二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

民族楽器から世界の楽器へと、完成度

2016-06-23 09:02:16 | ■工房便り 総合 
楽器の完成度というのは、

極端にいうと、電子ピアノとピアノの違い、

パイプオルガンとオルガンの違い、

リコーダーとフルートの違いのようなものかもしれません。

あるいは尺八と、リコーダーと言っても良いかもしれません。

尺八は唇を歌口に当てて息を吹くのですが、その角度が難しいですね!

リコーダーはそれを歌口に向けて、上から息を吹き込みさえすれば、誰でも基本的には音が出るようになっています。

其々の良さというのはあるのでしょうが、完成度という言い方をするとリコーダーの方が、完成度は高いでしょう。

要するに音を出したり音楽を奏でるのに、よほど特別な訓練をしないと鳴らせない楽器が民族楽器の域を出ないのという事も言えます。

二胡はそこまで、完成度は低くはないですが、それにしても誰でも良い音が出るという状態に今の二胡はなっていません。

弦楽器は、弦を鳴らします。

弦の振動を拡大して、それぞれの胴の種類によって音色が変わります。

弦の振動をいかに効率よく、音色に変えていけるかというのが楽器の真価です。

二胡自体は、その構造としては、胴の一部分を除いてほぼ誰でも音が出せるくらいには完成度は上がっています。

ではなぜ今の二胡が、高音まできっちり出ないか、

あるいは何故にこんなに雑音が多いのかというのは、一重に楽器としての木工技術の拙さという事が言えるかもしれません。

弦以外の振動音が様々な形で出てしまうのです。

二胡の弦の特徴は、二本の弦が千斤のところで、接触している事です。

もろに共鳴します。

内弦なり、外弦を一本弾くと もう一本も共鳴して鳴るのです。

きっちりした和音になっていないと、当然雑音ぽく鳴りますね。

そこへ持って来て、木軸がかなり雑に作られているものが多いのです。

あるいは最初はきっちりと作ってあったとしても、木軸は経年変化で歪んでいきますから

当然ぴったりと棹の穴に入っておらず、揺れます。

そうなるとせっかく調弦してあったとしても、揺れて別の音程になってしまいますから、

何となく雑音ぽく鳴ります。

また、台も、木ネジ一本で止まっています。

台は胴を下から支えていますが、胴は曲面で出来ています。

台とぴったりその曲面が合っていないと台もがたつきます。

またネジがきっちりと締まっていなくても、台は揺れます。

弦を支える木軸と、台が揺れれば、調弦は狂い、更に雑音は増えていきます。

要するに弦の純粋な振動だけでなくなりますからどうしても雑音ぽくなってしまいます。

そこへ持って来て、皮が変化します。

皮は決して均一ではありません。

ましてや生皮ですから、気候、特に湿度によって、張力が変わります。

その上弾き込み次第では皮が部分的に歪んできます。これも当然雑音の原因になります。

そして二胡を弾いて特に良い二胡を弾くと皆さん驚くのは、

弓を弾いてすぐに音にならないことではないでしょうか。

先生がたは何気に弾いていても、初心者のころ、例えば先生の楽器を弾かせてもらって、

あるいは楽器屋さんで良い二胡に買い替えた時など、弾いてすぐ音が出ない事に驚いたことはありませんか?

これが二胡の弾きにくい、と言われる原因の一つでもあります。

これは胴の皮の張ってあるところの形状の問題なのですし、高音が出にくいというのも、

この部分が小さな振動ではなりにくいという事にもよります。

ではこれらをどうやって完成度をあげていくのかということは、また次回。








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