特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

その5・ 光速不変を使わないローレンツ変換の導出

2023-02-01 05:33:33 | 日記

参考資料 : http://www2.physics.umd.edu/~yakovenk/teaching/Lorentz.pdf

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次のセクションに移ります。

『5)ローレンツ変換を参照フレームOからO'に、次にO'からOに戻しましょう。
最初の変換は速度vで実行され、2番目の変換は速度-vで実行されます。
方程式は(10)および(11)の方程式に似ています。
x =γ(−v)(x'+ v t')、   x'=γ(v)(x − v t)
t =γ(-v)(-x'v / a + t')、  t'=γ(v)(x v / a + t)、  (18)

またはマトリックス形式で
(19)・・・(訳注:pdfを参照の事)

(18)の最初の式の x'と t'を2番目の式に代入すると、次のようになります。
x =γ(−v)γ(v)(1 + v ^ 2 / a)x 、
t =γ(−v)γ(v)(1 + v ^ 2 / a)t 、(20)

またはマトリックス形式で
(21)・・・(訳注:pdfを参照の事)

式(20)と(21)は、すべてのxとtに対して有効である必要があるため、
γ(−v)γ(v)= 1 /(1 + v ^ 2 / a)、(22)

空間対称性のため、関数 γ(v) は速度 v の絶対値のみに依存する必要があり、その方向には依存しないため、γ(-v)=γ(v)になります。
したがって、
γ(v)= 1 / sqrt(1 + v ^ 2 / a)、(23)』

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まずは『5)ローレンツ変換を参照フレームOからO'に、次にO'からOに戻しましょう。
最初の変換は速度vで実行され、2番目の変換は速度-vで実行されます。』の所です。

ここは先取りすればローレンツ変換とその逆変換の事を言っています。

そうしてそれは単に変換式に現れる相対速度vの符号を変えればそれでよい、と言っていますね。

実際、ローレンツ変換では確認してみるとそうなっていますので「そうだねえ」となりますが、一般的にそれが成り立つのかどうかはいまいち不明です。

それでこの件は(注1)でコメントしておきます。

さてここでビクターさん、(18)で式を並べる順序を間違えて逆にしています。

そうであれば「(18)の最初の式の x'と t'を2番目の式に代入すると」は

「(18)の2番目の式の x'と t'を最初の式に代入すると」と読まねばなりません。

そうすると

x =γ(−v)(x'+ v t')=γ(−v)(γ(v)(x − v t)+ v γ(v)(x v / a + t))

=γ(−v)γ(v)[ (x − v t)+ v (x v / a + t)]

=γ(−v)γ(v)[ x − v t + (v^2) x/a + v t]

=γ(−v)γ(v)( x+ (v^2) x/a )

=γ(−v)γ(v)(1 + (v ^ 2) / a)x ・・・①式

t =γ(-v)(-x'v / a + t')=γ(-v)(-(γ(v)(x − v t)v / a + γ(v)(x v / a + t))

=γ(-v)γ(v)[ -((x − v t)v / a +(x v / a + t)]

=γ(-v)γ(v)[ -x v / a + (v^2) t/a + x v / a + t ]

=γ(-v)γ(v)( t + (v^2) t/a )

=γ(−v)γ(v)(1 + (v ^ 2) / a)t ・・・②式

はい、①式と②式は(20)になりました。

従って

γ(−v)γ(v)= 1 /(1 + v ^ 2 / a)、(22)

である事になります。

ここで

『空間対称性のため、関数 γ(v) は速度 v の絶対値のみに依存する必要があり、その方向には依存しないため、γ(-v)=γ(v)になります。』については

「空間は一様、等方である」を前提としていますのでそれはまた「この3次元空間は対称である」という事になります。

しかも「等方」ですから「任意に3つの座標軸を決めてもそのプラス方向とマイナス方向は対称である」という事になります。

さてそのような空間で関数 γ(v) を考えた時にその値がvとーvで違っていた、とすると「空間の対称性がない」という事になります。

というのもγ(-v)と見えているものもその空間で単にO系のX軸座標を180度回転させた場合はγ(v)になってしまうからであります。

そうであればγ(-v)=γ(v)とする事になるのです。

従って

γ(−v)γ(v)=γ(v)*γ(v)= 1 /(1 + v ^ 2 / a)

それでめでたく

γ(v)= 1 / sqrt(1 + v ^ 2 / a)、(23)

となります。(注2)

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注1:2つの慣性系のあいだでの変換を考えた時に、O系からO'系へは速度Vで変換した、それはO'系から見れば速度ーVで変換されたO系の時空の点が移ってきた事になります。

変換の主体がO系である時にはそれを「変換」と呼びますがそれはO'系から見れば「逆変換」です。

あるいはO'系にしてみれば「速度ーVで行われた変換」とも言えます。

O系で起こっているイベントをO系に対して相対速度Vで移動しているO'系からみるとどう見えるのか、を表現したものが「変換の結果」です。

この「変換の結果」を元に戻すにはどうしたら良いか?

O'系の相対速度Vをゼロにすればよい、のです。

そうすればO系=O'系となり、2つの慣性系は一つになって、見分けがつきません。

そうして相対速度Vをゼロにする為には

0=V+(-V)=V-V

を使えばよい。

そうであればO'系に変換されてきた事象の点データを今度はーVでO系に変換してやればよい、そうすれば事象の点データは元に戻ります。

従って

速度Vで変換ー>速度Vで逆変換 で元にもどるのですがこれは実は

速度Vで変換ー>速度ーVで変換 の事であり、この関係は一般的に「2つの慣性系の間をつなぐ変換式で成立している」と見る事ができます。

ちなみにこの変換と逆変換の関係については「ローレンツ変換とローレンツ逆変換・相対論」: http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=29050 :においても検討していますのでご参考までに。


注2:ここで「γ(v)= ー1 / sqrt(1 + v ^ 2 / a)という解はどこに行ったのか?」についてですが、γ(v)のマイナス解をとりますと常にγ(v)<0となってしまいます。

それで(18)を見るならば x'=γ(v)(x − v t) であって、つまりO'系の原点の移動速度がVである時にはO系の原点位置はO'系で見るならばγ(v)*(− v t )に写像される、と言っています。

(− v t )<0ですからγ(v)>0ならば γ(v)*(− v t )<0となり「常識的な動き」となります。

しかし γ(v)<0を選びますとγ(v)*(− v t )>0となり、これでは理屈にあいません。

従って「γ(v)= ー1 / sqrt(1 + v ^ 2 / a)という解は却下される」という事になります。



PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.md/ZVks1