恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

大切なひと~その4

2015-06-11 08:22:40 | アリサ

この話はハルルートの譲二さんの「それぞれの道」の7年間の空白期間を埋める話をと考えて書き始めたものです。
ところが、書いて行くうちにハルルートの譲二さんの話からは外れ、全く違う結末のお話になってしまいました。
それで、upしたものかどうか悩みました。

二次創作の二次創作だし…。
ヒロインは娼婦だし…。
譲二さんは壊れてるし…。
不快に思われる方もいるかもしれません。

でも、一時お話をかけなくなった時期に書けるものを書こうと書き始めたのがこの話で、そういう意味では私を助けてくれた話とも言える。
アクセス数が減ってるということは読む人も少ないわけで、ひっそりとupするのならいいかなと思い公開します。
性描写もそれなりにあるので、18禁にしようかとも思ったけど、そもそもネットではそれを確かめるすべもないし。
だから、こういう話はダメという人は避けてくださいね。

上にも書きましたが、ハルルートの譲二さんの話から派生した物語なので、読んでない方は『それは突然の告白から始まった…』から『それぞれの道~その1~その5』あたりまで読んでもらえると、どうして譲二さんが壊れているのか…とかが分かると思います。


☆☆☆☆☆

大切なひと~その4


〈アリサ〉


点滴と医者にもらった薬が効いたのか、ジョージはぐっすりと眠っている。

目が覚めたら、おかゆを作ってあげよう…。

☆☆☆☆☆

ジョージは食欲がなくて、おかゆも二口くらいしか食べられなかったが、あたしの手を握ってにっこり微笑む位には回復した。


☆☆☆☆☆


夕方、珍しくチャイムが鳴る。

インターホンに出るとジョージの兄の紅一さんだった。

紅一さんの第一印象。

ジョージにはあんまり似てないなと思った。

髭はなく、もっとがっしりして厳しそうな感じの人だった。


アリサ「今日はすみませんでした」

紅一「連絡が早かったので助かったよ…。譲二の具合は?」

アリサ「今は薬が効いて眠っています。熱も少し下がりました」

紅一「そうか…。よかった…。じゃあ、起こさなくてもいい」

アリサ「でも…。顔だけでも見てあげてください」


紅一さんはしばらくジョージのそばにいて、寝室から出て来た。

あたしがコーヒーを出すと

紅一「じゃあ、遠慮なく」
とソファーに座った。


紅一「これは…。君が淹れたのか?」

アリサ「はい…。ジョージ…さんに教わった通りに淹れてみました」

紅一「そうか…」


しばらく気まずい沈黙が続いた。


紅一「ところで…、君はここに住んでいるのか?」


少しためらったが、思い切って答えた。


アリサ「はい…」

紅一「そうか…。君が譲二の新しい恋人か…」


胸がちくりと痛んだ。


アリサ「…いえ」

紅一「ん? 違うのか?」

アリサ「あたしは…恋人じゃありません」


涙が溢れそうになるのを必死で堪えた。


紅一「どういうことだ?」

アリサ「あたしは…ジョージ…さんにお手当をいただいて…お金で雇われた愛人なんです」

紅一「譲二が君に愛人になれと言ったのか?」

アリサ「いいえ…。あたしが頼んだんです…」

紅一「そうか…」


紅一さんはしばらく考え込んだ。


アリサ「あの…。だから、あたしの存在が邪魔なら…いつでも出て行く覚悟はあります…」


紅一さんはあたしをじっと見つめた。


紅一「君はそれでかまわないのか?」

アリサ「あたしは…お金で雇われただけですから…」


紅一さんはとても優しい笑みを浮かべた。

あたしは「あっ」と思った。

笑顔はジョージにそっくりなんだ…。


紅一「譲二は子供の頃から恋愛ごとに不器用なんだ。ま、俺も人のことは言えないが…。
ただ、俺と違うのは…いつもそれで辛い目にあって来たということかな」


紅一さんは少し考え込んだ。


紅一「君は聞いているかどうか知らないが…、少し前にも辛い別れを経験したばかりだ…。
それで今はますます心を閉ざしている所がある。
譲二の心がほぐれるのは並大抵のことではないだろうが…あいつの支えになってもらえたら、ありがたい」


紅一さんが頭を下げたのであたしは慌てた。


アリサ「そんな…あたしなんて…」

紅一「だが、君は譲二を好きなんだろう?」


あたしの目からはまた涙が溢れそうになる。


アリサ「…」

紅一「隠さなくてもいい。君を見ていると恋愛に鈍感な俺でも、譲二を好いていてくれるのがよくわかる。譲二のことを頼む」

アリサ「それは…もちろん。ちゃんと看病します」

紅一「いや、病気の間だけでなく…、これから先もね」


その5へつづく



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