僕は、江戸時代の少年達を描写した物語、もしくは、そういう場面が好きだ。勉学に励み、剣術に精進し、友と他愛ない語らいをする。いずれ、それぞれが異なる人生を歩む前の爽やかな一時だ。 そういう、健康的な青少年時代を余り歩まなかったからかな。
本作にも、そういう一時が語られていた。その時は、素直に主人公を応援した。
回天とは、世界を一新する、ひっくり返すと言うような意味らしい。 幕府転覆、クーデター、テロみたいな企て。倒幕-王政復古につながる➰ーと言うことか
ブックオフの感想文に「清河八郎のイメージが覆った」というのがあり、
藤沢周平著と言うのも気になり、
僕も手に取った次第だ。
昨年末に読んだ武揚伝と同じように、定説以外の視点で幕末の人物に接しようというわけだ。
幕末の志士の大半は貧しくとも武士の師弟であり、この物語の主人公や新撰組は百姓の子供。この違いも幕末での生き方になったか。出生はこの時代大きいだろう。田舎者、所詮は百姓と主人公自ら語るように。
これまで見聞きした志士は、学び語り、事を為すようになったが、彼は閉塞感からの脱出、近藤や土方ににてるな➰。
文武両道の教育者を目指した主人公が、一転してテロとも取れる企てをするような人物に転向したか〰。 時代の事件の解説と、取り巻きたちの時論公論を語らせるだけで〰、ここがしっくり来ない。
そこらの放蕩息子より、一族を不幸にした➰ー
後半、感情移入ができなかった。
最後、自らの策の瑕疵に気がつき、死をもって幕を降ろした。さすが藤沢周平、これをもって清河八郎を輝かせたか➰ー。
こんなに長い感想文を書かせたのだから、本作は僕に気分は良くなくても響いたのだろう。