蜻蛉・莞爾の無責任漢字樂院

漢字に関する色々なことを発信して行きます。中国語も有りますよ!

「こえる」

2009年12月10日 | 「語句」「言葉」~動詞扁(あ行~な行)
【「こえる」】

≪辞書で調べると・・・≫
<越える・超える>
(1)障害物や境界線の上を通り過ぎて、向こう側へ行く。越す。比喩的にも用いる。《越》
 「峠を―・えて町に出る」
 「野を―・え、山を―・えて、列車は走る」
 「遠く海を―・えた外国まで広まる」
 「―・え難い壁」
(2)ある日時が過ぎる。《越》
 「―・えて一九九〇年の一月」
(3)ある基準・数値を上まわる。越す。《超》
 「四万人を―・える大観衆」
 「能力の限界を―・えている」
(4)自分の考え方や立場からさらに先へ進む。超越する。《超》
 「利害を―・えて業界につくす」
 「怨讐を―・えて援助の手をさしのべる」
(5)他よりすぐれる。まさる。《超》
(6)位が上になる。
 〔本来「越す」に対する自動詞〕

<肥える>
(1)肉がついて丸みを帯びた体つきになる。太る。
  現代では人の場合は「太る」を用いることが多い。⇔やせる
 「よく―・えた子豚」
(2)土地が肥料分を多く含み、作物の生育によい状態になる。地味がよくなる。
⇔やせる
 「よく―・えた土」
(3)経験を積んでよいわるいを識別する能力がたかくなる。
 「目が―・えている」
 「耳が―・えている」
 「舌が―・えている」
(4)(比喩的に)財産などがふえる。
 「ふところが―・える」


≪「こえる」と訓読みする漢字≫

<乗り越える>

①エツ/オチ ②カツ/ガチ 慣用:オツ 
①yue4 ②huo2
こえる こす <まわりくどい><失う><つまずく>
(ここに)<国名><せっこう省の古名><あな><くくる>
こし
字統:054
常用字解:026-2
1258/11403

<解字(常用字解)>
音符の戉(エツ)は、鉞(まさかり)の元の字。
“越”は、戉(鉞)の呪力を身に受けて行くこと。 
「こえる、こす」の意味。
困難な場所を越える時に、戉を呪器として使った。



チョウ/* chao1
<おどりあがる> こえる こす とおい
字統:625
常用字解:451-1
1259/11406

<解字(常用字解・蜻蛉)>
“召”は、神霊が祝詞(口)に促され、天から下り降りるさま。説文では、「跳ねて越える」の意味を持つ。
召されて来た神霊が進んで行かれるさま ⇒ 超
「こえる、こす」の意味



①ユ/* ②ヨウ/* ①yu2 ②yao2
こえる <おどる、とびこえる><はるか、遠い>≪こす≫
字統:862
1268/11518

<解字(字統)>
“兪”には、「ここからどこかに移って行く」の意味を持つ。
足を加えて、「進んで行く」の意味。



ユ/* yu2
こえる <ます> いよいよ <ますます><遠い、はるか>
字統:862
1309/11922

<解字(字統)>
“兪”には、「ここからどこかに移って行く」の意味を持つ。
辵(辶)を加えて、「進んで行く」の意味。
●字解では、“踰”と“逾”は、同字とされている。



リョウ/* lie4
ふむ=<踐> こえる <飛び越える>
1272/11577


<「ふとる」意味に近い>

ヒ/ビ fei2
こえる <ふとる> こやす こえ こやし 
<こえた馬><たのしむ>≪ふとし≫
字統:736
常用字解:532-3
0622/04822

<解字()>
月(肉月) と 卩(巴) とを組み合せた形。
卩(巴)は、跪く人の形。
跪いて腿の辺りの肉が豊かなこと ⇒ 肥
「こえる、ふとる」の意味
「ゆたか、さかん」の意味に



①トツ/トチ ②トン/ドン ①tu2 ②***
こえる(=肥る) <豚や鳥が肥る> 牛羊がふとること=肥
0636/04969



ユ/* yu2
こえる=<下腹部太り> あぶら=<肥えてあぶらののった肉> <はらわた>=<豚・犬のはらわた>
字統:862
0637/04973

<解字(字統・蜻蛉)>
“臾”は、人が腰に手を当てている形。
“月”は、肉月で、人体の部分のことを示す。
“腴”は、腰の当たり=腹部が肥満すること



①②コウ/* ①gao1 ②gao4
こえる=太る あぶら <うまい>
<つやがあって滑らか><めぐみ><むなもと><うるおす>
0637/04983



オク/* 慣用:ヨク・ヨウ wo4
そそぐ <ひたす><ながれる><こえている>=こえる <やわらか> ヨウ~<元素名:沃素> いる
字統:890
0746/06069

<解字(字統)>
[氵芺]が正字。
“沃”は、農地に水を注ぐこと。


≪意味合いが「こえる」≫

<乗り越える>

ハツ/バチ 慣用:バツ・バ ba2
ふむ(=踏み躙る)(つまずく)<よろめく><もとる><こえる><ねもと><文体のおくがき>
字統:723
1263/11451

<解字(字統)>
“犮”は、張り付け(磔)にされた犠牲の犬。
「足の不自由な犬」の事。
“跋”は、足の不自由な中でも、それでも犬が、野を歩んで行くことか?
◆「障害を乗り越える」ことか?
●跋は本字 ?(11452)は俗字



①トウ/チョウ ②タク/* ①*** ②chuo1
ふむ <はしる><こえる> はるか <すぐれる>
<片方の足に障害があり不自由な人~あしなえ>
字統:595
1267/11499

<解字(字統)>
“卓”は、大きな匙(さじ)の形で「大きい」の意味。
また、「一本足で不安定」の意味がある。
一本足しか充分の使えなくて(跛)、足を引き摺りながら「すすむ・困難をこえる」の意味?



①ハン/バン ②バン/マン ①pan2 ②man2
<熟語:蹣跚:足を引きずり行くさま、よろめくさま>
~よろめく <こえる、かきをこえる>
1270/11543



①チョ/ジョ ②チャク/* ①chu2 ②chuo4
(ふむ)<熟語:儔著:≪ためらう≫><こえる>
<わたる>
1271/11556



チョウ/ ジョウ zhao4
<歩きの遅いさま><こえる><小さい><国名>
字統:627
1259/11413



①タク/* ②チャク/* ①chuo1 ②***
とおい はるか <こえる、飛び越える>
1304/11885



①ユ/* ②ヨウ/* ①yu2 ②yao2
<こえる><はるか><遠い>
1394/12860



ユ/*/* yu2
<壁をくりぬき木で作った戸、門の傍らのくぐり戸>
<こえる>
0972/08421



バク/ミャク mo4
<のる、馬に乗る><たちまる>(まっしぐら)~<驀進><こえる、超越する> ∴驀地:まっしぐら
1462/13497



タク/* zhuo2
<おおきい><あきらか>(たかい)<こえる>
0105/00434



リョウ/* ling2
しのぐ <こえる><あなどる><いりまじる><こおり>≪しのぎ、たかし≫ ∴凌霄花:のうぜんかづら
0148/00796



エツ/オチ yue4
まさかり <こえる><星の名>
0504/03848


歴 歷
レキ/リャク li4
(へる)<こえる>まじえる><順序立てる><かぞえる><えらぶ><ことごとく>(あきらか)<こよみ><まばら><かま>≪あきら≫
常用字解:662-1
0714/05857・05858
●歴は常用字体 歷は旧字体  厯は歴と同字
●厂は歴の略字


<「ふとる」意味に近い>

ホウ/ボウ fang2
<こえる:肥> あぶら
字統:827
常用字解:589-2
0623/04828

<解字()>
“方”には“房”のように「一ヶ所に集まる」の意味。
“月”は“肉月”で、人体の部分を示す。
人体の一ヶ所に何かが集まる。
 「肉が集まる」⇒「あぶらが付く」「あぶら」の意味


肉 宍
①ジク/ニク ②ジュウ/ニュウ 
①rou4 / (ru2) ②***
にく <み> しし <にくづく><生身のからだ><じか><こえ><貨幣の事><こえる>
常用字解:499-3
1077/09459-0354/02552
●肉は本字 宍は俗字



トウ/ドウ tang2
<こえる、太る>
0638/04989


≪総評≫
「越える。超える」も「肥える」も、どちらも、ある規準を「通りこえる」意味で共通点がある。



最新の画像もっと見る