二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

雑音をどうやって付け加えるか。

2010-07-09 13:09:24 | ■工房便り 総合 
ジョージガオさんに頼まれていたの作り始めました。

これは、特殊です。

要するに人造皮。

それと移動千斤の組み込みです。

移動千斤の組み込み、これはまあ、棹に溝を掘って埋め込むだけですから、

何の問題も有りません。

あるのは、人造皮です。

問題だらけですね。

ジョージさんの場合、国を超えての演奏活動が大変多いのだそうです。

蛇皮の、ワシントン条約の、許可証の問題が常に付きまといます。

許可証取るのに、国によって違いますが、2週間ほど懸りますし、ヨーロッパの国によっては、まったく持ち込めません。



人造皮、最近ではこれは沢山使われています。

ドラムス。ティンパニー、それから、三味線、三線。

多分、いずれは、本物の蛇等、高くて手が出なくなるかもしれません。

それと本物は、一枚一枚違うということ、

前の項でも書いたような、人の手と、耳の能力を最大限活かした仕事ですから。

ところが人造皮は、違います。

張っていきながら、叩きながら、音の感じが決まっていきます。

蛇の場合、張っている最中は、濡れています。

ですから、多少弾力も有りますので、音が低いのです。

乾くと、硬く締まります。

当然、音が高く鳴ります。

この時の音を、Fになるように濡れている段階で想定しなければなりません。

人造皮の場合、最初はる時からDの音に、設定できます。

そうそう、話は飛びます。

最初から、低音の良くでる二胡、でない二胡というのがあります。

これは、張ってある皮が、最初 D になっているものは、かなり低音が響きます。

これは、皮がDなのですから弦のDとよく響き合うことに依るのだと思います。

と、話は元に戻ります。

人造皮のことです。

これは安定して、誰でも張ることが出来ます。

音を聞きながら張れるのですから。

問題は、これを付けるボンドがなかなか無いということ。

それからもっと問題は、音がクリアー過ぎるということ。

ボンドは工夫してなんとかしたとしましょう。

雑音のまったくない、ホントに、胴だけの倍音でできている二胡。

これは見事にバイオリンとしか言いようがありません。

あれだけ、二胡の雑音取ることに、力を入れたのに、今度は、雑音?

二胡に近い、不協和的な倍音を作り出さないと、二胡の音に聞こえません。

雑音が懐かしいです。

出来上がった人造皮の二胡。今のところ試作1号、今度の日曜日、光舜堂に持っていきます。

この項終わり

西野和宏

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