やんちゃな照ノ富士はもういない 照ノ富士の復活劇に国技館が揺れた <大相撲7月場所>13日日 2020/7/31

2020-07-31 | 相撲・野球・・・など

やんちゃな照ノ富士はもういない。人生の暗い闇を見た元大関が圧巻の相撲で勝ち越し
 飯塚さき | スポーツライター
 2020/7/28(火) 8:00
 九日目を終えた大相撲七月場所。盤石の横綱・白鵬と、新大関の朝乃山は全勝、それを1敗で追いかけるのは、関脇・正代と幕尻の照ノ富士だ。本稿では、後半戦に入った今場所の幕内最高優勝をめぐる見どころを紹介する。

■照ノ富士の成長に涙
 九日目のこの日、照ノ富士は佐田の海に勝って勝ち越しを決め、1敗を守った。立ち合いすぐに左の上手を取ると、そのまま引きつけながら寄り切り。相手に何もさせない、圧巻の相撲だった。 
 勝ち越しのインタビューで口にした、「一生懸命やってきてよかったなと思います」の言葉。一見平凡にも見える一言が、どん底から這い上がってきた日々と彼の努力を想像するだけで、あまりに重く、尊い響きをもつ。 
 入門からはとんとん拍子で、23歳の若さで大関まで駆け上った。当時、部屋の稽古見学に行くと、師匠が目を離す一瞬の隙で気を抜いたり、報道陣の前で明るくも軽い口調で受け答えをしたりと、ありのままのやんちゃな姿を見せていた若き大関。そんな明るい彼は、不運な膝のケガと、糖尿病をはじめとする複数の病気で、おそらく人生で最も暗い闇を見た。そんな彼を、師匠である伊勢ヶ濱親方は、誰よりも強く信じて支え続けた。 
 九日目を終え、勝ち越してうれしいか問われた彼は、「まだ場所は終わっていないので。ただ勝ち越したというだけ」「一番一番集中して、いまの自分ができることをやるだけ」と、謙虚に話した。「親方のことを信じてやってきてよかった」と、師匠への感謝を口にする彼は、もうかつてのやんちゃな青年ではない。大ケガと闘病からの復帰は、力士としての照ノ富士を蘇らせただけではなく、その内面を大きく成長させるものであったのだろう。神が与えた大きな試練を乗り越えた彼は、本当の意味で大きくなって帰ってきてくれた。インタビューを見て思わず涙ぐんでしまったが、残る後半戦の6日間も注目していたい。

■立ちはだかる横綱・大関
 しかし、大相撲の世界はそう甘いものではない。立ちはだかるのは、横綱・大関という大きな大きな壁である。 
 大関・朝乃山は、隠岐の海との一戦。攻め込まれるような体勢で土俵際でもつれ、同体取り直しとなった。しかし、隠岐の海に二度目のチャンスはない。前への圧力を緩めない朝乃山が、相手が前に出てくる力を利用した豪快な上手投げを決め、9戦全勝とした。 
 同じく全勝の横綱・白鵬は、碧山の挑戦を受ける。碧山が攻めて善戦するも、最後は土俵際ではたき込み。こちらも全勝のまま十日目を迎える。 
 この日は、朝乃山戦をはじめ、十両の白鷹山が翔猿の「指を折ったのではないか」という史上初の理由での協議など、多くの物言いがついた一日で、NHKの中継も珍しく5分ほど延長した。きわどい相撲が多いのは、それだけ力士たちが最後の最後まで諦めず、必死で戦っていることの表れ。優勝争いの行方はもちろん、今後5日間のどの一番からも、決して目を離すことができない。

 ◎上記事はYahoo!JAPAN ニュース[]からの転載・引用です


消えた照ノ富士の復活劇に国技館が揺れた。胸が躍る優勝争いに大相撲の魅力発揮
 飯塚さきスポーツライター
 2020/8/1(土) 7:00

■新旧大関対決は照ノ富士に軍配
 脳裏に浮かんだのは「復活」の二文字だった。おそらく全相撲ファンが注目していたであろう、十三日目の実質結びの一番。大きく力をつけ、いままで以上の強さを見せている新大関の朝乃山と、大関の地位からケガで序二段にまで転落し、地の底から這い上がってきた幕尻の照ノ富士。1敗でトップに並ぶ二人の直接対決は、勝ったほうが優勝に近づく大きな一戦だった。 
 立ち合い。当たった瞬間、両者得意の右四つの形に組み合うが、照ノ富士が左の脇をがっちりと締めながら朝乃山の上手を切る。腕(かいな)を返し、一瞬投げの打ち合いのような形になるも、上手を引いた照ノ富士がそのまま寄り切り。割れんばかりの拍手で揺れる国技館。完全に照ノ富士の相撲だった。一度我々の前から姿を消した元大関は、消えてなどいなかった。むしろ、あのときよりもさらに大きく強くなって戻ってきてくれたとさえ感じられた。 
 これで、優勝に大きく前進した照ノ富士。しかし、まだまだ油断はできない。次の相手は、すでに二桁勝利を決めている関脇の正代だ。今場所も落ち着いた相撲で着々と白星を重ねている。照ノ富士との対戦成績は、不戦を除いて3勝4敗。乗りに乗っている照ノ富士ではあるが、過去の成績から考えれば、正代に勝利の女神がほほ笑む可能性も大いにあり得る。ここで照ノ富士が勝てば優勝、負ければまた朝乃山と星が並ぶかもしれない。幕内最高優勝の行方は、残りわずか2日間となったいまもわからない、胸が躍る展開となっている。

■もう一つの復活劇
 照ノ富士の勝利に国技館が躍る数時間前。そこにはもう一つの復活劇があった。 
 6戦全勝同士で対戦した、幕下59枚目の栃清龍と12枚目の千代の国。両者互いに一歩も引かず、攻め続ける展開だったが、最後は千代の国の気迫が上回り、栃清龍を土俵外に押し出した。この相撲で千代の国は幕下全勝優勝を果たし、関取への復帰を確実なものにした。 
 最高位は前頭筆頭。6年前、一度ケガで転落と復帰を経験している彼に、昨年二度目の悲劇が襲った。ケガにより、再度幕下へ陥落。そこから約1年間、関取復帰のチャンスが巡ってくる場面もあったものの、苦しい日々が続いた。 
 そんな千代の国は今場所、ついに二度目の復活を手にしたのだ。この日7月31日は、先代の師匠である前・九重親方(元横綱・千代の富士)の命日。取組後の優勝インタビューで「(先代に)必ず勝ってきます、と約束してきました」と語った。そんな、男と男の約束をきっちりと果たした千代の国。彼もまた、持ち前の元気いっぱいの相撲で私たちの前に帰ってきてくれた。先代も、きっと天国から労いの言葉を送ってくれていることだろう。

■生きる活力を生む大相撲
 2つの大きな復活劇が見られた七月場所十三日目。未知のウイルスへの恐怖や自粛生活が続くストレスなどで、どうしても気が滅入ることの多い昨今だが、この日の彼らの活躍は、多くの人の心をつかみ、大いに元気づけてくれたのではないだろうか。 
 千秋楽まであと2日。優勝争いの行方が気になる一方で、大相撲が、見る人の心を満たし、生きる活力を生むという本来の魅力を発揮し始めていることに感動を覚え、いまもこうしてその余韻に浸りながら、静かに興奮している。
 
 ◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
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不屈の照ノ富士11勝、序二段から史上最大復活劇へ <大相撲7月場所>12日日 2020/7/30
北の富士氏「僕なら駄目だった」 照ノ富士の精神力に脱帽/7月場所 2020.7.21
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元大関照ノ富士 序二段で無傷7連勝 優勝決定戦へ 2019/3/22

  
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