「羽をもらっった少女 なぎ」
by みっちゃん
ある町に住む小学6年生のなぎは、小さい頃から自分の背中に真っ白い羽が生えてこないかとずっと思っていました。
そんなある日、なぎは夢を見ました。
それは、真っ白いきれいな羽が生えた夢でした。
なぎはうれしくてそこらじゅうを飛び回ろうとするけれど、思うように羽が動きません。
困っていると空から光り輝く物が降りてきました。
そして、なぎの前まで来ると光り輝く物はこの世のものとは思えぬほどの美しい声で
「なぎさん、十日間だけ羽の力をお貸しします。どうか十日間の間に私を見つけてください。私を見つけて・・・」
と最後まで言う前に消えてしましました。
朝、なぎは起きると背中に何かついているのに気付き、鏡を見てみると、なんと夢に出た羽が小さくなって生えているのでした。
なぎは驚き、すぐにお母さんに背中を見せましたが、お母さんは何もついていないというのです。
なぎは不思議に思いながらも、お母さんに急かされ学校に行きました。
学校に来てもやっぱり背中の羽の事が気になり授業に集中できませんでした。
昼休みにこっそりと屋上に行きました。
なんだか体が勝手に動いていつの間にか来てたってやつです。
なぎはいきなり眠くなってその場に倒れこみ寝てしまいました。
そして、またあの夢を見ました。
今度はなんと雲の上に立っているのでした。
なぎがきょろきょろしていると、またあの声がしました。
「なぎさん、どうか鳥たちが住む場所に行って一番偉い方に飛び方を教わってください。では・・・」
と、言いかけた時、なぎが口を開きました。
「何であなたは私に羽根の力を貸してくれたの？」
「それは・・・まだ言えません」
「じゃあ、名前。名前はなんて言うの？」
「私の名前は、トワです」
「トワ、私はどうやって鳥たちが住む場所に行けばいいの？」
「今日、夜の12時に光の門が開かれます。その時に入れば行けます。そろそろ時間が来たので失礼します」
・・・なぎは目が覚めて教室に戻りました。
そして、夜の11時58分、なぎは学校の屋上にいました。
1分たった時、床がぼわっと光り始めて、なんと門が表われたのでした。
なぎは迷わず門に飛び込みました。
なぎが気がつくと、そこは湖を囲んだ森の中でした。周りを見ると鳥だらけなのに耳に入ってくるのは「チュンチュン」ではなく「人間の子だ」です。
なぎは驚きのあまり呆然としていると、どこからか
「みな、静まりたまえ」
という声がし、そちらを向くと三羽の鳥がいました。三羽はなぎの所までくるといきなり人の姿になったのです。三人のうち一人が口を開きました。
「あなたは誰ですか？何のためにここにきたのですか？」
「私はなぎです。ここに来たのは飛び方を習うために来ました」
「飛び方を習いに？」
「はい、私の背中についた羽・・・」
「・・・ここで立ち話するのもなんですから、城に行きましょう。ついてきなさい」
城につくまでの間、なぎは羽を持ったことやトワのことなどを話しました。
城に着くとさっきの人が服と部屋を用意してくれました。
服を着替えるとさっきの人のところに行きました。
さっそく、飛び方を習いました。
その日からなぎは猛特訓で訓練しました。
その結果、七日目の昼に飛べるようになりました。
なぎはみんなにお別れを言うと森の中をうろうろしていました。
どこからかきれいな歌声が聞こえてきたので声のほうに行ってみると、女の人が川ぞいの切り株に座って歌っていたのです。
なぎはこのきれいな声を知っていました。
夢の中で聞いたこの声、それはトワでした。
「トワ」
となぎは言いました。
女の人は歌うのをやめて
「なぎさん、こっちに来て下さい」
となぎを呼びました。
「なぎさん、あなたは私を雨の中助けて下さいました。あの時あなたは私に『きれいな羽、私も欲しいな』と言いました。あのときから私の羽根の力をあげようと思っていました。そして・・・やっとあげられる・・・」
トワの体が光に包まれて天に登って行きました。
なぎは心の中で「ありがとう」と言いました。
なぎがトワの座っていた切り株に手を置くとなぎの体が小さくなり切り株に吸い込まれてしまいました。
目を覚ますとそこは自分のベッドの上でした。
下からお母さんが
「なぎ、いつまで寝ているのー？ 遅刻よー！」
と叫んでいます。
なぎは戻ってきたんだと思い背中を見て、心の中で
「確かにもらったよ。トワの羽根の力」
とつぶやきました。
FIN
