二胡工房 光舜堂

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蛇皮の質。一つの実験

2020-10-04 15:02:08 | 蛇皮
蛇皮に関しては、様々なブログや,ネットなどでもいろいろ書かれています。

ほとんどが見た目での説明になっています。

稀にたたいてみて、Fの音だからこれは良いなどとおっしゃる方もいらっしゃいます。

私自身、作っていて感じる蛇皮の質の違いというがはあります。

特に、蛇皮の各部分での皮の伸び率の違いというのは、張ったうえで音としての問題につながると考えています。

ただそれはあくまでも、私自身の経験値でしかないのです。

このことは、中国でも同じでしょう。

職人として長い年月蛇皮を扱っていて、その上でこれは良い皮悪い皮というのが出てくるのだと思います。

沖縄の三線を作る方たちと良く蛇皮の話をしました。

日本の中では蛇皮を一番沢山扱っている職人さんたちですから大変豊富な知識を持っています。

しかし彼らも最終的には、長年培ってきた感でしかないようなのです。

そこで少しは皆さんに目に見えるように、出来ないかと考えて、ある実験をしました。

大変もったいないのですが。

まず、蛇皮の良いとされる、しっぽに近い部分それと、比較的安い楽器に使われる、お腹のあたりの部分。

この二つを、50ミリ幅で同じく160ミリの長さに揃えます。

それから水に5時間つけて、それをターンバックルという、引っ張るための金物で固定します。



次に、10キログラムの荷重がかかるように引っ張ります。



これ上がお腹のあたりです、210ミリにまで伸びました。

下は尻尾に近い部分(最高級といわれるところです)180ミリに伸びました。

これだけ伸びが違うのです。

ところが、立て方向は、両方とも同じくらい、160ミリが180ミリ前後に伸びます。

尻尾のあたりは縦横の伸びが同じですが、

お腹のあたりは、縦の方向よ0ミリも伸びるのです。

ですのでお腹のあたりの皮は、縦と横では引っ張る力が同じでは、皮の均等感が一定にはならないのです。

横方向をより強く伸ばさないといけません。

現在の蛇皮の張りかた、6辺をそれぞれ引っ張る落ちう張り方では、縦横同じようには緊張力を持たせるようには張りにくいのです。

しかし縦横同じくらいに伸びる、尻尾に近いところは、綺麗に全体を同じように緊張力を持たせやすいのです。

それから、次にさらに1キロ荷重をかけてそのまま乾燥させます。

二日立って蛇皮が乾燥した時に、



お腹のあたりの皮の方は、このように切れてしまうことも多いのです。

乾燥すると皮は縮みますから、11キロよりさらに強い緊張力を持ちますが、

お腹のあたりは、皮も薄く、切れてしまいます。

勿論蛇皮は一匹づつ皮の質が違いますから、すべてのお腹のあたりの皮が切れるわけではありませんが、

切れるくらいに引っ張る力をかけないと、胴に張った皮が均一にはなりにくいという事なのではないでしょうか。

ですから、尻尾に近い方の皮の特徴である、四角い形状の鱗の物が良いとおっしゃる方が多いのでしょう。

これは一つの実験です。

蛇皮の質としてはこのようなこともあるという事です。

かといって、二胡の楽器としての性格を決めるうえで、この引張強度だけがその音の質を決めるわけではないと思います。

それぞれ、含んでいる油分の問題や、それこそ個体差いにょる強さや、弾力、

あるいはその皮が脱皮してからどのくらいの時間を経過しているか、

あるいはとぐろの巻き方は、右か左かなどという事も影響します。

それと皮の削り方の問題、これは職人さんの技術の問題になります。

それはまた、次の項で、






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