特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

MMの楕円の3Dプロット

2022-12-27 01:27:26 | 日記

その3・ ローレンツ変換を調べてみた・相対論 : http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=28761 :ではK系での円がK'系では楕円に変換される事を見てきました。

そうして『上記の変換は縦軸が時間軸であるのでMMの楕円の場合とは状況が異なりますが・・・』などという事を書いた時に気が付いてしまいました。

「MMの楕円の3Dプロットが出来るのでは?」と。



それで本来であれば『K'系で円を表示させるには前もってK系で妥当な楕円を表示している必要がある、という事です。』という事になるのですが、それは非常に大変な事。

出来なくはないでしょうが、複雑でやっかいです。

「でもローレンツ逆変換があるではないか」とひらめいたのです。

つまりK'系で円を表示させておいて(=これはつまり「相対速度Vで運動している観測者は自分が出した光が自分のまわりに同心円状に広がるのを確認する」=光速不変の原理=特殊相対論の前提、に対応します)、それをK系にローレンツ逆変換してやれば、そこにMMの楕円が現れるはずだ、という事なのです。(注1)

まあもちろん、「いままでMMの楕円について検討してきたことが合っていれば」が前提ではありますが、その事の確認もこれでできます。



ローレンツ逆変換自体はローレンツ変換で相対速度をVとする所をーVとするだけです。

具体的にはローレンツ変換は

K'系の空間軸成分 ー>X'=a*X+b* t 

K'系の時間軸成分ー>t'=a*t+b*X 

ここで

a=1/sqrt(1-β^2)

b=ーβ/sqrt(1-β^2)

なのですが従来はV=0.58Cですからβ=V/C=0.58を代入でした。

このβをー0.58にかえればそれでローレンツ逆変換の出来上がりです。

ちなみに空間軸としてのY軸成分のローレンツ変換は

K'系の空間Y軸成分ーー>Y'=Y

であって変換によって影響をうける事はありません。

従ってローレンツ逆変換も

Y=Y'

となります。



それで以上をまとめますとK'系で円を表示させるのは

パラメトリックプロット t は0から2π

K'系X軸成分ーー>X'=cos t

K'系Y軸成分ーー>Y'=sin t

K'系時間軸成分ーー>t'=1秒

ただしここで t は媒介変数としての t です。



そうして ここでK'系で円を表示させる時に t' =1秒と入力する理由は、

t'=0秒でK’系の原点から光を出した、

その時にはK系とK'系の原点の位置はかさなっていた、

その後K'系はK系のX軸方向に速度V=0.58CでK’系の時計で計って1秒間移動した、

その位置でK'系の原点から1秒前に出した光を見ると自分を中心として光は同心円状に半径C=1で広がっていた、

という「実験事実=特殊相対論の前提」に対応しています。

この認識、 t' =1秒と入力する理由は、割と重要なポイントです。



さてそれで、ここで一応K'系での円を表示しておきます。

x=cos t , y=sin t  パラメトリックプロット t は0から2π

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3Dcos+t++%2C+y%3Dsin+t+%E3%80%80%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80t+%E3%81%AF0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80



t'=1 を入れて3D表示でみるならば

x=cos t , y=sin t ,z=1  パラメトリックプロット t は0から2π

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3Dcos+t++%2C+y%3Dsin+t+%2Cz%3D1+%E3%80%80%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80t+%E3%81%AF0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80



1、さてそれでK'系のこの円をローレンツ逆変換してK系に移します。

具体的にはこの場合のローレンツ逆変換は上記K'系で円を表示するのに使ったパラメータ(X',Y',t')を使って以下の様に表せます。

K系の空間X軸成分 ー>X=a*X'+b* t'=a*cos t+b*1 

K系の空間Y軸成分 ー>Y=Y'=sin t

K系の時間軸成分ー>t=a*t'+b*X’=a*1+b*cos t 

ここで t は媒介変数としての t です。

そうして

a=1/sqrt(1-β^2)

b=ーβ/sqrt(1-β^2)

但しこのβはローレンツ変換の時は0.58でしたが、それをー0.58にかえればローレンツ逆変換の出来上がりです。



以上をウルフラムにいれます。

x=(cos t+0.58*1)/sqrt(1-0.58^2) , y=sin t , z=(1+0.58*cos t)/sqrt(1-0.58^2)  パラメトリックプロット  tは0から2π

実効アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3D%28cos+t%2B0.58*1%29%2Fsqrt%281-0.58%5E2%29+%2C+y%3Dsin+t+%2C+z%3D%281%2B0.58*cos+t%29%2Fsqrt%281-0.58%5E2%29++%E3%80%80%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88++%E3%80%80t%E3%81%AF0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80

これがMMの楕円の3Dプロット(=ローレンツの楕円)になります。(注2)

「原点から上に伸びているライトコーン」と「K'系の時間 t'=1 秒で作る同時刻X’-Y'平面=ライトコーンの切断平面」を表示できればよいのですが、そこまでの技量は残念ながら持ち合わせていません。

申し訳ないのですが読者の方々は「アタマの中でそのようにイメージしてみて下さる事」をお願い致します。

ちなみにライトコーンはこんなものー> https://archive.ph/nHe1d

これをK'系のt’=1秒で定義される同時刻平面が切断します。

この同時刻平面の側面図については下記に示す「側面図」を参照願います。

あるいはこの同時刻(t’=1秒での)切断平面の3D表示は(注3)の様になります。



楕円である事がよく分からない?

そうですか。

それではこれをK系X-Y平面に正射影して(=時間軸成分を無視する)表示します。(=平面図)

これが今まで検討してきた2次元表示でのMMの楕円となります。

x=(cos t+0.58*1)/sqrt(1-0.58^2) , y=sin t  パラメトリックプロット  tは0から2π

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3D%28cos+t%2B0.58*1%29%2Fsqrt%281-0.58%5E2%29+%2C+y%3Dsin+t++%E3%80%80%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88++%E3%80%80t%E3%81%AF0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80

今度はこれが楕円である事がはっきりしました。



ちなみにミンコフスキー図での表示(=Y軸成分を無視する)ではこうなります。(=側面図)

x=(cos t+0.58*1)/sqrt(1-0.58^2) , y=(1+0.58*cos t)/sqrt(1-0.58^2)  パラメトリックプロット  tは0から2π

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3D%28cos+t%2B0.58*1%29%2Fsqrt%281-0.58%5E2%29+%2C+y%3D%281%2B0.58*cos+t%29%2Fsqrt%281-0.58%5E2%29++%E3%80%80%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88++%E3%80%80t%E3%81%AF0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80

これが原点から上に向かって伸びるライトコーンをK'系の時間 t'=1 秒で作る同時刻X’-Y'平面で切断した時のライトコーンと切断平面の交点が作る楕円(=ローレンツの楕円)を横から見た姿です。

そう言う訳で実は今までもローレンツの楕円はミンコフスキー図で見えていました。

しかしながらそれは「ローレンツの楕円の側面図」でしたから「誰もその線が楕円を表している事」には気が付きませんでした。



2、上記「2次元表示でのMMの楕円」が本当にMMの楕円になっているのか、確認してみる。

K'系での1秒はK系では

K系時間t=1/sqrt(1-0.58^2)=1.22757・・・秒

となります。

相対速度0.58Cで移動しているK'系での時間はK系より遅れるのでそうなります。

それでK'系の移動速度は0.58Cでしたので、その時間でのK'系の原点がK系の原点から移動した距離X0は

X0=1/sqrt(1-0.58^2)*0.58C=0.711991・・・C

となります。

ここではC=1の単位系ですから

X0≒0.71

さてそれで2D表示されたMMの楕円のX=0.71にカーソルを持っていき、左側と右側の楕円までの距離をみてみると概算でどちらも1.2ぐらいになっています。

つまりこの楕円の中心にK'系の原点がK'系の時間 t'=1秒で来ている事が分かります。

そうしてその時にはK'系の原点からY方向の楕円までの距離は1になっており、つまり「K'系の原点に立つ観測者はY軸方向(=ローレンツ変換の影響を受けない方向)の楕円までの距離を1Cと認識する」とそういう事になります。

そうして1というのはこの楕円の短軸の値となっています。



さて次にこの楕円がMMの楕円であればその長軸は

長軸=短軸/sqrt(1-β^2)=1/sqrt(1-0.58^2)=1.22757・・・

となっていなくてはならない、というのは「その2・ マイケルソン・モーレーの楕円(MMの楕円)・相対論」: http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=28313 :の結論でした。

そうしてこの楕円の長軸は確かにそうなっています。

以上でこの楕円がMMの楕円である事が確認できました。



注1:ローレンツ変換はF(V:X,Y,t)=(X',Y',t')と書く事ができます。

ここでVはK系に対するK'系の相対速度です。

それで通常はK系のMMの楕円がK'系にローレンツ変換で写像されてそこでは円として認識されています。つまり

K系でのMMの楕円の座標(X,Y,t)->F(V:X,Y,t)ー>(X',Y',t')<-k’系では円になる座標のあつまり

これが通常の順方向のローレンツ変換のありようです。

これをひっくり返しますと

k’系では円になる座標(X',Y',t')->F(-V:X',Y',t')ー>(X,Y,t)<-K系でのMMの楕円の座標のあつまり

となります。

ここでF(-V:X',Y',t')はローレンツ逆変換です。これはローレンツ変換のVをーVに置き換えただけのものでOKです。

こうやってローレンツ逆変換を使う事で「単純な円の式から複雑なMMの楕円の3次元座標が”簡単に得られる”」という事になります。



ちなみにこれを「立体幾何の問題の解法=頂角が90度の円錐を平面で切断した時の切り口に現れる楕円の形状を求める方法」と見る事ができます。

そうして数学的な思考方法からは上記で示したローレンツ逆変換を用いる解法は出てこないでしょう。

という訳で特殊相対論とミンコフスキー図から出てきた理解によって「円錐の切断問題が解ける」というこの展開はとても興味深いものとなります。



注2:ローレンツの楕円とは「ライトコーンとK'系のX'Y'切断平面の交点が作る、その切断平面上に現れる楕円」の事。

このローレンツの楕円をK系のXY平面上に正射影したものがMMの楕円となる。

以上の内容詳細については「その3・ ミンコフスキー図に現れるMMの楕円・相対論」: http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=28406 :を参照願います。



注3:少々平面の式でY軸方向にうそがありますが、外観のイメージをつかむにはこれで十分かと思います。

-0.58x+0.00000000000000001y+z-0.8=0  プロット

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=-0.58x%2B0.00000000000000001y%2Bz-0.8%3D0+%E3%80%80%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88

本来の切断平面の式は

-0.58x+z-0.8=0  

しかしながらこれだとウルフラムは3Dプロットをしてくれないので、しかたなくyに微少量を加えた近似式を使っています。



追伸

このローレンツの楕円をK系のY-t平面に射影するとどうみえるか?(=立面図=K'系の進行方向から振り返ってみた場合の絵)

x=sin t , y=(1+0.58*cos t)/sqrt(1-0.58^2)  パラメトリックプロット  tは0から2π

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3Dsin+t+%2C+y%3D%281%2B0.58*cos+t%29%2Fsqrt%281-0.58%5E2%29++%E3%80%80%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88++%E3%80%80t%E3%81%AF0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80

ま、当然こう見える事になりますね。


追伸の2
以上の結果をまとめてみますと

・K'系の原点は速度Vで左から右にうごきながらK系の原点位置に到達した所で光をだした。

・その光はK'系がどのような速度で動いていてもK系の原点を中心として同心円状に速度がCで広がっていった。

・これをK系の時空図上でみるならば、それは未来方向にのびるライトコーンを作っていた。

・さてそのライトコーンをK'系の時間で1秒後に観察したK'系の原点に立つ観測者は「自分を中心として自分のまわりに広がる半径が1Cの円を観測した」

と言う状況を表している事になります。

つまりこれが「光速度がいつもCとして観測されるカラクリ=光速一定の原理の舞台裏」であります。

そうしてこの時にK系とは「基準慣性系の別名」であり、全ての慣性系(=K'系)はこの基準慣性系の中で慣性運動をしているのです。

そうであれば当然「全てのK系に対して慣性運動している慣性系(=K'系)は光速をCとして観測する事になる」のでありました。

ちなみに「もちろんK系の原点に立つ観測者も光速はCとして観測します。」


追伸の3
上記で述べた「光速度がいつもCとして観測されるカラクリ=光速一定の原理の舞台裏」についてはミンコフスキーさんがMN図にライトコーンを描いた時に(=1908年)すでにそれ説明するのに必要なパーツは全て出揃っていました。

しかしながら「我々の目が見えていない為に」2022年までそのメカニズムが解き明かされる事はありませんでした。

教訓:今までの慣習を疑ってみる事も時には必要である。


PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.ph/77c5C
https://archive.ph/sgvqO