二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

弓毛の質と松脂 

2024-06-04 11:04:19 | 光舜松脂 ヴァイオリン用
殆どの擦弦楽器の奏者が気が付きにくいのが、弓毛の種類とその質についてです。弓毛をご自身で張り替える方というのは、ヴァイオリンの奏者にはほとんどいらっしゃらないと思います。(何人かの方が自分で張り替えたというブログを書いていますが)
張り替えてもらって、何となく今までの毛と違うなと感じるくらいでしょうね。
勿論、そんな知識は張り替える業者さんが知ってればよい事ではありますが、良い弓毛と悪い弓毛くらいは知っていても良いのではないかと思います。

弓毛には大きく分けて脱色と無脱色とあります。
右が脱色、左が無脱色
微かに脱色の方が色が白いですね。これはヴァイオリン用の脱色です。
もう一つ違いが感じられるのは、右の脱色のほうが何となく、すーーとまっすぐに下がっている感じです。
左の無脱色は多少よれよれと毛の束もなんとなく膨らんでいます。
脱色の方はもってみるとふわっと軽く感じます。脱色されている分油分も抜けていて、触ってみると大変滑らかなのです。
音にすると、滑らかなやさしさのある音になります。(無脱色に比べると)
左の無脱色はこれは馬毛の自然な状態です。
触ってみると少しゴワゴワした感じがあり、松脂など塗る時には抵抗感があります。
脱色の毛は音の純度が上がります、滑らかな繊細な音が出しやすいようです
無脱色は音にざらつきが混じりますが、力強くもなります。
ただ毛の数を減らすと、音の複雑さがあらわれて、魅力的という方もいらっしゃいます。
光舜松脂を使うのでしたら、無脱色には0ゼロがよりその繊細な毛の良さを生かしてくれると感じます。
無脱色は、たぶん「1」の上に0を塗るか、あるいは「ON」でしたらたっぷりとした音色の良さを感じると思います。
これはもし、みなさんが二本弓をお持ちでしたら、毛の種類を変えてみるのも楽しいかもしれませんが、職人さんによっては無脱色は持っていないかもしれませんが、チェロやコントラバスの弓毛の張替えしている人でしたら持っている加納氏は高いです。無脱色は強いですから太い弦を鳴らしやすいのです。
裸ガット弦の方でしたら無脱色の弓毛に「2」でジュ分な低音を響かせられます。
また良い毛悪い毛というのもこの毛の束の中に相当混ざっているのです。
良くシベリア産の馬毛高くモンゴル産は安くなどと言われますが、寧ろどちらの馬毛にしろ馬毛の選別の方が大切なのです。

一番上は黒毛です、2番目がイタリア産の大変良い毛です。
3番目がこれは脱色ですが廃棄する毛です。
これ何となくチリチリしています。そして所々光っています毛が撚れているのです。こうなるとよほど強く馬毛を張らないと真っ直ぐになりません。
4番目が平均的なモンゴル産の脱色です。
私などが購入する馬毛の中にはこの3番目のような毛が20%くらいは混ざっています。
なにしろ馬は自然の中で放牧されているものが殆どですから。それなりに傷んでしまうのです。
皆さんの髪の毛にしろ一年中日に当たり梳かしもせず、洗いもせずでしたらどうなるか考えてみてください。
また馬毛は、その馬の種類によっては大きく質も変わります。
同じ黒毛(ほとんどの馬毛は白くないです、茶色や黒が約90%でしょう)にしろアラブ種とモンゴル馬では黒さが違ったり太さも違います。
モンゴル馬は比較的尻尾が長く、弓毛に使いやすいのかもしれません。
特に二胡の弓は90cm以上の長さが必要です。そうなると一頭の馬からとれるのが370グラム前後でそのうちの10%くらい切り使えません。
ヴァイオリン系は80cmくらいで十分とれますが、毛質としては長い方が良いので、寧ろ90cmくらいの長さで先端の細い方を切り取ってしまうほうが、弓の手元から先端までの太さが比較的変わらないで作れるはずです。
これらの事、もし弓毛を張り替えに出す時には、職人さんと相談しながら張り替えてもらっても良いのではないでしょうか。
それからイタリア産は繊細ではないからと嫌うかたもヴァイオリンの方には多いです、しかし十分脱色されたイタリア産は強さもあり繊細さも持ち合わせます。
また少し毛の量を少なくして、なおかつ張り方を考えれば、演奏の仕方によっては強くも弾け繊細にも弾けると感じます。
職人さんによっては、このあたりも工夫してくれる方もいるでしょうね。
そういう職人さんとの出会いも大切なのが、楽器の調整の一部になるとは思います。イタリア産は、何しろ華やかな感じですし、ソロで弾くとき、あるいはジャズ系の音楽なら、光舜松脂のK20との相性は最高でしょう。
そのくらいに光舜松脂は各種類によって音色も響きも変わります。
馬毛と松脂の相性など考えて見ながら、音楽を楽しむのも一興ではないでしょうか?
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ
https://koshundo.base.shop/




Comment    この記事についてブログを書く
« 楽器は調整するのが当たりまえ! | TOP | 光舜松脂は中国製ではありま... »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | 光舜松脂 ヴァイオリン用