>【全文公開】人と比べられる世の中。 >子どもたちに必要なのは「人と比べない自信」 >2022年6月8日 17:00
(略)
>――植松さん [植松電機社長・植松努さん] は子どものころ、「飛行機やロケットに関わる仕事がしたい」と思ったところ、まわりの大人から「お前なんかにムリだ。できるわけない」とたくさん言われたとのことです。
>そんななかで、なぜチャレンジを続けることができたのですか?
> それ、前に小学生にも質問されました。
>「どうしてだろう?」と自分でも思いました。
>よくよくふり返ってみると、僕には相談できる人がいたんですね。
>僕の相談相手は、伝記に書かれている人でした。
>実在の大人は、「できない理由」しか教えてくれなかった。
>「すごく頭がよくないとムリだ」、「お金もすごくかかるぞ」と。
>しかも、こんなふうに否定してくる大人は、全員、飛行機やロケットをつくったことがない人たちでした。
>ところが、伝記を読めば、ライト兄弟など、実際につくった人が「こうやったらできるよ」と教えてくれます。
>何もやっていない大人ではなく、実際にやっている伝記のほうが真実だと思いました。
そうですね。やっていない人の方が、想像力がたくましいですね。
>僕は伝記の人たちに励まされて、生きてきたんです。 >でも最近の中学生、高校生の相談を受けていると、彼らはまわりの大人の言うことを信じすぎているように思います。
そうですね。言われたことを信じる人が多いですね。
>もっといろんなものを読んだり、見たりすればいいのに。
そうですね。賢い人は「純粋によく観察する」が、そうでない人は「自分の期待したもの」しか見ようとしない。
>みんなまじめなのか、見ている世界が狭いんじゃないかなという気がするんです。
そうですね。日本人は思考を停止していますからね。
>黒歴史こそ大事
> 中学生のころって、からだと心が一気に成長して、ホルモンも出てきて、ぐちゃぐちゃになりますよね。
>そして詩を書いてみたり、マンガを描いてみたり、小説を書いてみたり、歌をつくってみたり、そういうことをやらかすようになる。
>たいていは「黒歴史」ですけれどね(笑)。
>でも、こういう黒歴史を経験しておかないと、まずいんじゃないかと思うんです。
>頭のなかをぐちゃぐちゃにしながら成長する時期が中学生だとしたら、その時期にまじめに勉強と塾通いばかりでよいのかな、と。
そうですね。人の受け売りと後追いの練習ばかりしていては未来が開けませんね。
> もちろん子どもたちが悪いんじゃないですよ。
>大人たちの問題です。
>大人たちがつくりあげた今の学校教育制度では、素直でまじめで勤勉な人を育成しようとしていますね。
>でもそれは、ロボットに100%負ける人です。
そうですね。
>――ロボットに負けちゃいますか?
> だって、ロボットのほうがはるかに素直で勤勉ですから。
ロボットはストライキをやりませんからね。
>人間の資質として、素直さやまじめさ、勤勉さはとてもよい資質ですけれども、それだけじゃダメだと思います。
>もっと大事な資質は、おそらく「優しさ」だと僕は思うんです。
>なぜかというと、優しい心がないと、問題を問題として見つめることができなくなるからです。
>身のまわりに困っている人や苦しんでいる人がいるときに、なんとも思わないことができてしまう。
>僕は、この世のすべての仕事というのは、本来は困ったこと、悲しいこと、苦しいことの解決であってほしいと思っています。
そうですね。人はお互いに助け合って生きてゆくものですからね。
>でも優しさがないと、この3つを見落とすことになります。
>今、日本は、優しい人を増やす必要があると、すごく思っているんです。
>――不登校・ひきこもりの人が「自分なんかダメだ」、「どうせムリだ」と思ったとき、どうすれば失った自信を取り戻していけると思いますか?
> 私のまわりにも、たくさん勉強して、よい大学へ行って、よい会社に入って、でも、そこで挫折した人がたくさんいます。
>パワハラだとか、いろんなことがあって、会社を辞めてしまう。
>そうした人たちが、ひきこもりになることもありますよね。
>そして社会復帰するために作業所という、国の助成を受けた施設で働く。
>社会復帰の場、整備されずに
> でも作業所はごくかんたんな単純作業が多いので、うまくなじめない人も多いです。
>ようするに、一度ドロップアウトしてしまった人が、社会復帰するためのルートが整備されていないんです。
>だから僕は、自信を失った人たちに小さなロケットのつくり方を覚えてもらいました。
>そのロケットを持って、近くの小学校へロケットのつくり方を教えに行ってもらうんです。
> 会社とかで、さんざんやっつけられて、「自分なんかダメだ」と思っている人たちが、子どもたちをサポートするわけです。
>子どものつくったロケットが飛んで行って、子どもの喜ぶ顔を見ると、なんだかサポートしている人の自信が増えていくんですよ。
>自分が役に立った、誰かを助けることができた経験は、人を元気にするんだなと気づいたんです。
そうですね。人はお互いに助け合って生きてゆくものですからね。
>だから僕はロケット教室をあちこちでトライしています。
>――すごいですね。
>それは植松さんが思い付いて、やられているんですか?
> そうです。
>一番最初にロケットを使った授業をさせてほしいとお願いしたのは、娘のクラスでした。
>うちの娘のクラスは、16人しかいなかったんですが、そこで学級崩壊が起きていました。
>先週いじめをしていた人が、今週はいじめられるみたいな感じで、全員ローテーションでいじめられていたんです。
>しかも、すごく陰湿なんですよ。
クラスは退屈男・退屈女で溢れていますね。
>「なんでこんなことになるのだろう。
>ひょっとしたら、この子たちは自信がないのかな」と思ったんです。
>この子たちの自信を増やすにはどうしたらよいか考えました。
>そして、「できるわけないと思うようなことが、できるようになったら、自信が増えるかな」と思って、ロケットを持って教室へ行きたいと言ったんです。
>そしたら、娘の担任の先生に怒られました。
>「このクラスの子どもたちは、みんな能力が低いんです。
>ロケットなんか、つくれるわけがないんです」と言われました。
>いや、うちの娘、そこにいるんだけどね(笑)。
> 実際にロケットの授業ができることになって、教室へ行ってみると、その先生がすべて仕切るんですよ。
>「はい、この表を見なさい。部品番号を調べなさい。
>勝手なことをするんじゃない。
>まだ袋を開けるんじゃない」とか言っている。
>僕は「先生、それはやめてください」とお願いしました。
>それから子どもたちに言いました。
>「みんな好きにつくっていいから。
>わかんなかったら、わかってそうな人に聞けばいいから。
>わかったら、わかってなさそうな人に教えればいい。
>たったそれだけです。
>予備部品を山ほど持ってきたから、好きにつくっていいよ」と。
>そうしたら、みんなどんどん勝手につくっていくんですね。
> つくり終わったロケットを飛ばすときには、みんな「自分から飛ばしたい」と我先に並ぶんです。
>「風向きを見るために、ためしに1本飛ばしてみるね」と言って、1本、私が打ち上げます。
>時速200キロを超えるロケットがバーっと100メートル上空まで一気に上がって、それからパラシュートを開いてゆっくり降りてきます。
>それを見て、みんなの顔がまた曇っちゃうんですね。
>「あんな飛ぶとは思わなかった」と。
>そして「自分のはダメだ、絶対飛ばない」と言うんです。
>列も逆になってしまう。
>「君からどうぞ」と譲り合うんです。
> でもね、飛ぶんです。
>飛ぶように、ちゃんと僕らが見ていますから。
>飛んだら、子どもの表情は変わりますね。
自分の成功体験が自信を深めますね。
>そして、そのあと学級崩壊がおさまっちゃったんですよ。
自分自身の協力体験がクラスから退屈男・退屈女を追い出してしまいましたね。
>みんな仲よくなることができました。
‘めでたし、めでたし’ ですね。
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