たまやんの「大きい画像の貼れるブログに引っ越したい」

お久しぶりです。ネタバレあります。

「プリズナーズ」

2014-05-10 00:03:58 | 映画感想
(2014年5月8日 ミッドランドシネマ名古屋空港 2014年・米 ヴィスタ SRD 153分)

ペンシルヴェニア州ののどかな田舎町。感謝祭の日、工務店を営むケラーの6歳になる愛娘が、隣人の娘と一緒に忽然と姿を消してしまう。警察は現場近くで目撃された怪しげなRV車を手がかりに、乗っていた青年アレックスを逮捕する。しかしアレックスは10歳程度の知能しかなく、まともな証言も得られないまま釈放の期限を迎えてしまう。一向に進展を見せない捜査に、ケラーは指揮を執るロキ刑事への不満を募らせる。そして自ら娘の居場所を聞き出すべく、ついにアレックスの監禁という暴挙に出てしまうケラーだったが…。




2時間33分の長尺ながら、体感時間はあっという間!
最後までハラハラモヤモヤさせられる傑作サスペンスでした!


「愛する娘を奪われた時、父が踏み越えた一線とは」
この惹句を見ると、一線を超えた正義を問うものなんだろうなと、実はこれ以上に大きなテーマを抱えていた。

まず、主人公のケラーが神に祈りを捧げてから鹿を殺すんですよね。
これが神の名の下に行われる行為で、全ては神の思し召しであると。
しかも、この日が感謝祭である事も見逃せない。

キリスト教の信仰が強い国の人が見ると、こういう分かりやすい要素の他にも多くのメタファーがあってテーマが明確になっているというんです。

映画には神を信じる者、神の信仰を捨てた悪魔、そして神とは程遠い者が登場し、果たして神と悪魔のどちらが勝つか。
共通するのは皆何かに囚われていて、信仰ゆえに犯罪を犯す者もいれば、神を捨てた人間が犯す犯罪もある。
なんかこう、1つの事件として捉えるのではなく、人間がこれまでに長いスパンで行って起きて来た事を、ひとつに象徴的にまとめあげたというか、そういう深い深い作品なんですよ。

ロキは「マイティ・ソー」のキャラクターで聞きなじみのある名前であるけど、もとは北欧神話における頭のいいトリックスターであるけど、キリスト教とは交わる事が無いのでああいったばれるばれないみたいな事がある…のか。
よく考えられた話ですよねえ。
ほとんどぐぐりましたが、この作品を理解するのにそれなりの素養が必要なのも分かりました。

それを離して、普通にサスペンスとして観ても面白い。
何と言っても、ロジャー・ディーキンスのカメラが素晴らしい。
最初からおおっと思わせるカットもあるけど、クライマックスのカーアクションを捉えた撮影は凄いわ。こんな美しいカーアクションは今まで観た事がない。


最新の画像もっと見る