歐亞茶房(ユーラシアのチャイハナ) <ЕВРАЗИЙСКАЯ ЧАЙХАНА> 

「チャイハナ」=中央ユーラシアの町や村の情報交換の場でもある茶店。それらの地域を含む旧ソ連圏各地の掲示板を翻訳。

戦艦大和が好きなロシア人(2)

2009-09-07 01:14:36 | ロシア関係

大和のことは、件の“戦艦大和は世界最強”よりもっと大きなグルーパでも話題になっていました。

それがこれ↓です。

「カミカーゼ」<711人>
Камикадзе
http://vkontakte.ru/club1686553

真の熱き愛国者-“カミカーゼ”についてのグルーパです!そして、真の愛国者のためのグルーパでもあります!!自国の勝利のためなら、厳しい局面において命を投げ出す用意のあるような!!!というか、そういう者は少ないのか?


“カミカーゼ(Камикадзе)”は英語の“Kamikaze”と同じくロシア語の中に借用された日本語で、第二次大戦中の日本の特攻隊員のことを指します。ロシア人と話していると、”カミカーゼというのは、何かグルジア人の名前っぽい語感だな”、みたいなことを言う人が多いですね。

というのも、グルジア人(より正確に言えばその中で最も多いカルトゥリ人)の姓には、実際に語尾が“-aдзе(アゼ)”と綴りが同じになるのが多いので。“シェヴァルドナゼ”前代のグルジア大統領)とか、“マハラゼ”(ソ連時代初期のグルジア共産党の指導者)とか....。

それはともかく、これは特攻とか特攻隊員について語るグルーパです。紹介文の内容を見ても分かるように、全体的には、何か国家主義的というか右っぽい雰囲気が強いですかね。

こんな↓感じのアンケートがあったりします。

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 <アンケート>

「祖国の名の下に自らの命を差し出すことはできるか?」(総投票数61)
原文:Смогли бы вы отдать свою жизнь во имя Родины?
http://vkontakte.ru/topic-1686553_2201523

                                 23人(37.7%)

否                                   5人(8.2%)

無条件に是。俺は愛国者だ!               18人(29.5%)

もちろん、否                             7人(11.5%)

分からない                              8人(13.1%)

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あと、こんなの↓も。

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<アンケート>

「カミカーゼ(特攻隊員)をどう思う?」(総投票数58)
原文:Кем вы считаете камикадзе?
http://vkontakte.ru/topic-1686553_3622883


愚かな狂信者                             9人(15.5%)

愛国者                                37人(63.8%)

そうするよう強いられた囚われ人                      1人(1.7%)

普通の戦士                             11人(19%)

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何だか、妙に“特攻“に肯定的なんですよ。こういう反応は、おそらく欧米の先進諸国、特にアングロサクソン圏では中々出てこないんじゃないでしょうか。

かつてのソ連軍は、旧日本軍と同じく、勝てさえすれば人的被害なんて度外視する軍隊でした。まあ、体制が違うとはいえ、農村に人ばかり余っていた後発近代国家という点では同じだったわけで....。(ドイツや米国といった)先進近代国家と戦争するに際し、技術力や物量の不足は人間の側の犠牲と根性で補ってしまえ!となりがちだったのは、ある程度仕方が無かったのでしょう。

また、普通の農民を、なるだけ早く自分の意思で戦える兵士に変え、国家への忠誠心を引き出すために、 “国家=社会契約を担保するための共有財”という先発近代国家(米英仏)的な国家観の代わりに、“国家=故郷=有機的な村の延長”という後発近代国家(独とか南東欧)的な国家イメージが上から刷り込まれていった点も似ています。

そういうわけで、ソ連時代から今に至るまで、彼の地では特攻まで行かないまでも、戦時中に捨て身の活躍をした兵士や将校は英雄として大いに称揚され、学校教育やメディアは国民に対し、独ソ戦を題材に“祖国”=ソ連国家に対する献身は美徳である云々、としつこく叩き込んできました。

その辺りのロシア人のメンタリティは、多少は日本人のそれに近いのかもしれない。あくまで西欧人と比べたら、の話ですけどね。

話が大分ずれましたが、このグルーパの700人あまりのメンバーの中には、こうした右っぽい価値観の持ち主の他に、三島作品や“葉隠”の影響で、“特攻”の中に日本文化の独自性や美的感覚を見出そうとして何かと深読みしたがるもの、太平洋での日米戦に興味を持つ軍ヲタなども共存しおり、かなりカオスな状態になっています。これについては後ほどまた詳しく扱うかもしれません。

で、何で特攻隊のグルーパで大和の名前が出てくるかと言えば、“大和”+“特攻”といったら考えられることは一つしかありません。そうです。“水上特攻”ネタです。

---------------------

「日本帝国海軍最強の戦艦、大和による最後の出撃に意味はあったのか?」
原文:Имел ли смысл последний поход лучшего линкора Японского Императорского флота "Ямато"?
http://vkontakte.ru/topic-1686553_13111922


<アンケート>


「“大和”の最後の出撃に意味はあったか?」(総投票数27)

あった                                 5人(18.5%)

いや、無意味だった                         10人(37%)

大和はカミカーゼ(特攻隊員)のように己が責務を果たした 12人(44.4%)


<ナロードのコメント>


アンドレイ
こういうのはよく話題になるけど、それでも面白い問題だと思う。


アンドレイ
やっぱり、大和はカミカーゼのような利用のされ方をしたんだ。俺はそう思う….沖縄では最後の決戦の一つが進行中であり、大和はそれを助けに向かったんだ。その目的は、海岸に係留されてその最強の火力で日本軍を支援することにあった。


アンドレイ

引用:
「沖縄における地上戦が未だ始まっていない頃、日本帝国海軍は第二次大戦における最後の大作戦を決行した。それは大規模なカミカゼ攻撃であり、その中には華麗なる戦艦“大和”すら加わっていたのだ。“水上特攻”なる仰々しい名の冠された、大和をはじめとして巡洋艦と何隻かの駆逐艦からなる艦隊は、生還を期することのできない、ある任務を伴って沖縄へと向かった。

即ち、艦隊は進路上にある敵に最大限の被害を与えつつ、衆寡敵さざる状況の中でも全滅するまで戦うことになっていたのである。“大和”は7万トンもの排水量を持つ史上最大にして最強の戦艦だった。」



ティムール
大和は、沖縄を攻撃中の敵軍になんら被害をもたらすことなく沈んだ。アメ公の繰り出す弾幕の中では、そのチャンスも皆無だったろう。こんな“出撃”に意味なんてあるのか?それはみんなが自分で考えて答えを出すことだ。

※プロフィールの欄を見ると、本名(もしくは姓)は“シェールザード”とあり。恐らくタジク人かウズベク人のどちらか。両民族の名は共通のものが多いので、それだけではどちらか判断できない。


アンドレイ
あのな、お前が大和に命令を下した当時のヤマモト(=山本五十六)の立場にあると想像してみろ。お前が彼だったとしたら、どうしてた?


ティムール
>アンドレイ
>“大和”は7万トンもの排水量を持つ史上最大にして最強の戦艦だった。
姉妹艦の“ムサシ(=武蔵)”と空母“タイホー(=大鳳。本当に大和型戦艦の船体を流用していたものの、ちょっと小さい感じだった)”もあるぞ。“タイホー”は乗員が訓練不足だったお陰で、たった一発の魚雷により沈んでしまったんだ。

※これは間違い。“大鳳”が魚雷一発で沈んだのは事実だが、大和型戦艦の船体が流用されたのは空母“信濃”であって、“大鳳”ではない。まあ、“信濃”も進水直後に米潜水艦の魚雷攻撃であっけなく轟沈してはいるのだが...。

>"あのな、お前が大和に命令を下した当時のヤマモトの立場にあると想像してみ
>ろ。お前が彼だったとしたら、どうする?

ヤマモトが当時の日本にいたって?だとしたら、骨壷に入った一群の灰という姿なんだろうけども

※山本五十六は1943年に戦死している。


アンドレイ
えーと、俺が言いたいのはだな…..ヤマモトじゃない、誰か別の提督か司令長官でもよくて…. もしもその立場にあったとして….どうしたかって話なんだけど…..。


ティムール
>アンドレイ
>えーと、俺が言いたいのはだな…..ヤマモトじゃない、誰か別の提督か司令長官
>でもよくて….

何だかなあ.。くだらん......。

>もしもその立場にあったとして…..どうしたかって話なんだけど…..。
具体的な問題は、出撃の意味についてだろ。何でここで“もしも”なんだ?何を言いたいのかと言うと、この問題に“もしも”なんて無い。問題がいずれかの段階にあるか、問題自体が存在しないかのいずれかだ。


ルスタム
ヤマモトはそれまでに死んでいる。で、“大和”の出撃は無意味だった。

※ペルシア古典文学の代表的な叙事詩“シャー・ナーメ(邦題:王書)”に登場する英雄“ロスタム”の名に由来する、イラン=テュルク文化圏にはよくある男性名。この人はカザフ系らしい。


アンドレイ
>ティムール
問題の答えは出してないんじゃないか?w


アンドレイ
>ルスタム
ああ、無意味だった。でも、もし大和が海岸から米軍の陣地を砲撃してたら、どうなってたと思う?


ティムール
>アンドレイ
俺は無意味だったと思っている。あれは自暴自棄の行動だったとしか解釈のしようがないな。米国の対抗兵力の前に、大和は沖縄に辿り着けなかったし、任務も果たせなかった。それらの事実については前にも書いてるが。


ティムール
>アンドレイ
>でも、もし大和が沿岸から米軍の陣地を砲撃してたら、どうなってたと思う?

てことは、あんたは大和が沖縄沖まで辿り着けたかも、とか思ってるわけだ? “レパルス”と“プリンス・オブ・ウェールズ”にまつわる戦史から何ら学んでないんだな。

※いずれもマレー沖会戦で日本海軍の航空攻撃によって撃沈された英国の艦船。航空兵力vs戦艦単体は勝負にならないということを言いたいらしい。


アンドレイ
>ティムール
遠距離射撃で、10km先からでも弾は当たったはずだ…..wwもっと遠くてもいけただろう。必ずしも沿岸ぎりぎりまで寄らなくてもよかったわけで…。


ティムール
>アンドレイ
冗談だろ…..。米軍が沿岸10kmの地点まで接近するのを許すと思うか??それに全ての火砲で砲撃したとしても、命中率は平均で5%だぞ。


ティムール
>アンドレイ
それと、計画では耐久力を強化するため、大和は浅瀬に乗り上げないといけなかったはずだ。


マクシム@「戦艦大和は世界最強」の管理人
>ティムール
>姉妹艦の“ムサシ(=武蔵)”と空母“タイホー(=大鳳。本当に大和型戦艦の船体 >を流用していたものの、ちょっと小さい感じだった)”もあるぞ。“タイホー”は乗員が >訓練不足だったお陰で、たった一発の魚雷により沈んでしまったんだ。

どうやら、物識り君も兵器のことをよく知らないようだがwwww

ここでなぜかグルーパ「戦艦大和は世界最強」の管理人乱入w


ティムール

>マクシム
“タイホー(大鳳)”とか何とかいうのはそう覚えてたからで....。今からちょっとググってみるw。


ティムール
>マクシム
すまん。“シナノ(信濃)”と“タイホー(大鳳)”がごっちゃになってたw


エヴゲーニー
物識りのマニアは氏ねよ!あんた達は日本の歴史を日本人よりも知っているようだな。出撃は無意味だった。でも、俺は“ラスト・サムライ”“ショーグン”といった映画を見たことがある。そういうのは基本的に全て欧州人から見た日本人像なんだろうけど、この小さいながら、誇り高い民族は戦いに於いては最期まで戦い、もし勝利の見込みが無ければハラキリをする。彼らには死に対する独特の感覚があって、俺たちにとっては“破戒”である自殺(←キリスト教の他の宗派と同じく、正教でも自殺は禁止)が、あいつらにとっては立派な人生の最期になるってわけだ

俺はこの民族についてそんなに詳しくないから、間違ったことを言ってるかもしれないんだけどな。まあ、これは単に俺の意見ってことで。

※何かここだけ読んでるとチェチェン人の説明のようだが、実際にはロシアと日本の人口はそんなに変わらない。


アンドレイ
>エヴゲーニー
あんたは基本的に正しいよ。俺もそう思う。

→(3)に続く



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8 コメント

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Unknown (Unknown)
2019-11-16 06:38:00
ソ連の中立条約破りを正当化しないロシア人がいるとは思えんが、当時は一日終戦を伸ばせばそれで講和のチャンスが発生すると些少なりとも期待してた人たちがいたから死ねたんだと思う
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Unknown (マニス)
2009-09-17 03:57:09
ロシア語できるんだ。すげぇ~よ 管理人さん
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Unknown (Unknown)
2009-09-08 03:01:08
ロシア人には「あのクソ米帝ととことん戦った」ということでシンパシーがある人がいるのかもしれませんね。

中東やフランスあたりでもそのようなシンパシーを感じる人がいると聞きます。

日本人が911でアメリカが素直に被害者だとのみは思えないのと同じ系列の感覚かもしれません。
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Unknown ()
2009-09-07 23:19:25
ウラー突撃しないと味方が後ろから撃ち殺してた
ソ連はある意味日本よりも人命軽視してたと思う
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Unknown (裸族のひと)
2009-09-07 20:01:42
特攻ですか。確かに戦争末期には神風特別攻撃隊(航空機)だけでなく人間魚雷:回天や水上特攻艇:震洋、特殊潜航艇:蛟竜・海龍、人間機雷:伏竜など多くの自爆兵器が有りました。

http://landinggear.hp.infoseek.co.jp/kamikaze/t.heiki.htm

当初は特攻・自爆攻撃は「統帥の外道」と称し否定的でしたが、戦局の悪化に伴い本来は非常手段であったはずの特攻が、恒常化してしまったのですよね。

では普通は誰もが逃げ出したくなる特攻命令(自殺攻撃)に何故兵士は従って戦ったのか。それは大和だけでなく、硫黄島などの戦いを見ても明白です。

誰もが、もう最終的に負けると思っていても、故郷に残る父母兄弟や妻・恋人を守りたかった。1日敵の進軍を食い止めれば1日分の人々や大切な物を守れる。
例え戦争には負けても、連合国を畏怖さしめ、少しでも戦後の日本と日本人がなめられずに済むであろう事を願ったからでしょう。
(効果を実証しろ!と言われても出来ませんが)

少なくとも戦中の日本人は”自分の命”が最も尊重され守るべき物だ、とは感じていなかったと思うのですよ。まあ、思っていた人も少なくなかったのかも知れませんが、一応建前では公(国や日本民族)を優先していました。

結局、戦術的に特攻が無意味だったとしても、終戦後には大和を始めとする優れた兵器が無傷で敵に接収される事を考えたら、まだましだと考えられたのでしょう。
(実際に露西亜や米国は、日本やドイツから多くの兵器を接収した)

でも、現在の露西亜のひとには分かるのでしょうかねぇ。今の日本人でも”1人の命は地球より重い”と信じているひとが結構、多そうですから・・・。
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Unknown (御神楽)
2009-09-07 08:07:47
この「アンドレイ」って何か色々と勘違いしているらしくて、読んでると時折イラっとさせられるねw
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Unknown (円谷@管理人)
2009-09-07 06:31:34
>2009-09-07 03:25:1殿

どうもありがとうございます。なるべく更新は間を空けずにやろうとは思っているのですが...。
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Unknown (こんにちわ)
2009-09-07 03:25:11
いつも楽しく記事を拝見しています。管理人さんの政治的スタンスも好きです。HPを更新するのは大変でしょうが、これからも頑張って、でも頑張り過ぎず、ご自身が楽しめる程度の頻度で更新されて下さいね。
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