社説検証/独・伊の脱原発/ 「安全高め流れ変えよ」産経 / 「脱」を日本にも求めた朝日

2011-06-20 | 政治

独・伊の脱原発 安全高め流れ変えよと産/「脱」を日本にも求めた朝
産経新聞 6月20日(月)7時56分配信
 【社説検証】

 福島第1原子力発電所の事故が契機となり、ドイツ、スイスに続いてイタリアも「脱原発」を決めた。これを欧州における脱原発の流れと捉える向きもあるが、原発大国のフランスや英国、チェコ、ポーランドなど原発を堅持する国はまだまだ多く、産経は、原発で作られたフランス産の電力をアテにするドイツについて「『自国内では生産しない』という名ばかりの『脱』」だと論じ、読売も「実態として欧州の原発依存は変わらない」との見方を示している。
 朝日は、この「脱原発」を高く評価した。「脱原発への離陸に成功すれば、ドイツは21世紀の新しい文明と生活のモデルを示すことができよう」。脱原発によって明るい未来が約束されたかのようで、筆致も高揚している。同時に、国内では福井や佐賀、青森など原発立地県の知事選で原発容認派の現職の勝利が相次いだことに触れ、「欧州との、この落差はいったいどうしたことか」と嘆き、「『脱原発』の民意を、政党はどうくみ取れるのか」と訴えた。
 毎日は「両国はフクシマを反面教師とし、多少の負担増は覚悟の上で『安全』を選んだ」と肯定的に受け止め、東京は「国際社会への重い問いかけ」「欧州からの新たな警鐘」と、独・伊の決定を重視すべきだとの姿勢を打ち出した。
 対して産経と読売は、ドイツの選択は適切だったかと疑義を呈する。産経は「一国の選択としては尊重すべきだが」としつつも「手放しの脱原発礼賛は禁物」と、「脱原発」の広がりを牽制(けんせい)し、読売も「ドイツの産業競争力を奪いかねない重大な政策転換」と問題提起した。
 そのドイツの産業競争力の低下について産経は「欧州連合(EU)全体の景気低迷を招きかねない」とし、「(火力発電の比重増大で)原油や天然ガスの価格高騰を招く。エネルギー不足とコスト高は日本経済、ひいては世界経済にも悪影響を与えかねない」と危惧した。
 独・伊とも脱原発に伴うエネルギー政策は曖昧で、「(ドイツは)当面は火力発電所の増設などで、将来的には自然エネルギーの拡充で埋めるという。だが、その道程には不確定要素が多い」(読売)、「(イタリアは)国民は脱原発を選択したが、政府は風力や太陽光発電などで代替する具体的な政策を描けていない」(日経)と、それぞれ指摘している。
 さて問題は、わが国の今後のエネルギー政策をどのように進めていくかだ。
 産経と読売はともに、ドイツなどと違って隣国から電力を買えない日本の事情に触れたうえで、「産業競争力を維持するうえで、安全性を高めて原発を活用していくことが、当面の現実的な選択である」(読売)、「安全性と安定供給を両立させての原発堅持が不可欠」(産経)と断言した。
 毎日は「原発事故の震源地となった日本としては、将来の原発政策を腰を据えて考えたい」と論じる。しかし産経は、事故を起こした国だからこそ、「安全性を再確立して範を世界に垂れ、脱原発の流れを食い止める」のが責務だと主張する。
 日本の多くの原発はいま、運転が停止している。「法的根拠を欠く運転不能は、国家の機能不全」と言い切る産経は、次のように提言し政府を促した。
 「菅直人首相と海江田万里経済産業相の傍観は許されない。原発立地県を行脚し、首長に運転同意を『要請』すべきである」。このままでは日本の経済も国民生活も“沈没”しかねない。(清湖口敏)
 ■「独・伊の脱原発」に関する主な社説産経
・(ドイツの脱原発)実態知らずの礼賛は禁物(8日付)
・(伊も脱原発)日本から流れを変えよう(15日付)朝日
・(ドイツの決断)脱原発への果敢な挑戦(8日付)
・(原発と民意)決めよう、自分たちで(15日付)毎日
・(欧州の脱原発)フクシマの衝撃は重い(15日付)読売
・(ドイツ「脱原発」)競争力揺るがす政策再転換(7日付)
・(イタリアの選択)欧州の原発依存は変わらない(16日付)日経
・「脱原発」欧州の不安と現実(15日付)東京
・(どうする「脱原発」)ドイツの重い問いかけ(8日付)
・(イタリア脱原発)欧州からの新たな警鐘(15日付)
最終更新:6月20日(月)8時2分
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1 コメント

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水徒然 (tetsu)
2011-06-26 20:55:28
いつも拝見しています。
 今回の原発事故を他山の石としてドイツ、イタリアの脱原発へのシフトの原動力は国民性(哲学)に起因すると思っていましたが、・・・。

 個人的な考えですが、
 世界の異常気象を調べていたら、ヨーロッパ中央各国で頻繁に発生している洪水、猛暑・旱魃はどうも原発関連の廃熱、漏洩残留放射能に囲まれた地域に多いようです。
 その結果、国の経済的な損失、被害額は相当(詳細不祥、日本では十数兆円以上)なものとなり、長年、国民全体の生活・生計を阻害・圧迫しているのでは?と想われます。いかがでしょうか?
 当然、わが国内では、今までの原発偏重の予算によって、擁護・庇護されている地域、団体は少しぐらいの阻害・圧迫では生活ために、目を瞑らざるをえません。
 哲学云々より、ヨーロッパにおけるチェルノブイリ事故、十年来続く異常気象による金銭的、精神的な打撃は相当なものと推察されます。
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