ノムさんが咲かせる ノリは枯れたヒマワリ
2008年11月21日 中日新聞紙面から
楽天の野村監督が２０日、中日からＦＡ宣言した中村紀洋内野手（３５）を「枯れたヒマワリ」という独特の表現で入団大歓迎だ。中村紀は「僕も月見草」と話したが、歳をとっても「ヒマワリ」ということのようで「楽天には元近鉄の選手が多く居心地がいいだろう」とも。球団は２５日に東京で中村紀と交渉する。
「枯れたヒマワリ」。この毒舌的な言葉の裏に、野村監督の中村紀への期待が隠されている。「枯れた」というのは、全盛期は過ぎ去ったと見ているということ。持病の腰痛に苦しんでいることは耳に入っている。近鉄時代のような打撃は求められない。
それでも「ヒマワリ」だ。かつて自身を「月見草」とし、巨人の王、長嶋を「ヒマワリ」としたように、中村紀には華がある。少なくとも「月見草」ではない。リーダーとしても期待したい。「ベテランだから、かがみとなって、チームをいい方に引っ張っていってほしい」とも話した。
野村再生工場で、水をやり、手入れをすれば、再び大輪のヒマワリが咲くかもしれない。工場長は「どうかなあ」と言葉を濁したが「でも、楽天には元近鉄の選手が多いから、居心地がいいだろ。オレは西武に移籍したとき、知らない選手ばかりで苦しんだ。問題は人間関係だけだ」と新たな環境はマイナスではないと続けた。
球団は、交渉解禁日となったこの日、朝一番で中村紀に電話でオファーした。初交渉は２５日に東京で行われる。野村監督は「頭を下げるのが嫌いだから行かないよ」と出席しない予定だが、球団サイドは中村紀の意に添うように、２年契約を用意して交渉のテーブルに着く方針だ。 （永山陽平）
............................
ノリ、きょうにも楽天 ２年３億円＆三塁確約
2008年11月26日 中スポ紙面から
野村監督から贈られた色紙を手にする中村紀＝ホテルニューオータニで（北田美和子撮影）
中日からフリーエージェント（ＦＡ）宣言した中村紀洋内野手（３５）が２５日、東京都内のホテルで楽天との入団交渉を行った。総額３億円の２年契約＆三塁確約と、中村紀の希望をクリアした条件提示に「前向きに考えます」。早ければ２６日にも中日に断りの連絡を入れ「楽天・中村紀」が誕生する。
相思相愛を確かめ合うのに、長い時間は必要ない。わずか３０分足らずで終了した初交渉だったが、中村紀の言葉は感謝と希望に満ちていた。
「真っ先に手を挙げていただいた球団ですから。前向きに考えさせていただきます。仙台でプレーするのかどうか…。家族もいますので、これから考えます。なるべく早く。寝ずにでも考えたい。もし決まれば、あすにでも『よろしくお願いします』と（連絡を）入れられると思います」
楽天からすれば、球団史上初めてのＦＡアタック。その熱意、誠意は「十分に伝わった。１から１０まで聞かせていただきました」。中村紀が欲したのは三塁での起用と複数年契約だが、どちらもクリアした。２年総額３億円。プラス野村監督からの直筆メッセージを受け取った。
高下在心（こうげざいしん）。この先の野球人生の行く末は、中村紀自身の気構えにかかっているという意味が込められている。売り飛ばせば？高値は必至の野村語録。３６歳からの集大成は、仙台で迎えるのはほぼ確実といっていい。
「野村さんが言われた『枯れたひまわり』をもう一度、咲かせたい。自分もあと何年かしかできないと思っています。思う存分、野球を楽しみながら、チームのためになれれば…。条件じゃなく、野球をさせていただける。勝つためにおまえが必要なんだという言葉。必要とされるところに行きたいと思っています」
戦力構想では宙に浮きつつある中日と、三塁を空け「できればフル出場してもらいたい」とまで言ってくれた楽天。その差は大きい。
楽天入りへの障害はない。恐らくは迷いもないだろう。ただ、筋目を守る時間は必要だ。窮地に立った昨春、救いの手をさしのべてくれた中日への感謝は忘れたことはない。決してビジネスライクな決断ではないからこそ、礼を失せず別れたい。中日球団への報告を済ませた後に「楽天・中村紀」が誕生するはずだ。（渋谷真）
◆西川社長「それも仕方ない」
楽天と中村紀の交渉に、中日・西川球団社長は従来の姿勢を貫いた。
「こちらは何も変わりません。彼は権利を行使したわけですから。本人からまた話したいといえば会いますし、あちらにお世話になると言えばそれも仕方ない」。すでに単年７０００万円の条件を提示済み。心静かに中村紀からの連絡を待つ。
...........................................
〈ゆうこのつぶやき〉 ノリ、よかったあ♪ 最高の指揮官に見出されたね。3塁確保だし！これからは、楽天のノリを応援します。2年契約で、よかった。ノムさん、ありがとう。