侵略の歴史を日本の歴史から抹殺をはかる勢力の筆頭が安倍氏なのにもかかわらず、統一協会はなぜ、安倍氏のNHK番組」改編に抗議するどころか、彼からの祝電を好意を持って受け取るのか。
統一協会が、従軍慰安婦問題を棚上げにして、なりふりかまわず自民党に接近する理由は。
答えは単純である。違法布教、マインドコントロールによる高額献金、合同結婚を日本国内で保護するために自民党の中枢との関係を深めていく必要性があるからだ。
統一協会は台湾、ヨーロッパの多くの国では布教を禁止されている。日本ではその特異性から現在訴えられるケースが多発している。
日本で布教禁止(宗教法人格のはく奪)されないように、勝共連合で政治家に接近することに成功し、おそらく信者から吸い上げた献金が、政治家に回されているのは事実だろう。
結局統一協会にとって従軍慰安婦問題は、何なのか。政治勢力と結びつくためには、なりふりかまわない姿勢が見えてくる。
エバ国として日夜、アダム国のためにトウゲンを果たそうとする信者の努力はこれではむくわれないのでは。
本当に何を信者は信ずればいいのだろう。