さて前のページまででローレンツ変換によってK系のローレンツの楕円(=MMの楕円の3次元表示)がK'系では円になる事を確認しました。
それで、つぎは同様の操作でK系で円と認識されたライトコーンの切断面がガリレイ変換されたK'系でどう見えるのか、以下に確認しておきます。
K系で円を表示させるのは
パラメトリックプロット t は0から2π
K系X軸成分ーー>X=cos t
K系Y軸成分ーー>Y=sin t
K系時間軸成分ーー>t=1秒
ただしここで t は媒介変数としての t です。
一応ウルフラムで見ておきます。
x=cos t , y=sin t パラメトリックプロット t は0から2π
実行アドレス
https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3Dcos+t++%2C+y%3Dsin+t+%E3%80%80%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80t+%E3%81%AF0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80
さてそれで、これをK'系に相対速度V=0.58Cでガリレイ変換するのでした。
ガリレイ変換は
K’系の空間X軸成分 ー>X’=a*X+b*K系時間軸成分=cos tーβ*1
K’系の空間Y軸成分 ー>Y’=Y=sin t
K’系の時間軸成分ー>t’=a*K系時間軸成分=1*1
ここで t は媒介変数としての t です。
そうして
a=1
b=ーβ=V/C=-0.58
K系時間軸成分 =1秒
3D表示の為のウルフラムへの入力
x=(cos t-0.58*1) , y=sin t , z=1 パラメトリックプロット tは0から2π
実行アドレス
https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3D%28cos+t-0.58*1%29+%2C+y%3Dsin+t+%2C+z%3D1++%E3%80%80%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88++%E3%80%80t%E3%81%AF0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80
例によって円か楕円かよく分からないので、平面図を表示する。
x=(cos t-0.58*1) , y=sin t パラメトリックプロット tは0から2π
実行アドレス
https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3D%28cos+t-0.58*1%29+%2C+y%3Dsin+t+%E3%80%80%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88++%E3%80%80t%E3%81%AF0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80
ガリレイ変換においてはK系で円であったものがK'系でも円である事が確認できます。
そうしてこの絵の原点にK'系の観察者は立っているのですが、その観察者からすると光の円の中心が左方向(=K'系の進行方向とは逆方向=後ろ)に0.58、ずれている事が確認できます。
これは従来の光のガリレイ変換の説明で出てくる表示と同じで、「光の円は移動する観測者の後ろに観測者が前に進んだ距離の分だけ流される」のです。(注1)
そうして又これはK系のライトコーンをK'系の時間 t'=1秒が作る同時刻平面で切断した時にその切断面に現れる図形となっています。
一応それを確かめる為に側面図を表示させます。
x=(cos t-0.58*1) , z=1 パラメトリックプロット tは0から2π
実行アドレス
https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3D%28cos+t-0.58*1%29+%2C+z%3D1++%E3%80%80%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88++%E3%80%80t%E3%81%AF0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80
これがK'系で見た時の t'=1秒に相当する同時刻切断面とライトコーンが交差する点が作る図形(=側面図)のK’系の時空図上での表示となります。
そうしてもちろんK'系の観測者はこの時には横軸=0、縦軸の値=1の場所にいるのです。
注1:K系に対してK'系はK系の原点にK'系の原点が重なった時にK'系の原点から光を出します。
そうしてその光はあたかもK系の原点から出た光の様にK系の時空図の中でライトコーンを作ります。
そうしてそうやって作られたライトコーンの内側をK'系の原点がすすんで行くのをK系の原点に立つ観測者は観測します。
そのK系の原点に立つ観測者がK'系の原点とK系の原点を中心として円状に広がっていく光の輪を観測した時に認識する絵がこれになります。
つまりこのガリレイ変換の絵が示すように「K'系の原点は先行する光の輪を追いかけている」という状況が観測できるのです。
追記
音波の伝わり方は物質を媒質とする為に基本的にガリレイ変換に従います。
それに対して光は空間を媒質とする為にローレンツ変換に従います。
その結果は光の速度はどの慣性系で測定してもCとなる事は今まで見てきた通りです。
さてそれゆえに「音波の伝達速度は物理定数にはなれず」、「光の伝達速度Cは物理定数になれた」という次第であります。(注2)
ちなみに「ローレンツ変換というものは光速に近い速度で動かないとその効果は表れる事がなく、従って我々の日常生活ではあまり関係がない」という説明をよく聞きます。
しかしながらそれこそがローレンツ変換のねらい、「実はそうやって日常生活とは関係ないよ」と言うふりをしながら「我々の生活を裏で支配する事」こそがローレンツ変換の仕事なのであります。
そうして「そのローレンツ変換の最大の仕事は」といいますれば上記で述べた様に「光速を物理定数に格上げする」というものです。
光速の変換様式がガリレイ変換であったならば、光速は物理定数にはなれなかったでありましょう。
ただ日常生活とはかけ離れた「極端にはやい速度で伝わる現象」という事で終わりでした。
しかしながら光の変換様式がローレンツ変換であった為に光は物理定数となり、その結果はアインシュタインによって「光速不変の原理」とまで言われ、「特殊相対論の成立の基礎」となったのでした。
さてこの特殊相対論の一番おおきな、日常生活と関係がある式、といえば
E=MC^2
であります。(注3)
そうしてこの式に登場するCこそがまさに「ローレンツ変換がこの宇宙で常に働いている為に物理定数として格上げされる事になった光の伝達速度」なのでありました。
注2:物理定数 (場合によっては基本物理定数または普遍定数) : https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%A9%E7%90%86%E5%AE%9A%E6%95%B0
あるいは英語版ういき :物理定数 : https://en-m-wikipedia-org.translate.goog/wiki/Physical_constant?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc :
『Lévy-Leblond1977は、次の3種類の定数の分類スキームを提案しました。
A:特定のオブジェクトの物理的特性
B:あるクラスの物理現象の特徴
C:ユニバーサル定数
同じ物理定数は、その役割の理解が深まるにつれて、あるカテゴリから別のカテゴリに移動する可能性があります。
これは、最初に測定されたときはクラスA定数(光の特性)でしたが、古典電磁気学の発達とともにクラスB定数(電磁現象の特性)になり、最終的にはクラスになる光速に特に起こりました。特殊相対性理論の発見によるC定数。』
この分類方法によれば音速はクラスA~B、そうして光速はクラスCとなります。
それでもちろんここで言う「物理定数」はクラスCのものを指しています。
ちなみに
『16]バロー、ジョンD.(2002)、自然の定数; アルファからオメガへ-宇宙の最も深い秘密をコード化する数字、パンテオンブックス、ISBN 978-0-375-42221-8
「 αのような純粋な数が世界を定義する方法から学ぶ重要な教訓は、世界が異なることの本当の意味です。微細構造定数と呼ばれ、αで表される純粋な数は、電子電荷の組み合わせです。 、e、光速c、およびプランクの定数h。
最初は、光速が遅い世界は別の世界だと思いたくなるかもしれません。しかし、これは間違いです。cの場合、h、およびeはすべて変更されたため、メトリック(またはその他の)単位での値は、物理定数のテーブルで調べたときに異なりますが、αは同じままでした。この新しい世界は、観察上、私たちの世界と見分けがつかないでしょう。世界の定義で重要なのは、自然の無次元定数の値だけです。
すべての質量の値が2倍になった場合、質量の任意のペアの比率によって定義されるすべての純粋な数値は変更されないため、見分けがつきません。」』とのこと。
そうして 微細構造定数 については : https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%AE%E7%B4%B0%E6%A7%8B%E9%80%A0%E5%AE%9A%E6%95%B0 :を参照願います。
注3:言わずとしれた「核エネルギーを表す式」です。
そうしてこの「核エネルギー」。
平和利用も軍事利用もできるという「とてもやっかいなもの」なのです。
とはいえ光の変換則がガリレイ変換だったら核エネルギーが使えないのでやはりローレンツ変換でよかった、という事になりますか。
要は「核とハサミは使い様」でありますからね。
↑
少し訂正:光がガリレイ変換に従う場合のCの値は測定者の光の媒質(=基準時空)に対する相対速度をゼロにすれば一定の値にさだまります。
従って、E=MC^2はそのようにして求めたCの値を使う事で成立します。
つまり「光がガリレイ変換に従う世界でも核エネルギーは使える」とそういう事になりそうです。
PS:相対論の事など 記事一覧
https://archive.ph/uJUS4