いつもお世話になっている「ういきの説明」ですが「双子のパラドックス(加速度あり)」については説明が不十分です。
それで以下英語版を参照とします。
https://en-m-wikipedia-org.translate.goog/wiki/Twin_paradox?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=nui,sc
↑
魚拓がうまく取れませんので、原文翻訳でお願いします。(ちなみに魚拓版だとこうなります:https://archive.fo/G1rQt)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
宇宙に飛び立ったアリスの時計と地球で帰りを待つO君の時計について、旅行が終わった後で両者を見比べた時にどうなっているのか、と言うのが「もともとの双子のパラドックスのお題」でした。
さてそれで地球から飛び立ったアリスは途中で方向を変えて地球に戻らなくてはなりません。
そうして加速度を考えるならば
1、飛び立つとき
2、方向転換の時
3、地球に着陸する時
の3回となります。
それで、ういきの説明では「それぞれの加速度運動の時に加速度に応じた時間の遅れが生じる」としています。
この時間の遅れと地球から離れる時と戻る時の慣性飛行中にも「地球に対する相対運動=相対速度によって宇宙船の時計=時間は遅れる」としています。
従って地球に戻ったアリスの時計は上記の2つの条件、加速度運動中と慣性飛行中の時間の遅れの合計分だけ地球にいるO君の時計よりもおくれてしまう、が結論になっています。(注1)
そうしてこれが今の所、「この業界で認められている常識的な認識」であり「そこには何もパラドックスはない」という事になっています。(注2)
さてそれで、その様なアリスの旅を認めた、としましょう。
それでアリスが左側に旅立って戻ってきたのと時を同じくして実はボブが右側に旅立って戻ってきていたのでした。
さてその場合、地球に戻ってきたアリスとボブの時計は地球にいたO君の時計よりは確かに遅れていました。
しかしアリスとボブの時計を比較した場合は「両者は同じ時刻を指している」という事に間違いはありません。
なぜならアリスとボブは飛び立った方向は真逆でしたが、旅行中に行った宇宙船のオペレーションは全く同じであったからです。
したがって「地球に対する対称性の為」にアリスとボブの時計は「同じように遅れる」と言う以外に取りうる状態はないのです。
以上の説明についてはどなたさまも異議を唱える事はないと思っています。
しかしながらアリスは「ボブの時計は遅れている」と相対論の計算に基づいて主張します。
確かに加速度運動中の部分については自分もボブも同様の時間の遅れがあった事は、アリスも認める事でしょう。
しかしながら行きと帰りの慣性飛行中についてはアリスは特殊相対論のロジックによって「ボブの宇宙船はアリスの宇宙船に対して運動していた=相対速度があった為にボブの時計は自分の時計よりも遅れる」と主張できるのです。
そうしてそれが特殊相対論の主張する所であります。
それに対してもちろんボブも同様に「アリスの時計の方こそが遅れている」と「相対論の平等主義に基づいて」主張できます。
さてしかしながら事実は「アリスとボブの時計は同じ時刻を指している」となります。
こうして「加速度運動の効果を考える事で双子のパラドックスは解消される」というういきの説明とは裏腹に「加速度運動を考慮しても双子のパラドックスは少しも解消されてはいない」、という結論に至るのでした。(注3)
注1:上記英語版ういきの
「双子の時空経路の違いによる経過時間の違い」 の章を参照願います。
注2:この場合のパラドックスは「地球が動いているのか、宇宙船が動いているのかわからないだろう」という主張によって生じてきます。
しかし「宇宙船が加速度運動している」という事実によって「少なくとも地球は慣性系であって、それに対して宇宙船は加速、減速を含む運動をしている」という様に主張でき「より動いているのは宇宙船である=時空の中での移動量が多い方が宇宙船である」として時間の遅れが計算でき、その結果は「宇宙旅行に出た方が年を取らない」という結論に結びつく、と言うものになります。
注2の追記:
上記英語版ういきの説明の中では
「旅する双子の視点」 の章がその立場をより明確に示しています。
『ターンアラウンド中、移動する双子は加速された基準座標系にあります。
等価原理によれば、移動する双子は、まるで在宅の双子が重力場に自由に落下しているかのように、また移動する双子が静止しているかのように、ターンアラウンドフェーズを分析できます。
アインシュタインによる1918年の論文は、アイデアの概念的なスケッチを示しています。[A 8]
旅行者の観点からは、ターンアラウンドを無視して、別々の脚ごとに計算すると、地球の時計が旅行者よりも古くなるという結果になります。
たとえば、地球の時計が各脚で1日少ない場合、地球の時計が遅れる量は2日になります。
ターンアラウンドで何が起こるかについての物理的な説明は、その2倍の量の逆の効果を生み出さなければなりません:地球時計の4日間の前進。
その後、旅行者の時計は、外出禁止令の双子のフレームで行われた計算と一致して、地球の時計で正味2日間の遅延が発生します。』
↑
外出禁止令の双子=ステイ アットホーム の訳で「家に居ろ=地球に居ろ」となります。
ちなみにこれは「コロナのせい」ではありません。
ここでは「旅行者の加速度運動を無視すると、旅行者から見た場合、地球の時間の方が遅れる」という事を言っています。
そうして「それではまずいので、方向転換時の加速度運動の効果を考えなくてはいけない」という話につながっていきます。
注3:ここでいう「解決されていない双子のパラドックス」とは「加速度運動部分を除いた慣性運動部分の事」です。
そうしてその部分こそここで継続的に議論してきた事であり、いまだだれも解決策を明示しておらず、また業界内部においてもコンセンサスが得られていない問題であります。
それでこの話のポイントは「地球が基準慣性系の様にふるまう」という所にあります。
つまり「ういきの説明の通りに旅行しているアリスとボブの時計は地球の時計より確かに遅れる」のです。
しかしその事と裏腹に「アリスとボブは相対速度を持つために、特殊相対論の要請によってお互いに相手の時計は遅れている」と主張する必要もあります。
そうしてこれがここでのパラドックス、「地球の時計に対しては旅行者の時計は遅れる」という事が解かれたがゆえに新たに発生してくる「避けようのないパラドックス」となります。
そうしてそのパラドックスが示す答えは「時間の遅れは地球に対する相対運動によってのみ生じる」というものになります。
さて、しかしながらその答えは「天動説」です。
「地球は特別な存在であって宇宙の中心であり、唯一の静止慣性系である」と言っている事になるからです。
コトバをかえますと、地球ではなく火星基準では何故だめなのか?
金星基準では?
太陽基準では?
銀河中心基準では?
最後は宇宙の特定の場所を基準とする「天動説」ではなく、それぞれの場所でユニークに定義できるCMBパターン基準ではないのか?
という問いに必然的につながっていく事になります。
PS:相対論の事など 記事一覧