橋の上で誰かを待っている女子高生
朝、橋の上で 非浦英莉可(ひうら えりか) - 平手友梨奈 は、誰かを待っている。
どうやら、目の前を通り過ぎる この女性弁護士:石井慶子(いしい けいこ) - 北川景子 を
待っていたようだ。
あの、すいません。横浜駅ってどっちの方向か判りますか?
そう尋ねる英莉可。
横浜駅なら、電車の方がいいんじゃないですか?
そう告げる石井に
PASMO(交通系カード:パスモ)の残高が、もうなくって・・・。できれば歩きたいんです。
英莉可心の声:これからアナタを呪います。絶体に助かることはありません。
じゃぁ、観覧車の方に歩いて行けば着きますよ。
えぇ~っと、観覧車の方ってことは・・・道なりに真っ直ぐ歩けばいいんですね。
はい。
ありがとうございます。
オマエは死ぬ。
丁寧にお辞儀をして、その場を去る英莉可。
呪われて死ぬ。
不思議な感覚に囚われたかのような、石井。
フラフラと歩きだし、歩道を降りて駆け出すようにトラックの前に出て行く。
クラクションを鳴らしながらやってくるトラックに、彼女は自ら跳ねられてしまうのだった。
殺人現場となったアパートで、霊に見せられた廃墟
霊能現象で、犯人に見せられた廃墟をスケッチしたメモと
目の前の建物を見比べる冷川。
やっぱり、ここですね。
後ろには、一緒に来た半澤と康介がいる。
その絵は、このぼっち(康介)が描いたのか。
はい、除霊の際、三角君を通して見た映像です。
はぁ、バケモノじみてるなぁ。
そう言って、半澤は歩き出す。
その言葉に、悲しそうな表情をする康介。
落ち込む彼の肩に、そっと手を添える冷川。
繋がって行きましょう。(康介は眼鏡を外す。)
そう言って、1人プラス2人は廃墟の門を開け、敷地の中に入って行く。
殺人にはもはや慣れっこになっているというか、元々そのようなナイーブさがないと言うべきか
半澤は一人でドンドン奥へ行き、康介と冷川は別の方向(2階)へ向かう。
蛍光灯はチカチカと点滅し、錆びた鉄骨はギシギシと音をたてる。
人を怖がらせる効果としては、申し分ない。
二人がいる方向、屋外へ向かうように沢山の蛾が飛び出してきて
康介は、頭を押さえ通路の壁に寄り掛かるようにしゃがみこみ、後ろから半澤がやってくる。
大丈夫ぅ?と言い残し、半澤は二人を残し通路の奥へ進んでいく。
(一人で先に進ませて)大丈夫なんですか?
あの人は、自分が確かめたものしか信じません。
信じないものは、その人に作用できない。
そう言って、冷川は康介の腕を抱えて立ち上がらせる。
おい、どこを探せばいい。
どんどん先に進む半澤を先頭に、冷川と康介は進みながら様子を探っていく。
三角くん、よく見て。僕が聴きます。
はい。
二人が立ち止まる。
何かいるね。
冷川も気配だけは感じているようだ。
ぐるりと回って、二人の背後からやってきた半澤に
振り返って アソコです。と二人は同じ方向を指さす。
半澤は、奥の間取りを隠すように置かれていた段ボール箱を蹴り倒した。
そこには、
まるでマネキンのように、それぞれの遺体のパーツを並べて作られた
合作の人間の形をした遺体があった。
遺体の奥:頭の向こうの位置には、半澤には見えないが黒い煙が煤けている。
おいおい、なんで腐ってねぇんだ。
異様な状況よりも、ツギハギの遺体が腐敗していないことを不思議がる半澤。
頭の位置にいる黒い煤に、二人の足が止まっていることに気づかないからなのか
オマエら入ってくんなよ。そこを動くな。
そう言って、釘を刺してくる。(シムラ後ろぉ~状態。)
煤の前を行ったり来たりしながら、本部に連絡を入れる半澤に
おぞましくてもう無理とばかりに、しゃがみこむ康介。
過呼吸のような康介の様子にやっと異常を感じた冷川は、康介を落ち着かせようとする。
強い霊気に、黒い煤が何かを言っていることに気づく。
ヒウラエリカに殺された。
確かにそう聞こえた。
これまでこの黒い煤を避けており、声を初めて聴いた康介は強い吐き気に襲われた。
同じ頃、英莉可は立ち止まり何かを感じるのだった。