たまやんの「大きい画像の貼れるブログに引っ越したい」

お久しぶりです。ネタバレあります。

「扉をたたく人」

2009-08-09 21:27:55 | 映画感想
(2009年8月9日 センチュリーシネマ 2007年・米 ヴィスタ SRD 104分)

コネティカット州の大学で教鞭を執る62歳の経済学教授ウォルター。愛する妻がこの世を去ってから心を閉ざしたまま孤独に生きてきた彼はある日、学会出席のためニューヨークへ赴く。そして別宅のアパートを訪れると、そこには見ず知らずの若いカップル、シリア出身の移民青年タレクとセネガル出身の恋人ゼイナブが滞在していた。

孤独でやる気のない大学教授がいかに再生していくか、という人間ドラマを縦軸に、9.11以降のアメリカの変化、それに対する怒りをありありと描いていく。

周りに影響されないように暮らしてきた男がアメリカの現状を知る。それが自分のマンションを「よそ者」として訪ねた事がきっかけで、まさにアメリカの現実というドアを叩いたと言える。

原題は"THE VISITOR"ですが、今回は久々によく出来た邦題だなと思いました。

リアルな社会派映画を最後まで見せてくれたのは、俳優、演出の力はもちろん、音楽に拠るところも大きい。ドラムだけでこんなに心躍らせる事が出来るのかとワクワクさせられ、いつの間にかドラマに引き込まれてしまう。

しかし、そんな素晴らしいもの、愛すべき人物でさえ、今のアメリカのシステムはよそ者にしてしまう。それに対する怒りや悲しみがドラムの響きに乗せてダイレクトに伝わってきました。

主人公を演じたリチャード・ジェンキンスはコーエン兄弟やファレリー兄弟の作品でおなじみの名脇役ですが、彼の持つ渋さ普通っぽさがこの作品に活きていたと思います。


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