今月からウチの職場に入ったヨシザワさんは、看護師の資格を持つ70歳。
私が担当している、行動や口がヤンチャ者達の部屋ではなく、医療介護が必要な子達が利用する隣の部屋を担当している。
だが、事務所やトイレやキッチンに来る時は、必ず私が居る部屋を通るので、何かと見かけている。
モッソモッソと体を揺すって歩きながら、無表情で何かボソボソひとり言を言って通って行く。
たまに子ども達に話しかけたりちょっかいを出していったりするが、なんか空気を読めていない。笑
たとえばトランプで神経衰弱をしていた時、ユウタくんの番でトランプをジッと見て集中して考えていたら、ヨシザワさんが通りかかり、突如スッと手を出しユウタくんの両眼をふさいだ

「だれだぁ?」とヨシザワさん。
せめて「だあ~れだ?」と可愛らしく言う感じならまだしも笑、ダミ声で、
「だれだぁ?」。
いやまあそういう問題ではないが、それよりも集中していたユウタくんは邪魔されて、無言ながら怒っていた。
そんな感じのヨシザワさんだが、きっと子ども達に馴染みたいのだろう。
私も何気に協力している。
子ども達に「ヨシザワさんて面白いよねぇ」とか、ヨシザワさんをいい意味で周知してもらえるようにしている。
まあ度々のヨシザワさんの空気を読めない行動は苦笑いモノだが

だが!
昨日のヨシザワさんの行動は苦笑いじゃなく、オモシロ過ぎた。
隣の部屋とはいえ、レナやミサコなどは時々隣の部屋を覗きに行く。
昨日も私が気がつかない時に覗いていたのだろう。
私がモエちゃんと話をしていたら、突然ヨシザワさんが現れた。
そして、寝転んでタブレットを見ていたレナに乗っかった!
え!?
と、突然のヨシザワさんの行動に驚いた私。
「降りてよぉ」とレナ。
しかしヨシザワさんはダミ声で言った。
「さっき『ババア』って言ったのはオマエだなあ!!」
えええー!?ちょ、笑える。
小さいきかんぼレナに覆いかぶさった怒れる70歳。
ババアって、怒るって、レナもヨシザワさんも何てストレートな二人。笑
いや、ここは側に行って止めなければ。
いや止めたくない。笑
なんか気持ちいいぞヨシザワさん。
レナよ、ババアを舐めんなよ。
しばし二人の様子を見ていたが、レナは我慢して意地でも無視してタブレットを見ていた。
そのうちスッとレナから離れてトイレに行ったヨシザワさん。
疲れたなヨシザワさん。
ま、もう許してやってくれ。
少しはレナも懲りたろう。
グッジョブ!ヨシザワさん。
我々50代以上の職員達の救世主だな。