交通事故で手話に支障=言語障害と認定--名地裁〔支払い命令〕

2009-11-25 | 社会

聴覚障害:「手話も言語」初認定…事故で腕不自由賠償訴訟
 交通事故で負傷して手話が不自由になったとして聴覚障害者の60歳代の主婦が、加害者の男性に損害賠償など約2600万円の支払いを求めた訴訟の判決が25日、名古屋地裁であった。徳永幸蔵裁判官は「手話は意思疎通の手段で、健常者が口で話すことに相当する」と、手話の障害が言語障害にあたると認定し、計約1220万円の支払いを命じた。原告側代理人によると、手話の障害を言語障害と同等に認める判決は全国で初めてだという。【山口知】
 訴えたのは、名古屋市中川区の大矢貴美江さん。大矢さんは聴覚障害で身体障害者1級の認定を受けている。
 訴えなどによると大矢さんは04年7月、自宅近くの市道で横断歩道を横断中、乗用車にはねられ右肩や左手などを骨折。入院、通院、リハビリ期間を合わせると140日間を要した。右肩と左手に運動障害が残り、手話が不自由になった。しかし自賠責保険では健常者の「言語障害」が手話には適用されず、大矢さんのけがは障害程度の軽い「機能障害」とされた。
 徳永裁判官は判決で(1)手話が分かりにくいと言われる(2)表現しにくい単語がある(3)1時間手話を続けると左手に痛みを感じる--などから「手話能力の14%が失われている」と認定。慰謝料や家事ができないことによる逸失利益などの支払いを命じた。
 今回の訴訟で被告は個人だが、実際の賠償は被告の保険会社が支払うことになる。
 判決を受け大矢さんは名古屋司法記者クラブで会見した。大矢さんは、支援者を通じ手話で語った。後遺症で左手をひねる動きや手を握る動作ができず「男」「女」などの簡単な言葉も表現できないという。大矢さんは「事故の後は手話が下手だと言われてつらいこともあった。こちらの主張が認められて喜んでいる」と、目に涙を浮かべながら話した。 毎日新聞 2009年11月25日
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手話に支障「言語障害」認定=初判断、手にけがの主婦勝訴-名古屋地裁
時事通信2009年11月25日(水)
 交通事故による手や肩の後遺症で手話が不自由になったとして、名古屋市に住む聴覚障害者の主婦大矢貴美江さんが、事故の加害者を相手に、約2600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、名古屋地裁であった。徳永幸蔵裁判官は「手、肩のけがで手話に影響が出た場合は後遺障害と扱うのが相当だ」として言語障害と認め、約1200万円の支払いを命じた。
 原告側代理人の田原裕之弁護士によると、手話の障害を言語障害と認めた判決は全国で初めてという。
 徳永裁判官は「(けがの影響で)表現しにくい単語があり、大矢さんの手話が分かりにくくなったとする人がいる」などと指摘した。その上で「手話言語能力は14%程度失われた」と認定し、逸失利益や慰謝料などの支払いを命じた。
 判決後に記者会見した大矢さんは「提訴以来、1年10カ月闘ってきた。このような結果になり良かった」と手話で話した。
 判決によると、大矢さんは2004年7月29日夜、名古屋市中川区で横断歩道を歩いていた際、右折してきた乗用車にはねられ転倒。右肩関節の機能障害や左手関節神経障害などの後遺症で、手話の会話に支障が出るようになった。

「手話は言葉」は評価できるが、手話の障害程度が軽視されたのは不満


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