「九十歳。何がめでたい」 前田哲監督 △
作家佐藤愛子のベストセラーエッセイ「九十歳。何がめでたい」を実際に九十歳になった名優草笛光子の記念映画としました。
断筆宣言をして3年になる愛子(草笛光子)を、職場では「化石」と陰で言われている編集者吉川(唐沢寿明)が連載エッセイの交渉に訪れます。交渉は難航しますが、なんとか書いてもらえることになります。しかし、吉川のプライベートでは娘と妻が家を出て離婚届が送られてくるのでした。
仕事に追われることで生活そのものが充実し、ますます元気になる愛子を草笛が名演技で演じています。一方「昭和の化石」吉川を演ずる唐沢もセクハラ、パワハラ親父と改心していこうとする実直な編集者を演じ二人のコラボが大変おもしろかったです。贅沢なカメオ出演者が全体を盛り上げています。ラストもさすが女性脚本家(脚本大島里美)、男性だとこうはならない、(これって差別かな?)そしてまた、犬の「ハチ」のパルムドッグ賞なみの名演が映画に色を加えています。また、音楽がうるさすぎず効果的でした。
高齢の女性だけでなく男性にこそ見てほしい作品です。
ただ、一つだけ要望をさせていただくと、愛子が新聞をめくるときに指を舐める癖がありました。あのシーンでは娘か孫が「指舐めるのやめたほうがいいよ。」と一言はいると教育的効果が上がりました。コロナでずいぶん気をつけるようになっていますが未だに図書館の新聞や本を指なめでめくる人いるので、さりげなく気づかせてほしかったです。
タバコは、大変残念なことに愛子が通う美容院の担当者(LiLiCo)が外の喫煙所でタバコを持つシーンがありました。タバコ臭い美容師って恐怖でしかありません。でも、煙は映っていなかったので△です。