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■■【心de経営】 実践編 11 渋沢栄一の論語講義に学ぶ経営  故きを温ねて新しきを知る 為政第2-11 27 24

2019-03-06 13:24:09 | 【心 de 経営】 論語に学ぶ経営

■■【心de経営】 論語に学ぶ経営11  故きを温ねて新しきを知る 為政第2-11 27 24

 【心de経営】は、「経営は心deするもの」という意味になります。それとともにフランス語の前置詞であります「de(英語のof)」を活かしますと、「経営の心」すなわち、経営管理として、あるいは経営コンサルタントとして、企業経営をどの様にすべきか、経営の真髄を、筆者の体験を通じた内容をお届けします。

【筆者紹介】 特定非営利活動法人日本経営士協会理事長 藤原 久子 氏

 北海道札幌市出身、平成元年7月に財務の記帳代行業務並びに経理事務員の人材派遣業の会社を設立し代表取締役として現在に至っています。
 平素、自社において、従業員満足・顧客満足・地域貢献企業を目指し、ワーク・ライフ・バランスを重視した経営に心がけています。
 一方、自社における経験をもとに、経営コンサルタントとしての専門知識を活用しながら、客観的に現状を認識し、問題発見・解決策の提案や業務改善案、経営戦略への提言など、企業の様々な問題の共有を図りながらアドバイスをしています。

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 混濁した世の中を生き抜く術・視点は何処にあるのかを私なりにお伝えする事ができればと願いつつ、企業経営の心髄に論語の精神が重なっている事に気付かされ、渋沢栄一に共鳴し、論語が愛読書の一つとなっています。

 中国、戦国時代の思想書「大学」におきましては、治国平天下(治国平天下:国を治め天下を平和に保つ事)の方が主体でありますが、私の論語への想いは、論語は個人的規範が主体になっています。

 そのことから自らの修養の為に論語を学んでゆくのが最適であると考えたのです。何時の時代にあっても、また時代の変化の中でも、いわゆる不倒翁(「起き上がりこぼし」と同意として行き抜いて人間の持っていた、自らの修養と経験に基づくものが、企業経営をしてゆく上で極めて重要であると確信しています。

 ここでご紹介する渋沢栄一の生涯は『論語』との出会いにあります。「明治維新を作った徳川時代的教養とはどういうものであったのでしょうか。徳川時代は、一般的な民においても職字率が非常に高く、当時の世界的水準ではトップではなかったかと言われております。『雨夜譚』をみますと、6歳のときに父の市郎右衛門から教育を受けていたとあります。

 その前の5歳のときから既に文章を読む教養を教えられていて、学ぶという一番基礎を幼児に叩き込まれた渋沢栄一が一番親しんだのは、論語でした。7歳の頃に読み始め亡くなるまで読み続けていた渋沢栄一は、84才から2年余かけて膨大な『論語講義』を遺しました。この点ではまさに不易(ふえき:いつまでも変わらないこと)です。

 

 渋沢栄一の論語講義 :   為政第2-11 27

 

  故きを温ねて新しきを知る

 

 

 

読み】

 

 故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る

 

 子曰く、故きを温ねて新しきを知れば、以て師と為るべし。

 

 

 

【口語訳】

 

子曰く、古い事を研究してそこから新しい知識を引き出すくらいでなければ、先生にはなれない。

 

 

 

【解説に出てくるキーワード】

 

◇ 民部昭武(みんぶあきたけ)

 

 徳川民部大輔昭武。民部大輔は官位、正五位下の役職のこと。徳川慶喜の実弟、水戸藩最後の藩主。慶応三(1867)年、兄の将軍慶喜の明代としてパリ万国博覧会に参加。渋沢栄一は庶務・会計係として随行。大政奉還により明治元(1868)年に帰国、水戸藩主(のちの水戸藩知事)となる。水戸藩知事を免ぜられてからは、陸軍少尉に任官され、アメリカ万国博覧会御用掛としてアメリカに派遣。明治16年に隠居、松戸の別邸で写真などの趣味を楽しんで余生を送った。

 

 

 

◇ 商法会所

 

 明治二(1869)年、静岡藩の殖産興業を支援する金融と通商を目的に渋沢栄一が設立した半官半民の会社企業。銀行と商業会社を併用した形態だったという。

 

 

 

◇ 合本組織

 

 広く出資者をつのり、事業会社を運営する形態を渋沢栄一は追求した。それが合本組織、合本会社と言われるもので、渋沢が明治初期に設立した商法会所も合本組織であった。それを発展させたのが株式会社である。

 

                参考文献 論語と渋沢栄一 プレジデント社

 

【コメント】

 

 古きを学ぶことはそこから万古不変の真理を知り、自らの糧にすることをいうことになります。これは決して新しい知識や見解を得るなどというようなものではなく、過去の人々の言動から心を養うものとして学ぶというものです。

 

 そのようにしますと古い事を学んでいるにも拘わりませず、何故か気付かされる部分が多くありますね。このとき初めて「向上の道を得た」ことになり、これが新しい知識や道理を知るという事に繋がります。

 

 つまり過去の事柄を研究して現在の事態に対処することは、決して何かの為にするところのものではありません。自分が誰かの師となるためでもありません。過去に生きた偉大な人々を師として向上をはかることなのです。

 

 私達人間は、肉や魚、野菜を食し、植物が生産する酸素を吸って呼吸をしています。当たり前のことですが、あまりにも当たり前すぎてその大切さを忘れてしまうことは無いでしょうか?

 

 自然界のなかでも、支え合いの関係は至る所で存在しますが、その関係こそが「生物多様性」であり、その関係が崩れれば、私達人間にも大きな影響を及ぼします。全てに於いて互いに感謝し、補い合って成長してゆくことが必要です。

 

 そのためには、古き良きところに眼を向け、新しい発想を取り入れながら前進してゆくことは、何時の世も変わる事なく、次の時代へと引き継がれてゆくのでございましょう。

 

 この精神を基に、経営士・コンサルタントは、多くの企業様・事業者様を温かい心を持ち、時には厳しく支援し続けることこそが使命と心得ます。当協会の会長は、コンサルタント歴40年ですが、会得した様々な財産を後世に伝承すべく全国に発信して下さっています。その言動の背景には、「温故知新」、すなわち「故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る」の精神が宿っているのでしょう。
 
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