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お久しぶりです。ネタバレあります。

「わたしはロランス」

2013-10-14 22:11:47 | 映画感想
(2013年10月14日 名古屋シネマテーク 2012年・加=仏 1:1.33 SRD 168分)

モントリオール在住の国語教師ロランス。彼には、ある秘密があった。それは、彼の心は女であり、今ある男の体は間違いだと思っているということ。30歳の誕生日、ついに彼はそのことを恋人のフレッドに打ち明ける。最初は騙されていたと激しく非難したフレッドだったが、ロランスの気持ちを受け止め、一緒に生きていくと決意する。以来、学校にも女性の格好で出かけていくロランスだったが…。


同一性障害で女性として生きようとする男性と、彼を頑張って受け入れようとする女性の話。
主人公の名前のロランスは、トランスセクシャルのもじりながのだろうか…と考えたりもするがそこそこどうでもいいか。
ロランスの決断に対する反応が面白くて、考えは柔軟な若者や、昔から性癖を知っている母親にとっては「普通」なのに、父兄会はそれを良しとせず、それがちょっとした事が波紋を起こすのはリアルだな。人それぞれの「普通」の尺度を描く映画としても興味深い。

十年愛でもあり、素晴らしい腐れ縁の映画でもある。
「楽しみを半減させることリスト」をお互い言い合うという、幸福なような、むかつくような(笑)
ちょっと独特のものを持っているカップルというのを開巻すぐに分からせるのが凄い。
恋愛映画にあるようなこのカップルを応援したくなる感じじゃなくて、このカップルは強いなあと感じさせる。

その通りに、このふたりは性の問題とその様々な境界さえも越えるんですよね。
映画は1時間ずつのきれいな三部構成で、序破急の瞬間さえ見られる感情の発露、マイノリティが開かれる瞬間が観客にダイレクトに伝わってくる。

それなりの人生経験が無いと書けないような脚本なのに、この監督・脚本が24歳と言うのだから恐れ入る。
80年代ポップを多用して、あの頃のはっちゃけた感じを出すのも凄いよなあ。

メルヴィル・プポーの美しさとスザンヌ・クレマンの情熱を感じさせる演技があってこその作品。
スタンダード・サイズに収まりのいい顔の連続、そして色彩のセンスが素晴らしく、その色もまた主張しているという。


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