佐世保 高1女子殺害事件 児相幹部ら3人処分…通報「誰かを殺すのではないか」放置

2015-02-16 | 少年 社会

 産経WEST 2015.2.16 11:34更新
【佐世保高1女子殺害】通報「誰かを殺すのではないか」放置、児相幹部ら3人処分
 長崎県は16日、佐世保市の高1女子生徒殺害事件で、家裁送致された少女(16)に関して精神科医から事件前に寄せられた通報を放置したとして、佐世保こども・女性・障害者支援センター(児童相談所)の所長(57)ら3人を処分した。所長と課長(52)は戒告の懲戒処分、係長級職員(50)は文書訓告とした。
 少女を診察した精神科医は事件前の昨年6月、「放置すれば(少女が)誰かを殺すのではないか」と児相に通報。しかし、所長らは正式な相談事例として受理せず、単なる問い合わせとして処理、医師に会うなど追跡調査もしなかった。
 県はこうした対応を「相談機関としての役割を十分果たさなかった」と判断。部下にパワハラをしていた課長については「医師の電話を受けた職員が相談を求めることができないなど、対応に影響を及ぼした」と処分理由を説明している。
 ◎上記事の著作権は[産経新聞]に帰属します
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 河北新報 社説 2015年02月18日水曜日
佐世保児相処分/命に関わる仕事の自覚を
 よくある職員の処分とやり過ごせることではない。
 人の命に関わる事件で、またもやりきれない「お役所仕事」の不祥事が認定された。
 昨年7月に起きた長崎県佐世保市の高1女子生徒殺害事件に関連し、佐世保こども・女性・障害者支援センター(児童相談所)の幹部職員が16日、県から戒告の懲戒処分を受けた。
 加害側の16歳少女に関し、事件前に精神科医から寄せられた情報をきちんと扱わず、放置していた責任が問われた。
 少女を診察した精神科医が「放置すれば(少女が)誰かを殺すのではないか」と踏み込んで警告していたのに、児相は正式な相談事例として対応せず、必要な調査を怠っていた。
 対応していれば事件は防げたかどうかは分からないとしても、事態が警告通りに進んだことを考えれば、悔いが残る。
 通報と放置は、間違いなく事件の重大な岐路だった。
 少女は父親(事件後自殺)を以前バットで殺そうとした容疑も含めて、家裁送致された。
 少女自身が抱えた闇の解明など、今後は審理と処分が注目されることになるが、事件に至る経緯の検証はそれだけでは十分でないことが分かる。
 同種の事件を繰り返さないために関係者は、児相の対応こそ詳細に分析し、共有すべき教訓と受け止める必要がある。
 犯罪可能性のある子どもに関する対応の責任は本来、児相だけが負うものではない。児童福祉法に基づいて、自治体や警察などとともにつくる地域の協議会が、虐待保護などと同様に対応することになっている。
 今回は、精神科医がその協議会で取り上げることも児相に打診していたが、児相は拒否してしまい、せっかくの問題共有の仕組みは生かされなかった。
 放置や拒否の要因として、男性課長が日常的に部下に威圧的態度で接し、通報を受け入れないよう指示していたことが指摘されている。「放っておけ」という言葉もあったという。
 パワハラ職場の中で相談もできない空気があり、窓口段階で通報は葬られた。事件の重大性と照らしたときのあまりの卑小さにあぜんとしてしまう。
 どんなに立派な組織や仕組みがあっても、職員の問題意識と使命感がなければ動かない。子どもの未来に関わる仕事の自覚が、佐世保の児相現場には欠けていたと言わざるを得ない。
 幼児虐待でも、通報を生かせず、小さな命が守れなかった事例が各地で繰り返される。
 通報件数は年々増えて複雑化し、現場の対応が困難になっている事情はあるにしても、虐待死を防ぐ最前線の覚悟が個々の職員にあれば、対応できたケースは少なくないはずだ。
 それはストーカー事案の対応を誤り、殺人事件の発生を食い止めきれなかった警察の不手際にも通じるところがある。
 惰性や萎縮や怠慢を戒め、職務の原点に立ち返ることが必要だ。窓口業務一つにしても仕事の先には、人の命がある。
 ◎上記事の著作権は[河北新報]に帰属します
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