光市母子殺害事件 裁判資料を読み直す⑱ 光市事件最高裁弁護人弁論要旨補充書【3】- 3

2008-04-07 | 光市母子殺害事件

 

『光市裁判』(インパクト出版会) 資料
1 はじめに
2 本件事件の一連の流れ
3 新たに判明した事実

光市事件最高裁弁護人弁論要旨補充書【3】

3 新たに判明した事実
 以上の一連の事実は、弁論要旨及び同補充書その2で一部述べてきたことであるが、今回の上申書で更に以下の事実が具体的に明らかとなった。

 ① 被告人は、Mさんに排水管の検査を装ってトイレの水を流すように頼んだところ、意外にも家の中に招き入れられ、成り行き上、トイレに入ったものの、どうして良いかわからず、一旦外に出て階段のたばこをふかしていること・・・従って、強姦目的で被告人は被害者宅に入っていないこと。
 この点については、被告人が、
  「僕は事件当日住久設備の作業服を着て沖田アパートの10棟から7棟に向けてランダムにトイレの水を流すようにお願いしてまわっていました。
   僕はMさんところに行ってトイレの水を流すように頼むとMさんはなぜかドアチェーンをほどいて僕を部屋の中に入れてくれました。
   僕はプレッシャーから逃げ込むようにしてトイレの中に閉じ込もり内側から鍵をかけました。」(資料2頁)
  「僕は作業員としてこの家にいますので何とかこの優しいお母さん、Mさんの期待に答えたくトイレの排水の作業をしてみようとつとめてみました。でも僕の手元にはまとまった工具がなく、悲しくなった僕は一度Mさんの気配がトイレのトビラ前から遠ざかり『カチャカチャ』というお皿とかの洗いものをしているような音がしたため、これを見るともなく確認した僕はこの音にまぎれてそっとトイレからぬけだし、玄関ののぞきまどから外を見て誰もいなかったので一度は外に、といってもアパートの階段のおどり場なのですが、そこまで下りて行きました。
   僕はなんだかいろんな思いにあふれていました。
   一つはお母さん(Mさん)に嘘をついてしまったこと。
   二つは仕事に行かずほったらかして逃げてしまっていること。
   三つはこのまま友人の所に行ってしまいたかったことなどです。
   僕が偽作業員であることがばれてしまうこともそれにわをかけてこわかったのです。
   僕はおちつくために7棟の2階と3階の階段のおどり場でタバコを一本ふかして工具は家の人に借りたらいいことトイレの中に閉じ込もっているのだから僕にまともな作業をするだけの知識がないとしても、その辺は見えないのだから十分におぎなえると考え、そっともときた階段をたどりMさんの家の中に再度入り、トイレの中にとじこもりました。」(資料3頁)
 と上申書で述べているとおりである。

 ② 被告人は、Mさんに好意を抱き、Mさんに優しくしてもらうために背後からMさんに抱きついたものであること・・・従って、決して強姦するためではなかったこと。
 この点については、被告人が
  「Mさんは赤ちゃんを抱かれていたので僕は優しいお母さんという印象を受けると共に僕を疑うことなく部屋に入れてくれたからでしょうか、他人とも思えなくなりいつしか本物のお母さんのようなあわいイメージが僕をとりこにしました。」(資料2頁)
  「少年は若い奥さんそしてお母さんともとれる人の家にいました。
 少年、つまり僕はむしょうにMさんにたいして甘えたくなって座イスに座っているそしてテレビを見ているMさんの背後からそっと抱きつきました。
 僕も赤ちゃんのようにして抱っこしてもらいたく頭をあでてもらいたかったのです。
 僕はこれまでにお母さんにめいっぱい甘えたことがなく、とてもさみしい思いをすごしたことがありました。
 ですのでやさしい奥さんつまりMさんに甘えてみても許してもらえると思ったのです。」(資料5頁)
  「僕はそもそも強姦目的でMさんに抱きついたわけではありません。
 さみしくてさみしくてたまらなくなり優しくしてもらったMさんに抱いてもらいたいと思い抱きつきました。
 優しく対応してくれたMさんに甘えたい、かわいがってもらいたいという思いからそっと抱きついただけでそれは姦淫しようと思ってからの行為ではありません。」(資料20頁)
 と上申書で述べているとおりである。

 ③ 被告人は、大声で叫ぶMさんの口を封じようとして右手で口付近を手で抑えたのであって首を絞めようとしたのではないこと・・・・従って、被告人はMさんを殺害しようとしたものではないこと。
 この点については、被告人が、
  「Mさんと僕はバランスをくずしてそしてそのまま重なりあうようにして僕とMさんは仰向けに倒れ、赤ちゃんは泣き、テーブルこたつはけりとばされました。
  僕、そしてMさんもでしょうか僕は仰向けにMさんをうけとめるかたちで後方に倒れた時、ストーブガードで左肩を強打し、もう少しでストーブの上のやかんの熱湯は僕とMさんの上にふりかかる所でした。
 しかしこれはストーブよりストーブガードの方が高かったためか、やかんははねかえりカーテン側に落ちて行きました。
 僕はパニックにおちいっているMさんをどうにかしておちつかせようとしました。
 しかし僕もおどろいて無我夢中であったために、いつの間にかMさんの背後から僕の両足をMさんの胴体にからめてプロレス技でいうスリーパーホールドのようなかたちで僕の両腕をMさんの首付近にからめておさえつけていました。
 するとMさんは静かになり気絶されていることがわかりました。
 僕はMさんの誤解をとくために声をかけようと思いましたがびっくりしていて声を出すことができませんでした。
 僕は僕の上に仰向けになって気絶しているMさんを左横に動かして半身を起こしてまったくよそうにはんして女性に危害を加えてしまったことがショックで呆然となりました。
 そして『オレってヤツはなんてことをしてしまったんだ』と悔やみました。
 しかし考えもまとまらない内に後ろから『バシン』と僕のこしのズボンとうわぎのちょうど重なっているあたりに強襲をうけ、ふりむいた所に怒っているような目をしたMさんがいて右手にキラリと光るものをにぎっていました。
 僕はあぶないと思って反射的にMさんにおおいかぶさりました。
 この時、僕の左手は内側からMさんの右手を外に向けてはらい、僕は僕の右側体全体を使って体当たりするようにしてMさんにおおいかぶさっていたのです。
 それは咄嗟の判断であり考えているひまはありませんでした。
 僕はMさんの右脳に右ほほを付け僕の左手はMさんの左腕を押さえつけていました。
 しかしMさんが大声を上げ続けたために僕はMさんの口をふさごうとして右手を逆手にしてMさんの口を押さえました。
 とにかくおちついてほしい、おとなしくしてほしいという思いでいっぱいでした。
 するとMさんはいつの間にかぐったりとしており動かなくなっていました。
 僕はふらふらとしてたいせいをたてなおし、おおいかぶさっていたしせいから馬乗りのしせいへとなりMさんにまたいでいるしせいから僕が左わきにどくことで僕はすとんとその場にへたりこみました。
 僕はMさんを殺す意思はまったくありませんでした。
 スプレーを目つぶしのために噴霧したことはありません。スプレーを噴霧したという捜査段階での供述は捜査官に強要されたものであって真実ではありません。
 馬乗りになって両手親指の指先がのどぼとけ付近を押さえただとか、両手で首を絞めたことについても一切ありません。」(資料6頁)
 と上申書で述べているとおりである。

 ④被告人は、Mさんが死亡した後も、Mさんが単に気絶しているだけであると思い、Mさんが気絶から覚めた際、再び抵抗されないようにするためにガムテープで手を縛り口を封じたものであり、その抵抗できない状態の下に、被告人は、Mさんに謝罪して許してもらうつもりであったこと。
なお、ガムテープとスプレー式洗浄剤は、Mさんが動かなくなった後、トイレに出かけ持ってきたものであり、スプレー式洗浄剤もMさんが気絶から覚めて抵抗されたときに備えるためであったが、使用していないこと・・・従って被告人はMさんに対して殺害する意思がなかったこと。
 この点については、被告人が、
  「Mさんが動かなくなって僕は呆然として上半身を起こして左側に動いてMさんを注視しました。
  気絶しているものかと思いました。
  気絶から覚めて抵抗されたら困るのでガムテープで縛って抵抗できないようにしようと考えトイレにガムテープをとりに行きました。
  ガムテープで縛って抵抗されないようにした上でMさんが目を覚ますのを待って自分の話を聞いてもらうためでした。
  僕はこういう結果になってしまったのでもともと危害を加える気がなかったこと、申し訳がなかったことをしてしまったこと、僕の親には言わないでほしいこと、自分は母親を亡くしておりすごくさみしくてMさんにやさしく対応してもらったのでつい勘違いをしてしまい抱きついてしまったこと、そして許してほしいことを話そうと思ったのです。
  トイレからガムテープとスプレーを持って帰り、ガムテープでMさんの腕を縛り口を封じました。
  スプレーはMさんに抵抗された時に使おうと思いました。
  Mさんはなかなか目を覚まさなかったので、気絶したふりを装っているのではないかと疑いました。
  そこでスプレーを顔の前に持っていってノズルに手をかけふきつけるようなそぶりをしましたがはんびらきのまぶたに反応はありませんでした。
  次にカッターナイフをとりだして目の前でちらつかせてみましたが同じように反応がありませんでした。
  それでとうとうカッターナイフで服を切りましたが反応はありませんでした。
  ブラジャーをずり上げたところもとの位置に戻ったのでやはり気絶したふりをして僕をだまそうとしているのかなと思いました。
  それで僕は乳房を手でもんだり乳首を口にふくんでイタズラをして気絶したふりをさせないようにしようと思いつきました。」(資料10頁)
 と上申書で述べているとおりである。

 ⑤ 被告人が、Mさんが死亡したと気付いたのは、被告人がMさんの脱糞を発見したときであること・・・・従って、被告人にはMさんを殺害するという認識がなかったこと。
 この点については、被告人が、
  「それでも反応はありませんでしたので僕はMさんのおなかのあたりに目をつけて鼓動を聞きとろうとしましたが音は聞きとれませんでした。
  その時異臭がしたので「まさか!」と思って僕はMさんのズボンのボタンをはずしチャックをあけました。
  異臭はさらにつよくなりました。それで「そんなはずはない」と僕は悪いよかんをふりきってカッターナイフでMさんのパンティーの両端を切りました。
  中身はさらけだされました。
  それは脱糞でした。
  それではじめてMさんが亡くなられて死亡していることがわかりました。
  なぜならお母さんを亡くしたときも同じだったからです。」(資料12頁)
 と上申書で述べているとおりである。

 ⑥ Yちゃんをあやすために抱こうとして失敗し、腰より下の位置からYちゃんをカーペットに落としたこと・・・従って、被告人は、Yちゃんを頭上から床に叩きつけて殺害しようとしたことはないこと。
 この点については、被告人が、
  「僕はMさんの脱糞を見てうめき声を上げて立ち上がりました。
  その時泣いているYちゃんが目に入り抱き上げようとしました。
  うまく抱けずに、こしより下の位置から落としてしまいました。
  Yちゃんはいっしゅん泣きやみましたが大声で泣きはじめました。
  僕はYちゃんに『すみません』とあやまって再び抱っこしてあやしました。
  泣き声は小さくなりましたがおさまりませんでした。」(資料13頁)
 と上申書で述べているとおりである。

 ⑦ 被告人がYちゃんを風呂桶に入れたのは、そこがベビーベッドに見えたからであり、Yちゃんを抱いているときにMさんの幻影を見て、それはMさんを汚物にまみれたままにして放置しているからだと思い、Mさんを拭わなければならないと思ったこと・・・従って、Mさんを拭ったのは姦淫するためでなかったこと。
 この点については、被告人が、
  「Yちゃんを抱いて風呂場を出ようとしていたとき居間の入口付近にYちゃんを抱いて立っているMさんの幻影を見ました。
  僕はその場に固まりました。
  幻影が襲ってくるかと思ったのです。しかしMさんの幻影はいつの間にかなくなっていました。
  僕はこわくなりこの部分にとじこめられたかんじになり、逃げだしたくて台所の窓ガラスを右手で左から右に開けました。
  この時僕はYちゃんを左手で抱いていました。
  窓を開ける時、何かにあたり、「ガチャン」という音がしました。
  僕は顔を窓から出すようにしてようやく外の風を浴びることでおちつきをいくぶんとりもどしまし た。
  幻影が出たのはMさんのことを居間にのこし、汚物を拭うことなくそのままにしておいたからだと思い、あたりをそわそわと見て、目についたバスタオルをとってきれいにふいてあげようと思いました。」(資料14頁)
 と上申書で述べているとおりである。

 ⑧ Yちゃんの泣き声がうるさいからYちゃんを風呂桶に入れたり、押し入れに入れたりしたのではなく、風呂桶がベビーベッドに見えたからであり、またYちゃんが汚物に汚れないようにと考えて押し入れに入れたものであること・・・従って、被告人にはYちゃんを殺害する動機がないこと。
 この点については、被告人が、
  「居間から出てあてどもなくあるくと風呂にたどりつきました。
   風呂桶がベビーベッドに見えYちゃんを入れたもののゴスゴスという音がして泣き声がはげしくなり、すぐにYちゃんを再び抱きました。」(資料13頁)
  「そのときYちゃんが僕に近づいてくるので汚物でよごれてはいけないと思っておしいれの上のスペースをあけてYちゃんをその中に入れ、落ちてはいけないと思っておしいれを絞めました。」(資料15頁)
 と上申書で述べているとおりである。

 ⑨ 紐は、自分を責めるために取り出したものであり、Yちゃんに泣きやんでもらいたい、静かになってもらいたいと思っているうちにYちゃんを死亡させてしまったこと・・・従って、被告人には、Yちゃんを殺害する故意がないこと。
 この点については、被告人が、
  「僕は座りこみ、Yちゃんをあやそうとしたのですが、自分が泣かせておいて泣きやませようと している自分を恥じ、右ポケットにあった紐をとりだして自分の右手に紐をくくりつけ何度もゆるめたりひっぱったりして自分を紐で絞めつけ責めました。
  その後です。Yちゃんを死亡させるにいたるのは。」(資料17頁)
  「僕はYちゃんの首に紐を二重巻きにしてちょうちょ結びにしていますが、どうしてそのようなことになってしまったのか僕でもなにがなんだかわからない状況にありました。
  しかし僕はYちゃんを殺そうと思っていませんでした。
  これはYちゃんに泣きやんでもらいたい、静かになってもらいたい、そう思っている時のできごとでした。
  殺すためのものではありません。
  なお、僕はYちゃんが泣き叫んでいるときに、あやそうとして、抱き上げようとした際、うまく抱くことができず先にもふれましたように自分の腰より下の位置の高さからカーペットの上にYちゃんを落としてしまったことはあります。
  僕はYちゃんを両手で絞めたことはありません。」(資料18頁)
 と上申書で述べているとおりである。

 ⑩ Yちゃんを死亡させた後、Mさんを姦淫していること・・・従って、被告人の行為は死姦に該当すること。
 この点については、被告人が、
  「僕は気持ちがおかしくなっていましたし気が付いたら押し入れ左側のはしらに背をあずけて呆然自失、放心状態になって座っておりました。
  その後左目のはしにうつった半裸のMさんが目にとまり、這ってゆき、姦淫をいたしました。」(資料19頁)
  「姦淫しようと思ったのはMさんにつづきYちゃんまでも死亡させてしまった後であって、それは絶望の中での姦淫なのです。
  僕にとってははじめてのSEXであり冷たくなってゆくMさんとの死姦でした。」
 と上申書で述べているとおりである。

4 結論
 以上のとおり、被告人は、Mさん及びYちゃんを殺害したことはなく、それは傷害致死にとどまる。またMさんを強姦したことはなく、それは死姦にとどまるものであり、これらは、実況見分調書、鑑定書だけでなく、被告人の上申書からも明白である。

以上

2007/09/16 up

 


2 コメント

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ゆうこさんには、気の毒ですけど (結城)
2008-04-09 20:20:57
 女性のゆうこさんには耐えられないかもしれない内容になりますが、コメント入れさせてもらいます。
 弁護団更新意見書のほうを読んでいっています。さっき読んだのは、検察官の実にえげつない主張です。これは、死者に対する冒涜です。ひどすぎます。
http://www.k4.dion.ne.jp/~yuko-k/kiyotaka/kohshin2-1-3.htm
>(イ) 検察官の主張はねつ造であり、1審・旧控訴審・上告審の認定は事実誤認であること
A 被告人は、①被害者の脱糞に気付く、②被害者から汚物を拭い取る、③被害者を姦淫する、と主張するが、その主張を裏付ける証拠は被告人の供述調書のみで、客観的証拠はない
 それ故、被告人の供述調書を分析すると、いずれも、①脱糞に気付き、②汚物を拭い取り、③姦淫の順になっている。その経緯が最も詳細に記載されているのは乙23である。
 乙23によると、被告人は、タオルで2回位被害者の陰部を拭き、更に、陰部の毛の生えているところを拭き、次に、バスタオルで肛門の付近を下から上に拭き上げ、尻から肛門にかけて、「の」の字を書くように拭き、更に、ティッシュペーパーで肛門付近を下から上にしゃくりあげるように拭き、その後、陰部付近をこまめに拭き取り、その後、居間のカーテンを閉め、玄関をチェーンで閉め、台所の窓も閉め、汚物はトイレに流し、押入れの上段にタオルとパンティーを投げ込み、ジーパンを丸めて押入れの上段に投げ込み、うんちで汚れているカーペットから被害者を移し、姦淫したとのことである。
 しかし、ここまで、丁寧にしかも執拗に汚物を拭い取るのは極めて不自然である。検察官の主張や裁判所の認定によれば、被告人は、姦淫をしたいあまり強姦を決意し、被害者を殺害してまでも強姦したいと考えていたのであるから、被害者の抵抗がなくなった段階で直ちに姦淫をおこなっていたはずであって、このような迂遠な行動をとるはずがないのである。これでは、女性の肉体に対する執拗ないたぶりである。検察官の主張や裁判所の認定では、被告人は欲情していたというのであるから、未成年でセックスの経験もない男性であれば、いくら我慢していたとしても、この長い時間の拭き取り中に、射精してしまうのが自然であろう。
 以上のとおり、乙23の供述内容は、極めて不自然にして不合理であり、ねつ造されたものと疑わざるを得ない。


 もっとえげつない、恥知らずな捏造は、次です。検察官がどんな顔してこの調書を作ったのでしょうかね。これが捏造と認定されないなら、裁判そのものが嘘ですよ。
http://www.k4.dion.ne.jp/~yuko-k/kiyotaka/kohshin2-1-4.htm
>(イ) 著しく変遷・ねつ造された自白
A まず、射精状況について、「チンチンが半分くらい、・・・入ったとき、ガマンすることができず」出てしまったという供述から、「一発でチンチンを膣内に入れ・・・気持ちよかったので・・・チンチンをぐっと被害者の膣に押し入れ、うっと思った途端、腰を動かす間もなく絶頂に達し、射精して」しまったとの供述は、「半分」から「一発でぐっと」の挿入時と、「ガマンできず」から(途中から興奮してと変遷し)「気持ちよかったので・・・絶頂に達し」の射精と、ともに著しく変遷しており、かつ変遷の度に、より具体的で詳細な表現となっており、極めて強い誘導がうかがえる。
 特に、最後の5月7日(乙31)の自白内容は、週刊誌等の小説でよく見かけるような大人の性行為の描写となっており、誘導というよりは創作の押しつけ、あるいは無抵抗の被告人に供述とは無関係に作成された調書に署名・指印させたものであると強く推認される。
B さらに、5月7日(乙30)の自白に至っては、被告人はダッチワイフとセックスしたことはもちろんのこと見たこともなく、「ダッチワイフ」という言葉さえも知らなかったのであり、被告人の供述とはまったく無関係に取調官が創作して調書がねつ造され、抵抗できない少年の被告人に署名・指印させたものと確信される。
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事実とは違いすぎる (ゆうこ)
2008-04-09 22:53:30
結城さん。コメ、ありがとうございます。
 この事件は、なにもかも事実とは違いすぎます。結城さんの挙げていらっしゃるのを読んで、思いだしたのが、「光市最高裁判決と弁護人バッシング報道  安田好弘」です。
>彼はたいへん幼かったというか、大人ずれしていないというか
 と、言っています。

http://www.k4.dion.ne.jp/~yuko-k/kiyotaka/hikari2.htm

裁判から疎外された被告人

 私は、少年と今年の2月27日、広島拘置所で会いました。彼はたいへん幼かったというか、大人ずれしていないというか、25歳になろうという年齢でしたが、見た目では中学生あるいは高校生といっていいくらいの印象をうけました。容貌、相貌もそうでした。18歳1ヵ月で逮捕され、そのまま独居房に隔離されて身柄拘束されているわけですから、成長の機会が完全に奪われたままであることも確かです。もう一つびっくりしたのは、命に対する感覚がものすごく稀薄というんでしょうか、死んでもいいという感じなわけです。生きたい、死がこわいという感覚がおよそない。
それからもう一つは、自分が今どういう状況にあるかということについてほとんど無頓着といっていいような感じでした。
 そのあと彼がいろいろと語ったこともびっくりする中身だった。一つは、1審、2審でいわれているようなことは私はやっていないということ。1審、2審では、彼は捜査段階を通してずっと事実を認めてきたとされていたわけですね。もう一つびっくりしたのは、彼は自分の判決さえも見たことがない。自分の供述調書さえも見たことがない。つまり裁判に関する記録というのは検察官が1審の無期懲役の判決を不服として控訴した控訴趣意書、それからさらに検察官が控訴審の無期判決を不服として上告したときの上告趣意書、その2つの書面しか持っていない。ですから、何が裁かれているかということよりも、そもそも裁判とは全然無縁なところに彼は置かれていたわけで、そのこともまた驚きの一つだったわけです。
 これは皆さんがたぜひ知っておいていただきたいんですけれども、被告人と検察官は対等であるというようにいわれているわけですけれども、今回に見られるようにまったく対等ではないんですね。つまり、今回のように彼が自分に対する判決書を得るだけでも、A41枚につき60円のお金がかかるんです。つまりお金を出さないと判決さえ見ることができない。それは他の記録でも同じです。裁判で何をしゃべったかという証人尋問調書があるわけですが、それもお金を出さないと見られない。
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