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中国当局、「麻薬密輸罪の日本人男性4人に対し近く死刑を執行する」と日本政府に通告 判決の妥当性は…

2010-04-03 | 死刑/重刑(国際)

【主張】日本人死刑通告 極刑判決の妥当性に疑問
 産経ニュース2010.4.3 03:32
 中国当局が、麻薬密輸の罪で死刑判決が確定した計4人の日本人男性に対し、近く死刑を執行すると相次いで日本政府に通告してきた。
 岡田克也外相は程永華駐日大使に懸念を伝えた。日本では「厳しすぎる」と衝撃を受けた人も少なくないだろう。
 しかし、まずは麻薬犯罪が国際的にも重罪であることを忘れてはなるまい。
 例えば覚醒(かくせい)剤は妄想や幻覚から凶悪犯罪の引き金になる恐ろしい薬物である。麻薬関連犯罪の最高刑も、日米英仏など先進国は無期懲役(終身刑)だが、中国のほか韓国やタイ、シンガポールなどアジア諸国には死刑が多い。
 中国では汚職や脱税、組織売春、通貨偽造などでも死刑がある。とりわけ外国人がからんだ麻薬密輸が急増している事情もあり、人道的見地のみから極刑を非難するわけにはいかない。
 それでもなお、中国の司法システムの不透明さは、大きな問題だと指摘せねばならない。
 裁判は初・中級人民法院(地裁)と高級人民法院(高裁)の二審制で、その上に死刑執行などを最終承認する最高人民法院がある。しかし、これらの法廷はすべて、原則として報道機関や一般市民には公開されない。
 したがって今回の4人の場合も、氏名や年齢、起訴状の内容や審理経過などは非公開だった。日本のメディアは関係筋から得た情報をもとに報じた。
 それによると、最初に通告があった60代の日本人男性死刑囚は2006年9月、遼寧省大連の空港から日本へ覚醒剤2・5キロを密輸しようとして逮捕された。
 だが、この男が密売組織の中心人物だったのか、金で雇われた「運び屋」なのか、運んだ中身が覚醒剤と明確に認識していたのか-など、核心部分が明らかにされないままだ。これでは極刑の妥当性への疑念も生じよう。
 中国は死刑に関する情報を公表していないが、人権団体アムネスティ・インターナショナルの09年報告書は少なくとも1000人以上の死刑が執行されたと指摘する。尋常な数字ではない。
 中国の裁判制度も、世界を納得させるものへ変わる必要がある。その実現には、米グーグルの中国本土からの検索サービス撤退に象徴される言論の検閲やチベットの人権問題などと同様、一党独裁体制の劇的転換しかないだろう。
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会長声明集 Subject:2010-4-2
中国政府の邦人に対する死刑執行通告に関する会長声明
 中国政府は、麻薬密輸の罪で死刑判決が確定している日本人男性に対し近く死刑を執行すると、3月30日までに日本政府に通告したとのことである。
 しかしながら、わが国が批准し、中国がすでに署名している国際人権(自由権)規約(以下「規約」という。)の第6条2項は、「死刑を廃止していない国においては、死刑は、犯罪が行われた時に効力を有しており、かつ、この規約の規定及び集団殺害犯罪の防止及び処罰に関する条約の規定に抵触しない法律により、最も重大な犯罪についてのみ科することができる。」としており、自由権規約委員会は、その一般的意見6(16)において「『最も重大な犯罪』 の表現は死刑が全く例外的な措置であることを意味するように厳格に解釈されなければならない」と述べている。「最も重大な犯罪」とは、少なくとも人の死という結果を伴う犯罪に限定されることを意味するのであって、現にイラン政府に対する自由権規約委員会の総括所見(1993年)において、自由権規約委員会は、規約第6条の観点から、経済犯罪や人の死という結果を伴わない犯罪に対して死刑を科すことは規約に反すると明言しており、さらに、タイ政府に対しては、死刑が規約第6条2項が示す「最も重大な犯罪」に限定されず、薬物の違法取引に適用されうることに懸念を表明している(2005年)。
 自由権規約委員会や日本が理事国を務める国連人権理事会は死刑廃止を視野に入れて死刑の適用が可能な犯罪の削減を求めている。同様の事態がヨーロッパの国民について生じた場合、政府は前面に出て、自国民の処刑を避けるためにあらゆる手段を執るはずである。日本は死刑制度の存置国ではあるが、同様の犯罪の場合には無期刑が最高刑であり、死刑の対象とはされていない(覚せい剤取締法第41条2項)。国内法では死刑を科し得ない事件について、国際人権基準に明確に反する死刑によって日本国民の生命が奪われようとしている事態を座視するべきではない。
 内閣総理大臣、官房長官はこの死刑の執行予定に関して既に「懸念」を表明されたと聞くが、当連合会は、わが国の政府に対し、規約第6条によって日本国民に保障された生命権を保護するために、死刑執行しないよう、中国政府に対して明確な要望をすべきことを求める。
 2010年(平成22年)4月2日
 日本弁護士連合会 会長 宇都宮健児

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