田村義雄・クロアチア大使セクハラ事件 外務省の“恫喝”に沈黙した大新聞/~「小沢vs記者クラブ」〈4〉

2011-12-20 | メディア/ジャーナリズム/インターネット

クロアチア大使セクハラ 外務省の“恫喝”に大新聞沈黙した
NEWSポストセブン2011.12.14 16:00
 本誌前号は外務省によって握り潰された「駐クロアチア大使のセクハラ事件」を世に問うた。するとどうか。思わぬ“悪の秘密結社”があぶり出されてきたのである。「国家代表」の肩書きで犯した重大問題を「無かったこと」にしたのは、当事者の官僚たちばかりでなく、与野党政治家、そして記者クラブに巣食う大マスコミであった。
 報道の本分を忘れているのは政府や国会を監視すべき大メディアである。
 もともと、田村義雄・駐クロアチア大使のセクハラ問題はこの秋頃から外務省内で噂になっており、新聞記者の一部は、独自に裏付け取材にも動いていたようだ。
 しかし、本誌報道後、大新聞は一川保夫・防衛相の問責問題は連日報じているのに、田村大使のセクハラ事件については黙殺を決め込んでいる。
 外務省の“毒まんじゅう”を喰っているからだ。

 本誌が11月末に現地で田村大使に取材したことが本省に伝わると、現地大使館と本省で情報源探しが始まり、同時に木寺昌人・官房長を中心にマスコミ対策が練られたという。
 田村大使に不快感を示す外務省中堅官僚の話である。
 「週刊ポストが監察査察官の調査内容まで把握していることがわかると、官房は他のメディアに広がらないように手を打った。職員が親しい各社のキャップやデスククラスに、『書いたらわかっているでしょうね』と大使問題を報じた社を“出入り禁止にする”とほのめかしたようだ。それで新聞は書けなくなった。上層部も“後追い報道をうまく封じ込めた”と少し安堵しているようだ」(報道への圧力について、玄葉大臣は本誌に「聞いていない」と答えた)
 外務省記者クラブは通称「霞クラブ」と呼ばれるが、新聞社やテレビの記者は外務省に逆らえない体質がある。記者が首相や外相の外遊に同行取材する際、外務官僚から機密費で飲食の“接待”をまじえてレクチャーを受けたり、外務省に「領収証」を出してもらって出張経費を精算したりする関係にあるからだ。
 首相官邸や外務省詰めを経験したベテラン記者が明かす。
 「首相の外遊の場合は同行記者にも相手国から土産が出る。中東の石油産出国では高級時計が全員に配られた。最近は経費削減で社から出る出張費も世知辛くなったが、以前は外務省に頼んで領収証を多めに切ってもらい、それで夜の遊び代やお土産代を捻出することはみんなやっていた」
 そうして外務省とのズブズブの関係を築いてきたから、出入り禁止がどうのという以前に、役人ににらまれたら一歩も動けない腰抜けのカエル同然の存在なのである。
 大メディアでもまだ外務省経験が浅い若手記者は、「ポストの記事で初めて知った。大臣や副大臣のぶらさがり会見でこの件を質問しなくていいのかと思ったが、上司からは何の指示も出なかった」と、さすがに報道規制に違和感を持っているが、思い切って質問する度胸はない。
 ※週刊ポスト2011年12月23日号 *強調(太字・着色)は来栖

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千葉景子法務大臣は検察を適切に指導せよ/特捜検察と小沢一郎 2010-01-18 
  佐藤優の眼光紙背:第66回 2010年01月12日11時00分
 民主党の小沢一郎幹事長と「鬼の特捜」(東京地方検察庁特別捜査部)の戦争が山場を迎えている。1月18日に国会が始まる。そうなると国会議員は、当該国会議員が所属する院の同意なくして逮捕できなくなる。現在、小沢氏の秘書をつとめた石川知裕衆議院議員(民主党、北海道11区)の取り扱いが最大の焦点になっている。特捜としては、石川氏を突破口にして、小沢幹事長につながる事件を念力でも眼力でも摘発したいと考えている。そこで、石川氏に関するさまざまなリークがなされ、国民の怒りをかき立て、捜査がやりやすい環境を一部の検察官僚がつくりだそうとしているのだと筆者は見ている。現在、民主党が過半数をはるかに超える議席を擁する衆議院の状況を考えると、石川氏の逮捕許諾を衆議院が認める可能性はない。従って、18日までに石川氏の身柄が拘束されるか否かが最大の焦点になる。現時点で、石川氏は在宅起訴されるという報道が新聞紙上で踊っているが、筆者は国会が始まるまでならば、何があってもおかしくないと見ている。
 本件は、基本的に「国家を支配するのは誰か」という問題をめぐり官僚と民主党の間で展開されている権力闘争だ。国民とは関係のない「彼らの喧嘩」である(本件に関する筆者の見方については2009年11月24日佐藤優の眼光紙背第63回「特捜検察と小沢一郎」に記したので参照願いたい)。この戦いに検察が勝利すると、国家を支配するのは、自民党政権時代と同じく官僚であるということが確認される。当然、世の中は暗くなる。
 ここで、小沢幹事長が勝利するとどうなるか? 小沢チルドレンをはじめとして、民主党の衆議院議員には、要領だけよく、権力欲が強い偏差値秀才がたくさんいる。こういった連中が「俺たちが国家の支配者だ」と威張り散らす。それに検察が擦り寄る。検察は組織だ。仮に今回、特捜が小沢幹事長に敗れても、この事案に関与した検察官をパージし、新体制の特捜をつくる。その特捜が、小沢民主党の意向を忖度しながら、あらたな権力基盤をつくろうとする。この場合も世の中は暗くなる。
 もっとも小沢氏や、同氏と同じ政治理念をもつ政治家を選挙で落選させることはできる。しかし、検察官を含め官僚は十全な身分保障をされているので、国民の意思でこれらの官僚を排除することはできない。それだから、検察・小沢戦争では、小沢氏が勝利した方が、「より小さな悪」なのだと思う。小沢氏が勝利した場合、国民による民主党に対する監視を強め、民主党と検察が癒着することを防ぐ必要がある。
 そこで重要になるのがマスメディアの機能だ。石川氏に関する疑惑情報が新聞、雑誌にあふれている。逮捕されたわけでもないのに、石川氏は犯罪者扱いされ、政治家としての権威も人間としての信用も失墜している。メディアスクラムが組まれてバッシングを受ける辛さは、それを受けた者にしかわからない。それだから、筆者は石川氏と緊密に連絡をとるようにしている。メディアによるバッシングで、石川氏が死に追い込まれることがないようにというのが、筆者の率直な思いである。
 ところで、昨年12月8日の閣議で、興味深い答弁書が了承された。鈴木宗男衆議院議員(外務委員長)が石川知裕衆議院議員(民主党)に関する捜査情報を検察がリーク(漏洩)しているのでないかと質したのに対し、この答弁書において鳩山由紀夫首相の名で、「検察当局においては、従来から、捜査上の秘密の保持について格別の配慮を払ってきたものであり、捜査情報や捜査方針を外部に漏らすことはないものと承知している」という回答がなされた。
 閣議了解を得た答弁書の内容はきわめて思い。正義の味方である検察が、嘘をつくことはないという前提で考えると、連日、新聞をにぎわしている石川氏や小沢幹事長に関する疑惑はどのような情報源に基づくのだろうか。新聞を見ると情報源は「関係者」となっている。検察がリークしていないならば、もう一方の関係者は石川氏しかいない。そこで筆者は石川氏に電話をして「あなたかあなたの弁護士がリークをしているのか」と尋ねてみた。「そんなこと絶対にありません。それにしても僕が検事に供述した内容がそのまま引用されている記事もあるんです不思議で仕方ありません」というのが石川氏の答えだった。
 マスメディアは、リークを批判することはできない。なぜなら、リークよって、国家機関の内部情報をとることが、記者の職業的良心にかなっているからだ。問題は、リークが当局の思惑に基づいてなされ、「国民の知る権利」に奉仕していないことだ。鈴木宗男氏に関しても、北方領土からみで総合商社から賄賂をとったというリークにもとづく報道がなされ、「北方領土を食い物にする腐敗政治家を叩き潰せ」という世論が起きた。しかし、鈴木氏は、北方領土やロシアとからむ事案は摘発されなかった。国民は不正確な情報で苛立ちを強め、北方領土交渉は停滞した。リークによる過熱報道で国益(国民益と国家益の双方)が失われた。
 リークによる国民益と国家益に毀損に対抗する術はあるのだろうか? もちろんある。検察は、記者が独自取材で検察に都合が悪いニュースを報じると、その記者が所属するメディアを「出入り禁止」にして、情報を与えない。この「出入り禁止」に法的根拠はない。「出入り禁止」に怯えるから、司法記者の報道が検察寄りになってしまう。
 この状況は、千葉景子法務大臣が腹を括ればすぐに改善できる。法務大臣として、検察に対して、「出入り禁止」措置をやめ、特定の報道機関を排除してはならないと適切に指導すればよいだけのことだ。そうすれば、千葉法相に対するマスメディアの評価も飛躍的に向上する。(2010年1月10日脱稿)

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 「救急で小沢一郎氏が病院へ搬送」のニュースと田中角栄氏/ 小沢一郎氏vs記者クラブメディアの戦い2011-10-07 
もはや関係修復は不可能 小沢一郎氏vs記者クラブメディアの戦い
Diamond online 週刊・上杉隆【第195回】2011年10月7日
・この事件は小沢一郎という政治家と司法、霞ヶ関、マスコミとの戦いである
 陸山会事件における小沢一郎氏本人の裁判がようやく始まった。
 きょう、東京地裁では初公判が行われた。これによって、2009年3月の大久保元秘書の逮捕からスタートした政治資金規正法違反事件の本番がようやく訪れたということになる。
 なにしろ長かった。その一年半余りの間、元秘書の逮捕、代表辞任、政権交代、検察審査会、党員資格停止、さらに3人の元秘書の有罪判決などがあり、きょうに至っているのだ。
 これまで自由報道協会の記者会見以外ではほとんど語ることのなかった小沢氏だったが、初公判を受けて、早速、今夕、議員会館で簡単な記者会見に臨んだ。
 筆者自身も、この事件については2009年3月3日、つまり、事件当日から追っている。
 端的にいえば、この事件は、小沢一郎という政治家と、現在の日本の権力システム――司法(裁判所)、霞ヶ関(検察)、そしてマスコミ(記者クラブ)――との戦いに他ならない。
 今回もまた、世間にほとんど知られていないマスコミとの戦いが繰り広げられている。
 そこで、筆者自身の取材を振り返る意味でも、また、小沢氏のマスコミとの戦いを検証する意味でも、きょうの会見を振り返ってみようと思う。
 なお、筆者も会見には出席したが、小沢氏の発言の引用については、より公平性を期すため、すべて産経新聞のウェブ版に拠った。さらに、文意のまとまったパラグラフについては省略をしないことにする。そのため、引用部分が長くなるがそこはご海容いただきたい。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111006/stt11100618560018-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111006/stt11100619050019-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111006/stt11100619350020-n1.htm
〈えーそれでは私から最初に申し上げさせていただきます。私が主張したい内容は、本日の法廷で裁判長の許可をいただいて意見を申し述べましたので、そのことにほとんど含まれておりますので、ここで改めて私の意見の陳述をもう1度繰り返させていただきます。あん?そうかな。立った方がいいのかな。座った方がいいのか。立った方がいい。よしよし。今日ぐらいサービスしよう。大丈夫。
 裁判長のお許しをいただき、ただいまの指定弁護士の起訴状に対し、私の見解を申し上げます。指定弁護士の主張は、検察の不当・違法の捜査で得られた供述調書を唯一の根拠にした検察審査会の誤った判断に基づくものに過ぎず、この裁判はただちに打ち切るべきであると考えます。百歩譲って裁判を続けるにしても、私が罪に問われる理由はまったくありません。本件では政治資金収支報告書に間違った記載をした事実はなく、従って政治資金規正法のいう、虚偽記載に当たる事実はありません。
 ましてや、私が虚偽記載について、共謀したことは断じてありません。また、本件の捜査段階における検察の対応は、主権者である国民からの何の負託も受けていない一捜査機関が、特定の意図により国家権力を濫用(らんよう)し、議会制民主政治を踏みにじったという意味において、憲政史上の一大汚点として後世に残るものであります〉

・テレビでは仏頂面がおなじみだが 実は「いい感じ」のスタートが多い小沢会見
 冒頭からいきなりカメラマンへのサービス精神を発揮した小沢氏だが、じつは普段の自由報道協会の会見でもこうした「いい感じ」で始まることが多い。
 ところが、実際テレビなどで映像が使われる段になると不機嫌で怒ったような顔ばかりが使用される。単純な印象操作だが、それも徹底していれば影響は大きい。実際、小沢氏はそうしたアンフェアな報道姿勢に不満を持っており、それは、後の小沢氏自身の言葉からも読み取ることができる。
〈実際、日本外国特派員協会の会長でもあったオランダ人ジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は近著「誰が小沢一郎を殺すのか?」で小沢一郎に対する強力かつ長期的なキャラクターアサシネーション、人物破壊は世界的に類を見ないと言っています。人物破壊とはその人物の評価を徹底的に破壊することで、表舞台から永久に抹殺する社会的暗殺、アサシネーションであり、生命を奪う殺人以上に残酷な暴力だと思います。
 それ以上に本件で特に許せないのは主権者たる国民から何も負託されていない検察、法務官僚が土足で議会制民主主義を踏みにじり、それを破壊し、公然と国民の主権を冒涜(ぼうとく)侵害したことであります。
 一昨年の衆院総選挙の直前に、何の根拠もないのに検察当局は捜査逮捕権という国家権力を乱用して、いきなり野党第一党の代表である私を狙って強制捜査を開始したのであります。衆議院総選挙は国民が自ら主権を行使して、直接政権を選択することのできる唯一の機会に他なりません〉

・言外に日本のメディアを批判した小沢氏 しかし質疑応答スタートの一言は……
 ここでは小沢氏自身は触れていないが、この「人物破壊」には記者クラブメディアも加担していると言外に表明しているのだ。海外メディアの日本の団体のトップであった人物に語らせることで日本のメディアのアンフェアさを述べているのである。
〈日本は戦前、行政官僚、軍人官僚、検察警察官僚が結託し、財界、マスコミを巻き込んで国家権力を濫用し、政党政治を破壊しました。その結果は無謀な戦争への突入と、悲惨な敗戦という悲劇でありました。教訓を忘れて今のような権力の乱用を許すならば日本は必ず同様の過ちを繰り返すに違いありません〉
 さらに小沢氏はそれを戦前の大本営発表になぞらえて批判している。日本の記者クラブシステムの打破は、20年来の小沢氏の持論でもある。
 だが、それを本当に理解している人物は少ないのかもしれない。なにしろ会見の司会を担当した側近議員ですら、完全オープンでの記者会見の意味を理解せず、いきなり次のように語って質疑応答を始めたのだった。
「それでは幹事社の方から質問をお願いします」
 それでは、小沢一郎氏と記者クラブメディアの戦いをノーカットで見てみよう。
――テレビ幹事社として2点伺う。まず今日の初公判を終えての現在の心境、率直なご感想をお聞かせいただきたい。初公判を終えての現在の心境を率直に一言お願いしたい
〈今申し上げた通り、私の今回の捜査、そして検察審査会による強制起訴。これは全く、今申し上げました通り、不当な捜査であり、また、今日の裁判も一時も早く止めるべきであるというふうに申し上げました。その通りであります〉
――元秘書3人が一審で有罪判決を受けたことを含め、刑事責任とは別に道義的責任を問う声もあるが、ご自身の今後の政治活動はこれまで通り続けられるのか。議員辞職や離党についてはどのようにお考えか
〈今の文章でもお分かりいただけたと思いますけれども、私も、私の秘書も有罪と認定されるようなことは何もしておりません。この間の判決についても何ら法的な証拠も何もない。裁判官が自分の推測と推断で事実を認定し、それに基づいて判決を下すと。前代未聞のことであり、私は司法の自殺に等しいと思っております。従いまして私どもが何か違法なことをしたというならば、あんたが今使った言葉の中の、色々なことについて考える余地はありますけれども、何にも違法なことをしておりませんですから、そのようなことを考えるつもりは全くありません〉
――国会での説明責任についてうかがいたい。野党は証人喚問が必要だと主張している。かつて小沢氏は政倫審への出席を表明した経緯もあるが、公判がスタートしたとはいえ、司法の場とは別に国会で説明責任を果たす考えはあるか
〈君はどう考えているの? 司法の公判が進んでいるとき、他の立法権や、その他のこと、いろいろと議論すべきだと思ってんの? あんたは。あんたの見解は?〉
――司法手続きは重要だと思うが、国会での説明も一方では重要なことだと思う
〈あっ、そうなの。じゃ、三権分立を君はどう考えているの? だから、ちゃんとよく勉強して筋道立った質問してください。司法で裁判所っちゅうのは、最高の、最終の法に基づき、根拠に、証拠に基づいて判断をする場所でしょ? それが、いろいろな力や感情によって結果が左右されるようなことになってはいけないから、司法は司法で独立しているわけでしょ。うん。もうちょっと勉強してから、また質問をしてください〉
――今回の虚偽記載の件に関し、小沢氏が用立てたとされる4億円の原資は何だったのか
〈原資は私のお金です。詳しく聞きたければ検察に聞いてください。強制捜査、1年以上もやって、国会で説明する、君たちに説明するどころじゃないでしょ? 強制捜査をずっとやってんですよ。私の知らないことまで全部調べておりますから、お聞きください〉

 司会の岡島一正民主党衆院議員「フリーランスの記者の質問を2問ほど受けます」
――(TBS松原キャスター)2004年に小沢氏の政治資金管理団体「陸山会」は銀行から4億円の融資を受け、そこに小沢氏も署名しているが、これはなんのための融資だと考えるか。指定弁護士は虚偽記載の隠蔽工作ではないかと見ているが、どう考えるか。どう説明するか
 岡島氏「質問はフリーの人を優先してということなんで」
――あのー、いやー。
 岡島氏「フリーの方と知らないで私、指したんで」
〈(質問者に対し)ちゃんと、あんた、ルールを守らなくちゃだめだよ。答えるけども〉
岡島氏「フリーの方、もう一度お願いします」
〈(テレビ局からの質問はすでに)代表してやったんでしょ?〉
 岡島氏「フリーだと思ったんで。フリーじゃないと知らなかったものですから、すみません」
――(自由報道協会・田中龍作記者)小沢氏がこうまで検察とマスコミに狙われるのは、検事総長をはじめとする検察の人事、記者会見のオープン化、新聞社がテレビ局を持つという奇妙奇天烈なクロスオーナーシップに踏み込むからではないかとみる向きもある。小沢氏はどう考えているか
〈あのー、私は検察の人事であれなんであれ、官僚の人事にいろいろ干渉したり、口出したりすることは、したことはありません。ただ、それとは別に、今もう一つ言った、マスコミもいわゆる法律的にも集中排除の原則というのは法的にちゃんと規定されております。そういうことと同時にですね、私はやはり、どういう分野であっても程度の差はあれ、自由な競争というものが必要だと思っております。ですから、身近なことでいえば、会見でも、ずーっと以前から私はどなたでもどうぞというふうにオープンにいたしております。それが私の基本的考え方です〉
――それが記者クラブに嫌われた原因か
〈それは分かりません〉
 岡島氏「さっき、私の仕切りの言葉が悪かったので誤解されたかもしれません。まず、フリーの方、あとおひとり」
――(ニコニコ動画・七尾功氏)
 今回の裁判では小沢氏への支持、不支持を超えて司法のあり方そのものを疑問視する声が非常に多い状況となっている。一方でマスメディアのいう世論というものがあり、昔からこうした声は正反対の意見が多いわけだが、もう少し考えを聞かせてほしい。また、今後の対応は
〈はい、あのー、私はテレビ、新聞のやっている世論調査、国民の声というものがまったくデタラメとは申し上げませんけれども、しかし、必ずしも全国民のまんべんなく意見を代表しているというふうにも思えません。ですから、もし、その通りであるならば、私自身が選挙に受かることもなかったでしょうし、こうして政治家として活動が許されることもなかったと思います〉
〈ですから、賛否両論、いろいろ私に対してはあると思います。それは当然です。しかし、それが一方的なものであるとは私、思っていませんので、がんばってくれという大勢の方もありますし、私自身、なんら一点もやましいこと、ありませんので、今後もがんばっていきたいと思っております〉

 岡島氏「(記者会見に同席した民主党の階猛、辻恵両衆院議員に対し)補足ありますか。特にない。それではこの会見は、これで質問を終わらさせていただきます。ありがとうございました」
〈はい、ありがとう〉
 これでわかるだろう。もはや小沢一郎という政治家と既存の記者クラブメディアとの関係修復は不可能なのだ。
 こんな状況で健全な記者会見ができるはずもない。フェアな議論はフェアな舞台にしか宿らない。
 小沢一郎氏がマスコミを人物破壊を行う「敵」のひとりとみなしている理由はここにある。
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小沢氏初公判 第3の検察と化した記者クラブ
田中龍作ジャーナル2011年10月6日 20:53
 初公判を受けての小沢氏記者会見。会場は立錐の余地もないほど記者やカメラマンで埋め尽くされた。
 土地購入をめぐる政治資金規正法違反(虚偽記載)で検察審査会の議決によって強制起訴された小沢一郎・元民主党代表。6日夕方、初公判を終え国会内で記者会見を開いた。
 小沢氏は法廷で行った意見陳述をもう一度読み上げた。続いて記者クラブ幹事社からの質問だ。筆者は会見が始まる前、記者クラブから出されるであろう質問を予想し、それをツイートした。「秘書が有罪になったが…」「議員辞職はしないのか?」などだった。
 幹事社(今月はテレビ朝日、共同通信)はものの見事に筆者の予想に沿った質問をしてくれた。テレビ朝日の記者が「秘書が有罪になったことの道義的責任は?」「議員辞職しないのか?」と質問したのだった。
 小沢氏は次のように答えた―
 「私も私の秘書も有罪とされるようなことはしていない。有罪の証拠はない。裁判官が自分の推測にもとづいて判決を下した。(議員辞職など)そのようなことは考えていない」。
 共同通信記者の質問は―
「野党は証人喚問を要求しているが、国会で責任を果たす予定は?」
「4億円の原資は何だったのか?」
 小沢氏の回答は―
 「3権分立を何と考えているのかね。君はどう考えているのかね」。
小沢氏から逆質問されると、共同通信の記者は絶句してしまった。
 「4億円は自分のお金です。検察に聞いて下さい。検察が1年以上、私の知らないことまで捜査しているのだから」。
 検察リークを垂れ流していることへの強烈な皮肉だった。
 検察審査会が第2の検察と言うなら、記者クラブは第3の検察である。

 筆者も毎度おなじみのワンパターンな質問をした。情けない話だが、この問題に行き着くのである。
 「小沢さんがこうまで検察とマスコミに狙われるのは『検察人事』『記者会見のオープン化』『クロスオーナーシップ』に踏み込もうとしているからではないか?」
 小沢氏はこう答えた。「検察人事に介入したことはない。記者会見は開かれたものでなければならない。(クロスオーナーシップについては)集中排除の法律を守らなければならない」。

 「あいつ(田中)はいつも同じ質問ばかりだな」とバカにされるのは承知のうえだった。記者クラブ制度と検察の体質を改善しない限り、日本という国が破滅に向かうと思うからである。
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「小沢記者会見」報道のウソを暴く―TBSキャスターの掟破り
田中龍作ジャーナル 2011年10月8日 12:32
 陸山会事件の初公判後(6日夕)、小沢一郎・元民主党代表が開いた記者会見をめぐる報道は、各紙・各局とも批判一色だった。それをとやかく言うつもりはない。批判は自由だからだ。だが、事実をねじ曲げて自らを正当化するのは、戦中の大本営発表と同じではないだろうか。
 記者会見の現場に臨んでいない読者(国民)が、騙される記述がある。それは「テレビ局記者が4億円の融資署名を聞いたことに小沢氏が答えなかった」とするくだりだ。
 朝・毎・読は翌7日の朝刊で次のように報道している――
 「テレビ局の記者の質問は答えを得られず」(朝日)、「別の記者が質問する順番だとして質問者をたしなめた」(毎日)、「民放記者の質問を制止」(読売)
 こうなった背景はものの見事にネグレクトされている。実情を明かそう。テレビ朝日記者と共同通信記者の質問が終わったところで、司会役の岡島一正議員が「では次は、フリーの方も含めて」と指定した。記者クラブ限定ではなくフリーにも質問の機会を与えるためだ。会見場の雰囲気から察して、流れはフリーやネットに来ていた。
 そこに「TBS・News23」松原耕二キャスターが、紛れ込んで挙手したところ当たった。松原キャスターは社名も氏名も名乗らずに質問を始めた。フリーやネット記者を装ったのである。姑息と言わざるを得ない。
 松原氏の正面の席に座っていた筆者は言った。「社名と氏名を名乗って下さい」と。松原氏は渋々名乗った。
 そこで初めて小沢陣営が『ルール違反』と気づき、松原氏の質問を制止したのである。
 記者会見に出席するマスコミ記者の人数は、フリーやネット記者の数十倍に上る。松原キャスターのような手法がまかり通ったら、フリーやネット記者が質問する機会は著しく減少するのだ。
 「質問する記者は社名と氏名を名乗る」。記者会見における最低限のエチケットである。鉢呂経産相辞任会見でヤクザまがいの暴言を吐いた某通信社の記者も、社名と氏名を名乗らなかった。
【談合防止のためにもプレスセンターを】
 あまりにもレベルが低い記者会見は、民主主義を危うくする。官庁、大企業と記者クラブの間で談合が成立し、国民には真実が隠されてしまうからだ。経産省、東電、記者クラブが事実を隠ぺいし続けてきた原子力発電所の実態が何よりの例である。
 フリーやネット記者を入れるのは、透明性を担保する第一歩である。先ず記者クラブに質問させて、次にフリーやネットという指名方法も止める必要がある。テレビ中継の時間枠の中で自社の編集方針に沿った質問と回答を放送するために、長らくこの方式が取られてきた。
 だがこれこそ、国民の知る権利に背くものではないだろうか。テレビ局の興味と国民の興味は違うことの方が多いのだから。情報操作の危険性も生まれる。
 日本の記者会見は、役所か大企業の本社などで行われる。抱き込まれにのこのこ行くようなものだ。これでは真実が隠されてしまって当然だ。
 役所や大企業からの独立性を保つためには、記者会見を別の場所で開く必要がある。FCCJ(日本外国特派員協会)のようなプレスセンターを設けるのだ。
 主催権はフリーもネットも含めたジャーナリスト側にある。こうすれば少なくとも役所や大企業による世論操作が入り込む余地は格段に減る。
 ここでいうプレスセンターとは、電力会社の東京支社を入居させているような「日本プレスセンター(日本新聞協会加盟社とその関係者のみ記者会見に参加可)」ではない。
 知る権利はあくまでも主権者たる国民にある。記者クラブと役所、大企業による談合質問が続く限り、国民は判断材料さえ与えられないことになる。


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