特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

その10・0.6Cで動いている慣性系の上でのMMの干渉計の完全解

2024-10-07 03:36:58 | 日記

S系に対して0.6Cで動いているK系のうえでMMの干渉計を使った実験をやったらどうなるか?という話です。

これはいままでの話のまとめの代わりですが「0.6Cで動いているK系の上で5C離れた場所にある時計の時刻を光を使って原点にある時計と時刻を合わせる、あるいは時刻があっている事を確認する」という話にもなっています。

 

さてそれでMMの干渉計のそれぞれの腕の長さは5C。

腕の先端にはもちろん鏡が付いてます。

そうしてその腕を気前よくプラスマイナスX方向とY方向に5C分伸ばします。

つまりは十字架を作るのです。

さてそれでその十字の原点に光源を置いて10秒間、スイッチを入れます。

 

まずはXプラス方向、これはK系の進行方向と一致しています。

今までの計算結果を使えば原点時間8秒の時に5Cの場所にある鏡に光は到達しそこで反射されます。

つまりは「原点時間で8秒、行きに必要だった」のですが「鏡の場所に置かれた時計の時刻では5秒の時に光はその場所に届いた事になっている」のでした。

 

さてそれで鏡で反射された光は今度は来た道を引き返します。

引き返すときは光の到達距離は伸びるのでした。

伸びる割合は原点時間8秒でー20Cに到達でしたね。

従ってー5C走る為には原点時間で2秒あればOKです。

 

さてそういう訳でXプラス方向に出た光の先頭の波面は原点時間8秒でXプラス端の鏡に到達し、そこで反射され戻り時間2秒で原点まで戻ります。

こうして原点では「距離5Cの場所にある鏡まで光は行って帰って10秒かかった」。

従って「鏡には原点時間で5秒の時に届いたに違いない」と結論を出すのです。(注1

そうしてまた後になって鏡の場所に立つ観測者からも「スイッチをいれてから5秒で光は鏡まで到達した」と報告を受ける事になるのです。

 

さて次にマイナスX方向に出た光を考えます。

この光は原点時間2秒でー5Cの場所にある鏡に到着しそこで反射されます。

但し鏡のある場所に置かれた時計はその時には5秒をさしています。

次にこの光は原点時間で8秒かかって原点までもどります。

こうして原点では「距離ー5Cの場所にある鏡まで光は行って帰って10秒かかった」。

従って「鏡には原点時間で5秒の時に届いたに違いない」と結論を出すのです。(注1

そうしてまた後になって鏡の場所に立つ観測者からも「光はスイッチをいれてから5秒で鏡まで到達した」と報告を受ける事になるのです。

 

さて次にプラスY方向に出た光を考えます。

ここで注意が必要な事は「Y軸方向の時間軸はBT時間軸ではなくてNT時間軸のまま」という事です。

つまりは「Y軸上のどの場所の時計の時刻も原点に置かれた時計の時刻と常に一致していてずれの発生はない」のです。

さてそのようなNT時間軸の上では光は静止系と同じ挙動をします。

つまりは「Y軸上+5Cの所に置かれた鏡まで光が届くのに必要な原点時間は5秒である」となります。

そうして実際にその時に鏡のある場所に立つ観測者も光が届いた時には5秒という時刻を確認します。

 

さて光は帰りも5秒で原点に戻ります。

そうであれば原点では「距離+5Cの場所にある鏡まで光は行って帰って10秒かかった」。

従って「鏡には原点時間で5秒の時に届いたに違いない」と結論を出すのです。

そうしてまた後になって鏡の場所に立つ観測者からも「光はスイッチをいれてから5秒で鏡まで到達した」と報告を受ける事になるのです。

 

マイナスY方向に関してはプラスY方向と全く同じなので省略します。

 

さてこうして原点に立つ観測者は「光はいずれの方向にも1Cで進み5Cの場所にある鏡に光源のスイッチを入れてから5秒後に同心円状に広がって到達した」と結論を出すのです。

そうしてそれぞれの鏡の場所に立つ観測者も原点に立つ観測者の主張を支持するのです。

こうして「動いている慣性系の上でも光の速度は1Cである」とこれが有名なMMの干渉計の結論でした。

そうしてこのMMの干渉計の結論から「光速不変の法則が成立している」とか「光についても相対性原理が成立している」、つまり「光は静止系と運動系を区別しない」とか言われる事になったのです。(注2

 

しかしながら実際には「光は原点時刻2秒でX軸ー5Cの場所に到達し、原点時刻5秒でY軸プラスマイナス5Cに到達し、原点時刻8秒でX軸+5Cの場所に到達していた」のでした。

さてこの状況は「とても同心円状に広がった」などと言えるような状況ではないのですが原点に立つ観測者とそれぞれの鏡の所に立つ観測者にとっては「その事は知る由もない事」なのであります。(注3

 

注1:アインシュタインの結論の出し方はそうなっています。

そうしてどうやら業界の慣習としては「そうやって計算するのが妥当である」となっている模様です。

注2:だがしかしそれは単に「光を測定する事では静止系と運動系の区別は出来ない」という事を表しているにすぎないのです。

そうして皆さん「光でやってだめならほかの手段があるさ」とは考えなかった様です。

つまり当方に言わせれば「諦めが速すぎる」のであります。

いやそれは言い過ぎですか。

当時の技術レベルを考えるならば「MMの干渉計」は最先端でしたね。

失礼しました。

注3:通説に於いては「K系でも静止系と同様に原点から出た光は原点を中心として同心円状に広がる」と説明されています。

しかしながら実際はそうではなく「同心円状に広がる」というのは原点に立つ観測者の勘違いに過ぎない、という事になります。

しかしながら「そうはいっても原点に立つ観測者のこの勘違い認識は『むべなるものかな』」という事も出来ます。

 

さてそれでこの時にS系(=静止系)からこれを見ますとどのように見えるのか、という事になるのです。

その状況がわかるアニメーションがあります。

ドップラー効果の原理 : https://archive.ph/R0Nku

同ページの上から7番目のアニメーションがそれを示しています。

最初はMM干渉計が静止系に対して静止している状況を示します。

その時は原点から出た光は原点を中心とした同心円で周囲に広がっていきます。

しばらく見ていると光源が(ここでは音叉ですが、、、)右に移動し始めます。

そうすると光は進行方向に詰まった形で右に進むことが分かります。

この時に光源を原点としてX軸、Y軸をそこに重ねますと、光の速度が一番遅くなるのが+Xの進行方向、次にY軸方向、そうして一番速く(光速Cを超えて)観測されるのが光源の進行方向と逆方向のーX方向です。

その様にMM干渉計の原点に立つ観測者は観察するはずだ、と主張するのが「ガリレイ変換の立場」となります。

一方で「静止系からみればアニメーションが示している通りの状況が観測されるが、MM干渉計の原点に立つ観測者は原点から同心円状に広がる光を観測する」と主張するのが「ローレンツ変換の立場」=「特殊相対論の立場」という事になります。

 

ちなみに「何故そんな事が可能になっているのか?」と最初に考えたのがローレンツでした。

そうして「光が右方向に詰まって左方向に延びるのであれば、その様に測定系も変形すればよい」と気が付いたのです。

そうして局所時間のアイデアを盛り込んだローレンツ変換の式を提案しました。

その提案された式の中で時間の変換式にあった不足分を追加、修正したのがポアンカレでこれでローレンツ変換は完成したのです。

 

さてそこまで到達すれば後は「ローレンツ変換で何故物事はうまく説明できるのか?」となります。

そうやって考えるならば「静止系に対して運動している慣性系の時間軸、空間軸そのものがローレンツ変換が示している様に変形しているのだなあ」となるのは妥当な所です。

そうして「運動している慣性系が運動を止めればBT時間軸はNT時間軸に戻る」のです。

 

ちなみに「BT時間軸になっている慣性系でもマクスウェルの方程式はその形を変えない、不変に保つのですが、時間軸がNTからBTに変わる事で『原点から出た光は同心円状には広がらない』というのが重要なポイントです。」

そうしてその事をアインシュタインもミンコフスキーも見逃していたのです。

 

追記:光そのものを使って光で慣性系の静止系に対する運動を検出しようとする実験はこうしてローレンツ変換そのものの働きで失敗に終わる事になるのです。

それがMMの干渉計の教える実験事実であります。

ちなみにMMの干渉計は「地球が静止系に対して動いている事を光を使って検証する事が目的」と言い変えることができます。

そうしてMMの干渉計の実験結果は「地球の動きは検出できなかった」でした。

 

この結果は実験を行った本人たちの狙いからすれば「狙い通りにはいかなかった、失敗した実験」となります。

そうであれば通説では「MMの干渉計の実験は失敗した実験」となっていますが、その実験結果からローレンツ変換が導出された事を思えば「成功した実験である」とも言えます。

 

さてそのMMの干渉計の実験結果を受けて

1,アインシュタインは「客観的な存在としての静止系はない」としました。

それはまた「相対性原理は成立している」という主張にもつながるものです。

しかしながらそこには「もう一つの可能性」がありました。それは

2,「光の速度を測定しても地球の静止系に対する運動を検出できない」というものでした。

そうして実は2,の方が正しかったのです。

 

何故そう言えるのか、といいますれば「ローレンツ変換がそう言っているから」ですね。

MMの干渉計の実験では「地球の静止系に対する動きは検出できませんでした。」

その理由は上記本文で示した様に「MMの干渉計の実験では光を使ったから」と言うのがローレンツ変換の答えです。

 

さてそうであればアインシュタインはどこで勘違いをしたのか?

アインシュタインは「光速不変」と「相対性原理」からローレンツ変換式を導きだして見せました。(注4

そうしてその2つの前提から演繹的にローレンツ変換が導き出せた事で「光速不変と相対性原理は両方ともに成立している」としたのです。

加えて「ローレンツ変換式が導き出せたこと」で十分であるとして、「ローレンツ変換が語っている事を聞く事をしなかった」と言えます。

「なぜそうなったのか?」といえば「ローレンツ変換そのものの妥当性はローレンツやポアンカレによって十分に検討されていたから」であります。

言い変えますと「アインシュタインは答えを知っていて、但しその答えに至る新たな道筋を示しただけである」と言えます。(注5

そうであれば「光速不変と相対性原理からローレンツ変換式を導きだせたことで答えに到達できた」とし「それで十分だ」と勘違いしたのです。

その結果アインシュタイン自身は「ローレンツ変換を使って実際に何が起きているのか、再確認をしなかった」のです。

それがアインシュタインの犯したミスと言えます。

 

そのアインシュタインが見逃したBT時間軸についての良いイラストがfnorio氏の資料にある事を思い出しましたので以下、参照ねがいます。

BT時間軸のイラスト: https://archive.md/TN0TJ#3-2 :

[補足説明2]に時計が並んでいるイラストがありますが、それがBT時間軸のイラストになります。

それで横軸は(Xc[m])になっていますがこれはセンチメートルではなくて、X軸の単位は光速Cで規格化されている事を示しています。

そうであれば1は1Cの距離を示しています。

そうして運動しているのがξ系でほぼ0.25Cで右方向に静止系のx系に対して移動しています。

その時に静止系から見た時の運動系(=ξ系)の時計の時刻のずれと棒の長さの短縮の有様がイラストされています。

で棒の長さはローレンツ短縮を起こして少し短くなっており、時刻は原点より右側(進行方向)で遅れる方向にずれて、左側で進む方向にずれています。

これがまさに「棒の時間(BT)」を表したイラストでした。

ちなみに静止系は「ニュートンの時間(NT)」になっています。

最初にこのイラストを見た時には「何を言っているのかよく分からなかった」のですが「棒の時間(BT)」を理解してみるならば「まさにこれがそうであった」と気が付きました。

そうしてまたこのイラストは「慣性系の時間軸そのものが移動を始める事でNT時間軸からBT時間軸に変わるのだ」という事を明確にしています。

 

注4:アインシュタインが「光速不変」と「相対性原理」からローレンツ変換式を導きだした時に「相対性原理を使った場所」は「運動系(=K系)の原点から見ても『相対性原理の要請から』光は同心円状に広がる」とした所にあります。: https://archive.md/hjDby#selection-3893.0-3901.12 : 

しかしながら実際はいままで見てきたように「光は同心円状には広がってはいない」のです。

それがローレンツ変換が教える事実です。

 

・・・それぞれの導き方は微妙に異なりますが、どれも同じ結論になります。そのとき、いずれの証明に於いても途中で“相対性原理”を援用することは必要です。 : https://archive.md/hjDby#selection-3869.2-3875.13 :

相対性原理が成立していない場合は「証明に於いても途中で“相対性原理”を援用すること」が出来なくなります。

そうであれば「その証明は途中で止まり、ローレンツ変換式は導出できない」という事になるのです。

 

そういいながらfnorio氏はまたこうも主張しているのです。

『そして、実験事実である“光速不変の原理”と、因果律を満たすために必要な“一点で同時に起きた出来事は、どの慣性系から見ても同時に起きる”という要請を用いてローレンツ変換公式を導きました。
 1905年論文のローレンツ変換導出過程を子細に検討すると、まさにそうしていることが解ります。』: https://archive.md/aKkVB#selection-2189.2-2207.48 :

「“一点で同時に起きた出来事は、どの慣性系から見ても同時に起きる”という要請」と「光速不変」でローレンツ変換式が導出できるのであるならば「ローレンツ変換導出には相対性原理はいらない」という事になります。

そうしてローレンツ変換が成立しているならば「相対性原理が無くても」特殊相対論は特に困る事は無いのです。

そうしてまた「ローレンツ変換自体はそれをアインシュタインが導出できた、できないに関係なく存在しているこの宇宙の決まり」であります。

注5:とはいえ「それまで誰も演繹的にはローレンツ変換を導き出せた者はいなかった」のですから「それはそれでアインシュタインの一つの仕事である」とは言えます。

しかしながら「成立してはいない相対性原理を使って導出出来た」という事になりますので、さて「その仕事の価値」については評価が難しくなります。

といいますのも厳しい言い方をするならば「正しくない前提に基づいてローレンツ変換を導出できた」となりますので「その導出方法は間違っている」となるからです。

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「相対論・ダークマターの事など 記事一覧」

「その2:ダークマター・相対論の事など 記事一覧」

https://archive.md/lOQ9N