私の住むハノーファーから南東に約350km、メッセで有名なライプツィヒから真南に約75㎞。旧東ドイツのこの位置にシュヴァインスブルク (豚の城) 城館はあります。城館ホテルですので、昨年の夏ここに宿泊しました。
昔は堀で囲まれていた城の建設は12から13世紀にかけて行われ、早くも13世紀中に城の所有者であり領主の家族は絶えたので、その後何度か所有者が代わりました。城は荘園の行政の中心地として機能し、15世紀後半からシュヴァインスブルクという名前が城に使用されるようになりました。17世紀中頃の30年戦争の際はスウェーデン軍の将軍の住居になったそうです。そして老朽化したシュヴァインスブルク城は18世紀の中頃バロック様式の城館に、さらに20世紀になってすぐの頃にネオ・バロック様式で改築と再建がなされたのです。
城の外観 1 & 2
城の外観 3 & 4
城の外観 5
城 と 庭園 ・ 庭園
第2次世界大戦後、当時の東ドイツ政府によって城館は接収され、鐘楼は取り壊されました。それ以来、歴史的に貴重な鐘は失われたままになっています。この地域がまだ東ドイツであった1946年から1989年の間、城は共産党の党学校として機能し、その過程で建物の構造がかなり損なわれました。とりわけ、城内の礼拝堂は歴史的な祭壇を失い、体育館に改築されてしまいました。
そして東西ドイツ統合の後、城は改装されてホテルが設立されたのです。
城の内部 1 & 2
城の内部 3 & 4
城の内部 5
シュヴァインスブルク城館は小さな町のはずれ、静かないささか高低のある広い敷地に、バロック庭園が付属して建っています。城館部分はホテルのフロントと数室の会議室のみで、大々的に改装された昔の堀に囲まれた水城塞の部分が客室棟とレストランになっています。駐車場が2面あり、多目的ホール (クリエイティブセンター、スポーツ施設など) を備えて大規模に営業しています。今日も、セミナーのグループが3つほど入っているようです。昔の城の雰囲気がごくわずかで、少し期待はずれの感があります。
客室棟 と レストラン
私の部屋 1 & 2
私の部屋は明るい小ぎれいなダブル部屋のシングル使用で、天蓋らしきものが付いたベッドと使い込んだ現代的家具を設えています。家具の配置やデザインが的確で使いやすく、液体石鹸だけしか置いていないバスルームは狭いけれども窓が大きくて明るいのが良い。このレベルのホテルには珍しく冷蔵庫がないのは何故でしょう。
レストランの内部
城内レストランが18時から営業ということなので、夕食を食べに行きました。グリル料理のビュッフェが人気のようですが、私はアラカルトにしました。おとなしそうで感じのいい男性スタッフが私のテーブルの係です。
さて、飲み物はノンアルコールの瓶入りピルスビール。私はヴァイツェンビールの方が好きなのですが、たまには気分を変えてみようと思いました。
ビール ・ ソリャンカ
前菜は自家製のソリャンカ (Soljanka)。私は"ソリャンカ"という料理の名前を初めて聞いたのですが、何でも、ロシアや旧東ドイツをはじめとする東ヨーロッパで食される酸っぱくてスパイスの効いたスープだそうです。供されたスープにはパプリカとキュウリとソーセージの細切りが入っていて、基本的にトマト味で酸味があって結構美味しいのです。
ナマズ料理
主菜はリンゴとサボイキャベツの上に載せたナマズの切り身の蒸し物の、粗いマッシュポテト添えです。下にバターソースと思われるソースが敷かれていて、上に散らされた植物の芽が盛り付けを引き立てています。ナマズは私があまり好まない川魚だしナマズの顔が頭に浮かんで、ためらいがちな箸運び (フォーク運び?) で食べましたが、思いのほか癖がなくて結構な淡白な味でした。ただ、リンゴが温かいのは感心しませんでした。でも、手をかけて作ったと思われるマッシュポテトが特に旨かったのです。
デザート
最後に"スウェーデンのカップ"というデザートを食しましたが、何がスウェーデンと関係あるのかわかりません。容器の下部にアップルソースと卵リキュール入れ、その上に3球のヴァニラアイスクリームと生クリームを載せています。量が多いと思いましたが、無理なく美味しく完食できました。
朝食部屋
朝食ビュッフェではごく平均的な食材が提供されましたが、少し気分を変えてパンの代わりにパンケーキで炭水化物を取り、久しぶりに紅茶ではなくてコーヒーにしてみました。
朝食 1 & 2
"歴史的な雰囲気と活気あるモダンな要素が見事に組み合わさったシュヴァインスブルク城館ホテルは騎士団ホール、パーティー用の壮大なサロン、それに美しいバロック様式の庭園を持ち、ゲストや訪問者に魅力的な滞在を約束してくれます。"
と、パンフレットに買いてあります。
なるほど、会議、イベント、セミナーに最適な条件を提供するようで、2011年、このホテルは「ドイツのベストカンファレンスホテル」の称号を授与されたとのことです。
ということで、個人客が城の雰囲気を楽しむというより、会議、セミナー、ミーティングでの利用が多そうです。私にとっては満足度イマイチの城館ホテルでした。
〔2024年2月〕