国内の死刑執行なし、異例2年超 法相失言、袴田さん再審影響か 2024.07.29

2024-07-30 | 死刑/重刑/生命犯

国内の死刑執行なし、異例2年超 法相失言、袴田さん再審影響か
 2024年7月29日 月曜日 中日新聞
 国内での最後の死刑執行から26日で2年となった。自民党の政権復帰後は、基本的に数カ月~半年に1回のペースでの執行が続いていた中、異例の長さの空白期間といえる。慎重姿勢の背景には、執行を巡る失言による法相の辞職や、死刑が確定していた袴田巌さん(88)の再審開始が影響したとの見方がある。
 直近の執行は2022年7月26日にあった。秋葉原無差別殺傷事件の加藤智大死刑囚が対象で、当時の古川禎久法相が命じた。
 後任の葉梨康弘法相が22年11月、「法相は死刑(執行)のはんこを押す。ニュースのトップになるのはそういうときだけという地味な役職だ」などと失言。数日後に更迭された。
 23年3月には、1966年の4人殺害事件で死刑が確定した袴田さんの再審開始が確定。23年10月に静岡地裁で始まった再審公判は、今年9月26日に判決があり、無罪の公算が大きい。死刑制度への関心が高まるため、執行に踏み出すのは容易ではないとみられる。

 法務省によると、6月末時点で刑事施設に収容中の確定死刑囚は108人いる。刑事訴訟法は判決確定から6カ月以内の執行を定めるが、14~23年は確定から執行まで平均約9年だった。

 自民党が12年12月に政権復帰し、最初に法相を務めた谷垣禎一氏は2年弱で11人の執行を命じた。その後の法相も、不祥事などがなければ数か月~半年に1回が多い。上川陽子氏は18年にオウム真理教幹部ら13人の執行を命令した。

 例外的に間隔が空いたのは19年12月26日~21年12月21日で、東京五輪・パラリンピックや、東京高検検事長の定年延長問題を巡る国会審議の紛糾が影響したとされる。

 過去にも89年11月から約3年4カ月間、中断したことがある。この時は、静岡県島田市で女児が殺害された島田事件の再審無罪が89年2月に確定したほか、国連総会で死刑廃止条約が採択されたことなどが背景にあったとみられる。制度に詳しい立正大の石塚伸一客員教授(刑事政策)は当時と現在の状況は似ているとして「死刑判決に疑義が唱えられている中での執行は、火中の栗を拾いに行くようなものだ。執行を再開する理由がない」と分析した。

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し


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