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お久しぶりです。ネタバレあります。

「父親たちの星条旗」 もうひとつの戦場

2006-11-04 09:37:21 | 映画感想
(2006年11月2日 MOVIX三好 2006年・米 シネスコ SRD 132分)

クリント・イーストウッド監督が、太平洋戦争で壮絶を極めた硫黄島での戦いを、アメリカ側、日本側それぞれの視点から描く2部作の第1弾。硫黄島の擂鉢山に星条旗を掲げる6名の兵士を写した有名な戦争写真の裏側に秘められた真実の物語を描く人間ドラマ。

極めて「プライベート・ライアン」に近い、リアリズム満載の戦争映画ではありますが、人間ドラマが戦闘の激しさに負けてない。とりわけ、故郷に戻ってからのドラマが強い。戦場よりも故郷で生きる方が辛いとさえ思わせます。

それと言うのもこの人の映画は、ビックリするほど薄っぺらくて無神経な人間の描き方が、何と言うか分かりやすい。(「ミリオンダラー・ベイビー」でのあのTシャツとか)

兵士たちをかたどった白いお菓子の上に、血を思わせるストロベリーソースがかかる場面を見ても、彼らが国家の宣伝の道具程度の扱いなのが腹立たしい。そこが観客の感情を揺さぶる秘訣でもありますが、今回のポール・ハギスの脚本は、3つの時制を行き交う構成だったゆえ、感情が上手く流れなかったかな。あとは主役3人以外をはっきりと判別する前に終わったような気もします。

それにしても、エンドクレジットの写真の数々が、本編と全く印象が異ならないところが凄い。主役の3人もよく似てるし、戦場の状況もそのまま。クレジット中に立つ人が皆無だったのは、皆これらの写真を見ながら映画を思い返していたのでしょう。

で、今も昔も、アメリカは戦意高揚の為に英雄を作り出すんでしょうね。

生き抜いて、故郷で英雄として祭り上げられるのがアメリカならば、お国の為に戦場で散って英雄として奉られるのが日本。こんな風に、次回作が対になる話なのかどうかは分かりませんが、星条旗の写真の見方を変えた今作のように、日本人の戦争観を少しでも変える作品になっていればいいと思う。


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