二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

科学が進むからと言って良い事ばかりではないですね。

2024-09-04 10:13:26 | 光舜松脂 ヴァイオリン用
今から20年前にはスマホなどありませんでした。
スマホのない生活など考えられません。
そこに持ってきて、生成AI。
コンピューターが考えて決めてくれる!
これは広がるし発展するでしょうね。
でも、その生成AIというのは、任せて良いのでしょうか???
携帯電話が出来てから、電話番号覚えなくなりましたよね。その頃皆さん普通に、関係者の電話番号10や20覚えていましたよね。中には100くらい覚えている人も、今では、知識も記憶もスマホ任せですね。
私が学生だった頃にはもう原子力発電はもう世界に広がりつつありました。
1945年には核爆弾が落とされ、1958年には原子力発電が本格化しています。
が、この原子力発電止めることができないのは皆さんもご存知ですよね。
計画的に徐々に稼働を落としていくことはできますが、一度使われ始めた核物質は止めようがありません。
数万年単位で半減していくだけでしょう。このゴミ最終的にどうなるのでしょう?
水力発電は、水を止めれば止まります。
火力発電も火を止めれば止まります。
一度核分裂を始めた核物質は分裂を止めることはできず、数万年それが続きます。
核をある一定量凝縮すると爆弾になり、それを少しずつ離して分裂させると爆発せず熱だけを出す。
その熱を利用したのが原子力発電ですが、その熱は止まりません。
後先考えずに便利だからと言って作ってしまったのが、原子力発電ですね。  
 便利で後先考えずにといえば
擦弦楽器の話をしますと、ガット弦は伸びるし切れるし、音は不安定だし。では、金属ならそこまで伸びないし切れないだろう。
とスティール弦が出来ました。伸びにくいし切れにくい。
それだけでは音が良くないからと、ナイロンや絹や、またガットの細い線の上に鉄や銀やアルミなどの更に細い弦を巻いて作ったのが現代の擦弦楽器用の弦ですね。
まだまだ、これからももっと強い弦、例えばケプラーなどにプラチナなどの細い線を巻き付けたものなど、あるいはチタンのものなど出て来そうです。
ところがそこで困ったのは、松脂です。
ガット弦の間は引っかかりなど考えずとも、地面に埋まっていた良く油分の抜けたものを使っていたのですが、なにしろ相手が金属ですから、摩擦力がない。引っかからず大きな鳴りを得られない。
これはほんとかどうか?
戦前のアルゼンチンタンゴのヴァイオリン弾きさんが、その天然の松脂に髪の毛に付ける、ポマードを混ぜてみたらとても良く弦が引っかかって鳴るようになった。
そのポマードの原料ひまし油を松脂樹脂に混ぜることが普通になってしまったのが、現在の擦弦楽器用の松脂の初期のころでしょう。
今では、混ぜるものがいろ色変わって糖分やカーボン、工業系のグリースなど様々に研究され、金属の弦を鳴らすには金属だろうと、松脂に銀や真鍮金やプラチナなど金属粉まで入れるようになって来ているのが現在です。
確かに天然熟成の松脂は音色が良いが、引っかかりが弱く低音が出にくい、太い弦を鳴らせない。
そこで考えればよかったのですよ、その天然熟成を何とかできないか、あるいは天然熟成のなかにも引っかかりの強いものはないかと。
でも、簡単にポマード混ぜれば音が出るではないかとなるとみなさん揃ってそちらに動いてしまいますね。
簡単に凄く引っかかる、お陰で、弦が横に暴れて、弓の操作性は悪くなり音も遠くに飛ばなくなる。(これは実際に天然熟成の松脂を使ってみると凄くよくわかるのです)
演奏者としてはすぐ耳の傍で大きく鳴っているのでそれほど気にもならないしみんながそんな音だから、それが普通になって来る。
そして徐々に天然熟成の松脂の良い部分が忘れられ、何とか混ぜ物で弓の操作性も良く良くなるものの研究の方へ走ってしまったのでしょう。勿論いまでも天然熟成の松脂が無いわけではありません。
それを使っている松脂屋さんもあるようですが、引っかかりを求めてやはり元の松脂樹脂を入れたり、他の油分を入れたりしているというのはどうなのでしょう。
天然松脂は様々な質を持っています。
あちこちから集めた天然物を弾いてみると中にはそれこそコントラバスを普通に鳴らせるものもあります。
そのくらい強いグリップ感があるものもあるのです。
引っ掛かりというよりグリップ感ですね。天然熟成は粒子が細かいですから弾いてすぐ音になりますし直ぐキレます。
ですから手に抵抗のあるような引っかかりでは無いのです。
勿論金属巻の弦でも良く鳴らします。
ところが難点は、流石に天然ですから、その種類だけで固まっているわけではありません。様々に変化したものが混ざっています。
その部分だけを取り出せないのです。
たぶん、それは分かっていても、目に見ても違いが分かりませんから。
それで何かを入れて引っかける方向になってしまったのだと思います。
光舜松脂はその天然熟成のわりとグリップ感のあるものだけを作り上げたのです。
「煌」、「光輪」、「寂光」はいわゆる天然熟成をモデルとした「基」(ゼロ)シリーズとは違います。
天然熟成の中に無いこともないという稀な形を見つけ出したのです。
これ、この4年様々に松脂を熟成させた物の幾つかが、Oさんにお借りしたいわゆる缶ベルにとても近かったのです。
ですから、缶ベルをモデルにしたということではありません。
それでは、ベルナルデルさんに失礼に当たります。
分かったのは、缶ベルも天然熟成のものだったという事、そして限りなく光舜松脂に近いものであったお陰でお借りして1週間もかからず「寂光」の原型を作る事が出来ました。
それからさらに、何台かのヴァイオリンで試して、チェロで試して今の「寂光」が出来上がったのです。
缶ベルにしろ光舜松脂にしろある意味本当に自然からの恵みだと思うのです。
たまたま、長い間木や鉄で物を作り出し、自然の力を身にしみて感じていたおかげで、また多少化学的な知識を持っていましたので、このような松脂を作る事が出来ました。みなさんに本当に良い音色で楽器を弾くことを楽しんでいただけるようです。
この「寂光」「光輪」「煌」弾いている人も楽しめますが、聞いた人の方が驚くようなことが多々ありました。
無理なく自然に、みんなで、音楽楽しめると良いですね。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ



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