広島女児殺害事件 差し戻し控訴審

2010-04-09 | 死刑/重刑/生命犯

検察、改めて死刑求める…広島女児殺害差し戻し控訴審
  広島市安芸区で2005年11月、小学1年木下あいりちゃん(当時7歳)をわいせつ目的で殺害したなどとして殺人や強制わいせつ致死、死体遺棄などの罪に問われたペルー国籍のホセマヌエル・トレス・ヤギ被告(38)の差し戻し控訴審の初公判が8日、広島高裁(竹田隆裁判長)で開かれた。検察側は改めて死刑を求め、弁護側は心神喪失だったなどとして、殺人、強制わいせつ致死罪は無罪を主張、1審判決の無期懲役からの刑の軽減を求めた。
 検察側は「わいせつ目的で少女を殺害した比類なき悪質な犯行。更生の意欲も認められず極刑はやむを得ない」とした。
 弁護側は精神鑑定と情状鑑定を請求し、ヤギ被告がペルーで起こした性犯罪の捜査資料を証拠から除くよう求めた。また、被告があいりちゃんの両親に送った謝罪文が証拠採用された。
あいりちゃん父「真実の証言を」
 この日は、あいりちゃんの父建一さん(43)の意見陳述もあり、「裁判のたびに事件を思い出し、つらい」と訴え、被告に「真実が話せる最後の機会になると思う。真実の証言を」と求めた。法廷でヤギ被告は、床に座り込んだり、奇声を上げたりし、裁判長が注意する場面も。
 閉廷後、建一さんは報道各社に「あくまで死刑を求めていきたい」と語った。
 1審・広島地裁は、死刑求刑に対して、「卑劣だが、計画性が認められず、死刑には疑念が残る」として無期懲役を言い渡した。しかし、控訴審の広島高裁は「1審は審理を尽くしていない」として地裁に差し戻し。被告側が上告し、最高裁が「1審の訴訟手続きは適法」として高裁に差し戻す異例の展開をたどっている。
 差し戻し審は量刑などが焦点となる。精神鑑定などが実施されなければ次回6月1日で結審する見通し。(2010年4月9日  読売新聞)
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検察「性犯罪歴重視を」 あいりちゃん事件差し戻し控訴審
中国新聞'10/4/9
▽弁護側、証拠排除を要求
 木下あいりちゃん事件で、殺人や強制わいせつ致死などの罪に問われたペルー国籍のホセ・マヌエル・トレス・ヤギ被告(38)の差し戻し控訴審の初公判が8日、広島高裁であった。焦点となるペルーでの性犯罪歴の評価をめぐり、検察側は死刑適用への判断材料に加えるよう訴え、弁護側は証拠からの排除を求めた。
 高裁は差し戻し前の控訴審で、被告が母国で起こしたとされる女児2人への性犯罪歴の資料を証拠採用している。弁護側の排除申し立てを受け、竹田隆裁判長は「判決で判断を示す」とした。
 裁判官の交代に伴う更新手続きで、検察、弁護側双方が意見書を朗読した。検察側は、一連の犯行を「人倫の根本を根底から覆す野獣の所業」と断じ、従来の死刑適用基準を踏襲して無期懲役とした一審判決を批判した。
 被告に判決が確定した「前科」がない点については、ペルーでの性犯罪歴を挙げ「犯罪性向をうかがわせる事情」と主張し、あらためて死刑を求めた。
 これに対し、弁護側は「前歴の証拠には確定判決が存在せず、事実認定はできない」と強調。殺意やわいせつ目的を否定した従来の主張は維持し、減刑を求めた。被告が遺族にあてた謝罪文などが証拠採用され、精神鑑定、情状鑑定の採否は留保された。
 この日の公判では、検察側が請求したあいりちゃんの父建一さん(43)の意見陳述もあった。建一さんは被告に対し「今回の裁判は真実を話せる最後の機会になる」と告げ、あらためて極刑を求めた。
 次回公判は鑑定請求が却下された場合、6月1日に開かれ、双方の弁論が予定されている。(松本恭治)
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父「真実明らかにして」 広島女児殺害差し戻し審で訴え
 asahi.com2010年4月8日23時35分
 広島市安芸区で2005年11月、小学1年の木下あいりさん(当時7)が殺害された事件で、ペルー国籍のホセ・マヌエル・トレス・ヤギ被告(38)=一審で無期懲役=の差し戻し控訴審の初公判が8日、広島高裁であった。検察側は改めて死刑を求め、弁護側は起訴された4罪のうち死体遺棄と出入国管理法違反は認め、殺人と強制わいせつ致死は無罪主張した。
 弁護側は被告の精神鑑定やペルーでの性犯罪記録を証拠から排除することを求めた。竹田隆裁判長は、被告が遺族にあてた謝罪の手紙などを証拠採用。精神鑑定については1週間から10日をめどに採否を決めることにし、却下されれば6月1日の次回公判で結審する見通し。
 意見陳述したあいりさんの父建一さん(43)は「今回の裁判が、おそらく真実が話せる最後の機会になる」と被告に呼びかけ、「謝罪文を書く前に真実を明らかにしてほしい」「今も極刑を望んでいる」と訴えた。
 ヤギ被告は入廷直後に床に座り込み、奇声を発するなど不可解な言動を繰り返した。閉廷間際には「木下さんごめんなさい。心からごめんなさい」と傍聴席の建一さんに日本語で叫んだ。
 建一さんは閉廷後、報道陣の取材に応じ、「真実が知りたい。無事に意見陳述できたのはよかったが、被告人質問がなく残念だ。あいりも生きていれば小学6年生。非常に残念で、申し訳なく思っている」と話した。
 一審・広島地裁は公判前整理手続きで争点を整理したうえで5日間の集中審理を実施し、死刑の求刑に対して無期懲役の判決を言い渡した。二審・広島高裁は「審理が尽くされていない」と地裁に差し戻したが、昨年10月の上告審判決は「審理不足とは言えない」などとして高裁での審理やり直しを命じた。(小俣勇貴、村形勘樹)
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広島女児殺害事件 差し戻し控訴審 父は「死刑判決を望む気持ちは変わらない」
産経ニュース2010.4.7 23:42
  広島市安芸区で平成17年、小学1年の木下あいりちゃん=当時(7)=が殺害された事件で、殺人や強制わいせつ致死などの罪に問われたペルー人、ホセ・マヌエル・トレス・ヤギ被告(38)の差し戻し控訴審が8日、広島高裁で始まる。あいりちゃんの父親で自衛官の建一さん(43)は「死刑判決を望む気持ちは変わらない。ヤギ被告は謝罪の気持ちがあるなら裁判で真実を話してほしい」と訴える。
 「公判のたびに事件のことを思いださなくてはならない」
 異例の展開をたどり、長期化する裁判に建一さんはつらい心情をのぞかせる。
 今年1月、建一さんは国際緊急援助隊として、地震で被害を受けたハイチ共和国に派遣された。「現地に着いた最初の夜、あいりが弟と2人で出勤する私を見送ってくれる夢を見た」という。「笑顔で、本当に生きているように鮮明だった。夢から覚めた後、あいりはもういないという現実がつらかった」
 あいりちゃんは、平成16年に起きたインドネシア・スマトラ島沖地震の被害者に自分の小遣いを送った。「きっと『お父さん、がんばってね。たくさんの人を助けてあげてね』と言いに来てくれたんでしょうね」。帰国までの間、ずっと愛娘を身近に感じながら任務にあたった。
 これまでの裁判で、ヤギ被告は遺族の供述調書の朗読に涙を浮かべたり、被告人質問では遺族に向けて「心からごめんなさい。すみません」と日本語で謝罪の言葉を述べたりした。一方で、動機などを明確に語らず、事件の詳細部分はあいまいなままだ。
 建一さんは「真実を話さない限り、ヤギ被告が口にしてきた謝罪は決して受け入れられない」と語気を強める。「なぜ被害者があいりでなければならなかったのか。どのように死んだのか。最後に何か言い残したことはあるのか。その空白を埋めたい」
 建一さんは、意見陳述が認められれば、ヤギ被告に対して改めて真実を話すよう呼びかけるつもりだ。
 「あいりに『ヤギ被告がようやく心から謝る気持ちになって真実を語ったよ』と言えるような裁判になることを願っています」
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広島女児殺害事件
広島女児殺害、精神鑑定請求を却下 差し戻し控訴審 2010-04-15 


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