静止系に対して慣性運動している時計の時間が遅れる、と言うのは特殊相対論の結論でした。
そうしてその説明の為にいろいろな方々がいろいろな説明方法をもって説明してきました。
その説明方法の中にもう一つ、新たな説明方法を追加しようと思います。
といいますのも「静止系は客観的な存在である」という主張をしていますので、それに合った説明が必要となるからです。
そうしてまた「通説による説明方法」では「時間の遅れはお互い様」がそこから出てきてしまいますので、そうならない説明方法が必要です。
以前のページで話した事は次のようなものでした。
『それでまずは「時間の遅れはお互い様」の復習からです。
図1:時計AがY軸で、つまりは静止系で時計Bが相対速度0.8Cで時計Aから離れていきます。
y=0,x=0,y=1.25x,x=4,y=5 プロット -10<x<10, -10<y<10
実行アドレス
時計A時間で5日経過した所で時計Bの時刻を確認すると3日経過しています。
3=5*sqrt(1-0.8^2) です。
さて、しかしながらその時には時計Aと時計Bの距離は図1でみて分かる様に4光日離れています。
そうであれば時計Aからは時計Bは見えないのです。
でも通説の説明ではその事にはお構いなく「時計Aは時計Bの時刻をいつでも瞬時に知ることが出来る」としています。
さてではそれは具体的にどうするのか、といいますと「時計Aから無限大の速度をもつタキオン波を時計Bに飛ばし、時計Bの時刻を読み取ったタキオン波はそこで反射してまた時計Aに戻る」と想定するのです。
つまりは「タキオンレーダーを使う」のですね。
そうすれば時計Aと時計Bがどれだけ離れていても時計Aは瞬時に、同時に時計Bの時刻を知り得るのです。
さてそのタキオン波の行って帰ってくる状況は図1ではY軸の値が5で示された紫色の横線で示されています。
こうして無事に時計Aは特殊相対論の予想通りの結果を確認できた、という事になります。』
この時に3=5*sqrt(1-0.8^2)という式を「自明なもの」として提示してきましたが、この式が何故成立しているのか、という話となります。
それで上記の図1のY軸がここでの話の場合は「客観的に存在している静止系を表わす」とします。
それに対して時計Bが右側に固有速度0.8Cで時計Aから離れていきます。
この時に時計A時間で5日経過した時の時計Bの時刻を知りたい訳です。
それではどうするのか、といいますと「観測者Bは時計Bにくっついて移動しながら時計Aからのタキオン到着を待てばよい」となります。
そうしてタキオン到着を確認した時の時計Bの指し示す時刻を読み取れば、それが時計Aで5日経過した時の時計Bの経過時間となります。
ちなみに上記図1の説明では「時計Aと時計BがNM図の原点ですれ違う時にお互いの時計をリスタートしている」という前提になっています。
さてそれで、話の筋道はそれでいいのですが以上の内容のままでは時計Bが一体何時を指していたのか不明のままです。
そうしてそれを計算する時に「ローレンツ変換が登場する」のです。
観測者Bの視点では「離れていく様に動いているのは時計Aだ」となります。
そうして「静止しているのは時計Bの方だ」となります。
そうであればその状況を表すMN図を示さねばなりません。
そうして図1では「動いているとされている時計Bの動きを止める事」が必要になります。
それはつまり「図1の内容を速度0.8Cでローレンツ変換すればよい」という事であります。
図1でのイベントは2つです。
イベント①・・・時計Aが時計Bにタキオンを出した座標(5,0)
イベント②・・・時計Bが時計Aからのタキオンを受信した座標(5,4)
ちなみに座標表示は(t、x)の順です。
この2つの座標を0.8Cでローレンツ変換したものが観測者Bの世界認識となります。
さてそれでローレンツ変換式そのものは調べて頂くとして速度0.8Cでローレンツ変換する時の式は次のようになります。但しここではC=1の単位系を使っています。
x’=(xー0.8*t)/0.6
t'=(tー0.8*x)/0.6
イベント①の変換
x’=(0ー0.8*5)/0.6=ー(6+2/3)=-6.6666・・・
t'=(5ー0.8*0)/0.6=8+1/3=8.3333・・・
イベント②の変換
x’=(4ー0.8*5)/0.6=0
t'=(5ー0.8*4)/0.6=3
以上の結果をMN図2で確認します。
図2
y=0,x=0,y=-1.25x,x=-2.4,y=3,y=8.3333,x=-6.6666 プロット -10<x<10, -10<y<10
さてまずは図2において時計Bがどこにあるのかを確認します。
と言うよりはそれはすでにイベント②の座標のローレンツ変換の計算結果が物語っています。
座標(0,3)に時計Bはいます。
つまり「時計Aがすれ違い後5日経過した時点で時計Bにタキオンを出した、そのタキオンを時計Bが受信したのは時計Bタイムですれ違い後3日である」という事になります。
もちろんこれは時計Bと一緒に動いている観測者Bの視点からのものですから「時計Bは移動しておらず、静止したままである」、したがって「時間は3日経過したがその位置は原点から少しも動いてはいない」=「座標(0,3)に時計Bはいる」となるのです。
こうして「動いている時計Bの時間経過が明らかに出来た」という事になり、これと時計Aの時間経過を比較する事で「静止系の時間で5日経過した場合、0.8Cで運動している慣性系の時間は3日経過となる」がローレンツ変換とタキオンを使った計算で明らかに出来た事になります。
こうして無事に「客観的に存在する静止系」+ローレンツ変換の組合せで「静止系に対して運動している時計の時間は遅れる」が証明できました。
そうしてその結果は確かに3=5*sqrt(1-0.8^2)となっていました。
以上で説明は終わり、ならばよいのですがもう一つの問題「時間の遅れがお互い様にはなっていない」という話をする必要があります。
さてページが尽きました。
その話はページを改める事と致します。