バーとホテルと農業と…           ほんまはテレビ

東京から徳島の山奥へ移住したテレビディレクターの田舎暮らしドキュメント。毎日なんやかんややっとることの記録です。

テレビは人を傷つける!

2005年08月10日 15時46分46秒 | テレビの仕事
今から13年ほど前、私がディレクターになったばかりの話です。
私はある旅番組の取材で小笠原に行きました。
沢山の人に出会い、協力してもらい撮影は無事終了。
東京の事務所に戻り、連日、徹夜で編集作業。
まずまずの出来に仕上がりました。
その後、放送局のプロデューサーによるプレビュー(試写)があり、
取材をさせてもっらったあるおばあさんの話を
全てカットするように指示されました。
確かにそのおばあさんの話は無くても成立するし、
カットしたほうがテンポも出ていい仕上がりになります。
私はそのプロデューサーの意見を聞き入れ、その部分をカットすることにしました。
そのおばあさんには、電話で謝れば許して貰えるだろうと思っていました。

しかし、私の話を聞いたおばあさんは人が変わったように怒り出したのです。
小笠原で一人暮らしをしていたおばあさんは、
そのテレビに出ることを、離れて暮らす親戚や友人に話していました。
今さらそれを撤回するわけにはいかない…と言うのです。
「私がどれだけ恥かくか、あんた分かってるのか?」
私は事の重大さに始めて気づきました。





テレビは人を傷つける!
ディレクターになって始めて感じた恐怖でした。
しかし、テレビの仕事を続けていくうちに、
こんなことが日常茶飯事だということが分かってきました。

取材をさせて貰う人だけではありません。
スタッフから「あなたの横暴さにはついていけない」と言われたこともあります。
放送後、視聴者の方からお叱りを受けるのもしょっちゅうです。


テレビの仕事は、常に「人を傷つけてしまう可能性」と隣り合わせです。
家にひきこもっていた半年間は、
そんな恐怖心から開放されて正直ほっとしました。
「このまま辞めちまおうか」とも思いました。
でも、辞めませんでした。
テレビの仕事をしていると、様々な人との素敵な出会いがあります。
そんな出会いが大好きだから。

「人を傷つける可能性」ばかり気にしていては「素敵な出会い」も生まれません。
出来ることと言えば、
細心の注意を払い、
相手の心を思いやり、
誠心誠意、
相手と向き合うこと。
今はそう考えるようになりました。

恐怖心と言えば、最近やたらに地震が多い気がします。
地震だけはどうしようもないからなぁ…。






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