官製談合

北海道における官製談合の実態

kenryuxの北海道の官製談合の実態(4)

2007-03-29 12:59:44 | Weblog
 国家公務員の天下り規制、片山虎之助参院自民党幹事長の反対ですんなりいかず骨抜きになりそうですが、関係する業界に5年くらい天下りを禁止しないとダメでしょう。業界に天下ってその会社のために能力を発揮している者など何人いるのでしょうか。元いた省庁の部下に口利きをする能力しか無いと思います。
 (3)でも触れましたが北海道のOBについても同じ。入札通知を受けて支庁や土木現業所へいき、公示用設計書をコピー後は入札に参加するだけ。予定価格は公表されているけれど見積書は入札に持参することを義務づけられているので見積もり積算はしなければならないが工事にについてはまず不可能、調査設計でも積算できる者はほんの一握りでコピーや入札書の提出だけなら給料の安い若者でもいくらでもできます。
 今も同じと思いますが、これは北海道新聞にも載ったことがありますが農政部の技監が人選して斡旋、年収役職等を取り決め三者が記名、押印して決まります。
 給料はOBの現給保証、年金を貰えるようになったら差額を保証するのが多いようですが会社によって異なるようです。小さな会社ではオーナーよりも多い場合があります。更に、OBの住居が会社より遠隔地にある場合は事務所として借り上げ電話、車も借り上げと至れり尽くせりの会社もあります。
 OB一人受け入れるのには工事の場合は1億円、測量会社の場合は最低でも3千万円のお土産(本命割付で新たに貰える仕事)が必要だと言われています。公共事業が減ってきている現状ではOBを受け入れることは大変なことですが、OBがいれば事業量が10%減った場合、受注量の削減が5%ですむ場合もあり、力のあるOBがいる場合0%で済む場合もあります。ですから苦しくてもOBを受け入れざるを得ないのです。
 お土産と言えば昭和47年に当時の農地開発部の某課長がI土建に入りました。
今まで一度も指名されていなかったのですが、初めて指名されていきなり3千万円ほどの工事を落札しました。その時のお土産は7千万円、現在にしたら3億円くらいでしょうか。
 私の知っている会社でOBを断りました。現職の時にいじめられたそうでとても受け入れられるような人物でなかったそうで断りました。その結果、受注量は激減し見るも無惨な結果になりました。
 いままで推薦した者は必ず受け入れてきたのに断られて技監が頭にきたのでしょうか。本命割付による官製談合が無くなればOBを受け入れる会社はほとんど無くなると思います。

 次は入札にまつわる話です。
 大きな工事は1回で落札せず2回、3回で落札するよう協会等で本命業者に指示していると書きましたが、ある時某係長が入札金額をなかなか読み上げず困っているので聞きますと1回目の最低価格の入札者が本命業者でないというのです。私はこの金額は落札ではないのでそのまま読み上げればいいでしょうと言うと読み上げましたが、その係長は1回目から3回目まで本命業者が最低でなければおかしいと思っていたようです。後で契約にきた業者、そのほうが不自然でないと思ってやったけれど混乱させてしまって申し訳ありません。次回から同じにしますと笑いながら謝っていました。
 ○○会社○千万円で落札と耕地部長が言うと落札した業者は”ありがとうございました”と立ち上がったお礼を言う習わしになっていました。ところが本命以外の業者が入札金額を間違って記入することがありました。例えば、3162万円と書くべきところ3126円と書いてしまった場合、それが予定価格を下回っていたら落札になります。本命業者は何も言えませんので黙っています。落札と言われた業者、立ち上がって”済みません間違いました”と言って謝りますが一度発表したものは取り消せませんので、後で全部下請けにして処理します。
 ある時、A級業者ばかりの入札で本命以外の業者が落札してしまいました。その後何時もきていた取締役の担当者が顔を見せないので体でも悪くしたのかと他の業者に聞きましたら、入札で間違ったので責任を取らされやめたとのことでした。
 毎年入札を希望する支庁や土木現業所に入札参加申込書を提出しますが、添付書類の工事経歴書には本命業者のには○千万円下請け、間違った業者のには○千万円元請けと全く同じ金額が記載されていました。
 入札金額が同額でくじ引きになったこともあります。これは本命業者が他の当て馬業者に入札書に記載する金額を指示するとき、”うちは3555万円で入札するからお宅は3565万円で入札してください。”と自分の入札金額を相手に言った事が原因で起きるようで間違いはたまにあります。
 業者がその工事を嫌って不落札になったことがありました。12月中旬の発注だったと思いますが耕地課長から○番の工事不落札になるからと言ってきました。3月までの工期で予算の都合で設計価格を下げたのでB級の本命業者は損することは目に見えているので辞退したのです。工事が出来なければ農家が困るので大手のM組に頼み込み引き受けて貰うことに、今まで一度も指名されたことのない業者で入札通知をして公示用設計書の閲覧にきました。”これだけの工事をたった4日で見積もりすれというのですか、もっと縦覧期間を取って貰わないと困ります。”と怒られました。わたしにそんなことを言っても困りますがね。
 
 前回談合に加担しないという業者がいると書きましたが、その業者が本命の時もあるのです。委託業務ですがその業者が当て馬の時は本命業者は横取りされると困るので委託業務の場合の最低限価格ぎりぎりの60%くらいで落札しますが、入札結果を見ますとその業者が本命の時は80%以上で落札しています。他の業者は協会等から本命だと言われない場合は自分の仕事でないと思っているから95%くらいで入札していると思われます。公正取引委員会に摘発されても課徴金は取られないし、自分でやれる金額で仕事をとれるのだからいい方法ですね。

 まだ書きたいことがあります。次回に

kenryuxの北海道の官製談合の実態(3)

2007-03-12 20:26:04 | Weblog
 1999年10月上川支庁発注の農業土木工事に対する公正取引委員会の立ち入り調査を受け、上川支庁は予定価格の事前公表に踏み切りました。予定価格を公表すれば本命業者が予定価格を知るために耕地課や出張所にお伺いをたてる必要が無くなるだろうとのことです。公示用設計書に積算根拠を詳しく説明しているのでその必要はなく、予定価格の公表は邪道です。
 それに各支庁も追随、更に、地域限定型入札や公募型入札、指名業者名の不公表、ランダムカット、最低限価格の設定などを始めました。地域限定型は一般競争入札で一定地域に本社、出張所等のある業者が入札に参加できる仕組みで、どの業者が落札してもよく本命割付はありませんでした。しかし、発注される工事等はゴミのような小さな金額ばかりです。指名業者の不公表も何の影響もありません。協会等は工事が指名された業者に工事番号、工事名を報告するよう指示し、さらに、インターネットを利用したマーベリックなどというものまで出来、各業者はそれに工事名等を入力すれば他の指名業者はすべて分かるようになったいたのです。
 ランダムカットは30社くらいから無作為に7~10社の指名業者を選ぶもので本命割付は出来ないだろうと外部のものから見れば思われるでしょうが、耕地課長等から指示された本命業者を選ぶことが出来ない場合、間違ったふりをして何度でもやり直せばいくらでも出来ます。このころは業者の指名は契約担当課から離れ会計課の中に専門の係をつくってそこでやるようになっていました。しかし、会計課の職員は仕事に対する知識がありませんので耕地課等から職員を派遣、その職員が業者の指名を担当したのです。ですから耕地課長等はいくらでも指示できるのです。それが出来ない場合もあります。その場合は代理落札をさせるのです。
 代理落札した業者は幾ばくかの手数料を貰って本命となるであろう業者に一括して権利をゆずるわけです。このランダムカットは特定の業者がいつもはずれることがあったようで不評でした。2004年4月に廃止されました。
 対外的にはいろいろやって入札業務を改善し談合はなくなったと思わせましたが中身は何も変わらず、いまもって官製談合は堂々と行われているのです。予定価格に対する落札率は98%前後から95%前後に下がりました。一般競争の地域限定型の場合、落札率は最低限価格ぎりぎりの75%くらい、調査設計等の委託業務は60%くらいです。指名競争は95%、その差は20%です。すべて一般競争入札にすれば北海道の入札だけで国費、道費等を含めて年間数百億円の金が浮くのです。それは長野県や宮城県、横浜市などを見ればわかるでしょう。
 
 1999年の公正取引委員会の立ち入り調査の結果、252社が総額14億円余の課徴金を徴収されました。しかし、本命割付をした道職員は前回書いたとおりで当時の福田農政部長がさせられただけ。札幌市の橘晃弘さんと和田香織さんが堀元知事らに対して損害賠償を求めた裁判でもアホな笠井勝彦裁判長は業者には10%の損害金の支払いを命じたが堀元知事らには『受注調整を知っていたとはいえず、過失はない』と無罪。バカもいい加減にしろと言いたい。
 当時は最低限価格は設定されていなかったし、仕事が無くて困っている業者は70%を切っても落札いたことでしょう。ある支庁での発注、ある町の2社が工事がほしいと支庁に陳情しどちらも引き下がらず。支庁は決めればはずれた業者が談合を暴露しかねないと恐れ、おまえ達で勝手にしろと、その結果45%くらいで落札されたそうです。本当に裁判官は世間知らずもいいとこです。

 2004年8月高橋知事は道の財源不足を理由に重度身障者や難病患者、高齢者に対する助成金を削減しました。身内に難病患者のいる私は2004年9月1日に高橋知事に官製談合の実態を書き、助成金を削減する前に本命割付による官製談合をやめてくださいと訴えました。しかし、翌2005年になっても官製談合は続けられました。
 9月、大学の先生等で構成される入札監視委員会の一人教授に今までの経過を説明し、官製談合の絶滅を訴えました。大学の先生達は私の資料を会議で示し改善をしようとしましたが、事務局はそのような証拠は掴まえられないと突っぱねたそうです。そう言われればどうしようもなく、年が明けてから公正取引委員会に任せようと言うことになり、資料を公正取引委員会に送付したそうです。
 
 2006年3月21日私は再び高橋知事に官製談合をやめるようメールを送りました。その直後に入札監視委員会の委員長の教授からメール、公正取引委員会から私に会いたいと言ってきたがどうしたらよいかと、私はOKをだし、公正取引委員会の担当者が二人5月10日に東京からきて、前回立ち入り調査後の経過を説明しました。そのうちの一人は前回の立ち入り調査にも関わったとのことでした。
 時あたかも国の鋼橋談合が摘発され、公正取引委員会としてはその他の談合についても立ち入り計画中で、北海道は地域が広いし関係する業者の数も多いから大変だとぼやいていました。特に大手は談合決別を宣言しているが北海道の入札でどのように関わっているか知りたいようでした。その時は確たる証拠がほしいようでしたが持ち合わせず渡すことは出来ませんでしたが、10月になって客観的な証拠が見つかり送付しました。官製談合摘発に役立てばと思っています。
 
 その後、福島県、和歌山県、宮崎県、北海道の深川市など談合の摘発が進んでいますがすべて金が絡んだもの、金の絡まない官製談合も続々と摘発されるよう望みたいものです。
 全国知事会は談合絶滅のため2007年度から1000万円以上のすべての工事等について一般競争入札をするよう申し合わせましたが、高橋知事は当初は北海道では難しいと言っていましたが時期が遅れても実施するようです。
 知事が仮に本命割付をやめなさいと言ってもこれからOBとして天下ろうとしている道の幹部達はハイそうですかとやめそうにもありません。すべて一般競争入札になれば業者は高い金を出してOBを迎入れる必要はなくなります。知事は所詮は女、建設部や農政部の幹部になめられているのでハイハイと言うことは聞かないでしょう。

 1999年の談合摘発以降、業者の中には談合に加担するのは嫌だと言うものも出てきました。そうなると困るのは本命業者、せっかくの仕事がその業者に取られては困るので最低限価格に近い金額で無理矢理落札します。
 また、公共事業が減って困っている業者は『うちだって仕事が無くて困っている。』、『もう課徴金を取られるのは嫌だ』などと言って嫌がらせをします。この場合も本命業者は仕事を取られたくないからぎりぎりの価格で落札します。
 ここ数年、発注者も仕事を細切れにして出さなくなりました。予算の問題もあると思いますがそうなれば小さな業者は仕事が貰えません。そうなれば何のための協会だと言うことになり、協会が中に入って落札後に分割して小さな業者に下請けさせるのです。協会は事前に本命業者を知っているので入札前に取り仕切っています。
 
 北海道の場合は落札率が予定価格に対して95%前後、工業事業が激減して困っている業者は75%で落札しても十分やっていけるのです。公共事業の設計単価が高いのです。民間でしたら道の予定価格の70%以下でしょう。
 高橋知事も95%の落札率を見ておかしいと思わないのが不思議です。入札に関して無知なのです。4月の選挙で建設業界の票が欲しいのかも。
 旭川市は新年度から130万円?以上のすべての工事等を一般競争入札にすることになりました。拍手を送ります。

 毎年数百人の道職員が定年等により退職しています。その中でOBとして再就職するのはほんの一握りの者だけです。天下るOBは退職時の給料保証、その他の恩典があります。仕事が出来るかと言えば入札や挨拶回りくらい、それなら会社の人間の方が安上がりです。官製談合で仕事が貰えるから受け入れているのです。
 全面的に一般競争入札が取り入れられ自由に仕事がとれるようになれば仕事の出来ない給料の高いOBは必要ないのです。いろいろな恩典を加えれば役員より年収の高いOBはたくさんいます。
 天下りを無くすること、協会等との関わりをたつことも官製談合の防止になるでしょう。
 いずれにしても公正取引委員会のさらなる活躍により一日も早く官製談合が絶滅するよう願っています。
  
 3回にわたり北海道の官製談合の実態を書きました。まだまだ書きたいことはありますが一応これで終わります。ご意見がありましたら遠慮無く、質問でも何でもお聞かせください。   

kenryuxの北海道の官製談合の実態(2)

2007-03-10 17:13:43 | Weblog
 3月8日公正取引委員会は国土交通省に対し水門工事をめぐる談合で官製談合防止法を適用、改善措置を要求しました。関連記事の中にある中堅メーカーの幹部が『受注調整はすべて建設省、国土交通省の職員の割り振りで進められた。官製でない談合が存在するのか』と言ったとありましたが、全部とは言いませんが大部分は官製談合です。民間の工事ならいざ知らず公共事業における発注は国、都道府県、市町村、公共団体等大部分が官製談合です。名古屋市営地下鉄工事の談合問題では大林組の元顧問が取り仕切ったようなことが書かれていましたがそんなことは絶対にあり得ません。名古屋市の承認なしでは出来ません。JVの結成に関する承認の権限は名古屋市です。業者みんなで名古屋市をかばっています。
 
 北海道の場合、工事の指名通知が発送される約一月位前にメインとなる業者が支庁に呼ばれ、おまえの会社は○○会社とJVを組め。持ち分は60%と40%など
と具体的に指示されます。持ち分はただ単に金額を割り振るのが目的ですから80%と20%のときもありました。わずか900mの農道工事にD級業者が3社でJVを組んだこともありました。また、旭川土木現業所の道道改良工事では約90mしかないのに2社のJVが工事を落札しました。
 ただ単にその業者の年間の割当額を消化しようと言う考えですから、JVの本来の目的など関係ないのです。

 毎年1月末から2月中旬頃に耕地課長(当時は)が年間の割付表を道農政部に持参します。農政部では14支庁の割付表を集計して再度支庁に手直しを指示します。年度末までに退職してOBになる者もいますし、自民党の国会議員、道議による口利きもあるので全道で調整する必要があるのです。
 1999年の公正取引委員会による立ち入り調査では全道分の割付票が押収されており、2002年6月に公表されています。
 前回に書いた入札一覧表、本命業者にチェックが付いていると書きましたが、支庁に指名委員会で各委員に渡されるものには付いていません。
 当時指名委員長は支庁長でした。支庁長によっては大きな工事についてはどこが本命だと聞くこともありますが、たいていの支庁長は無関心でした。
 ただし、新規に指名された業者については知らせるようになっていたようで、耕地課長は○○知事の紹介だとか、○○議員の紹介などと報告していました。
 ある時私のところにある小さな業者が名刺を配りに来て、一年間名刺を配っているがさっぱり指名されない。どうしたら指名されるのでしょうかと聞きました。私は貴方の市からでている自民党の○○道議に頼むのが一番早い、ただし、選挙の時に金がかかると思うけどと言いました。特殊な機械を自分で考案して工事の能率を上げることが出来ると言っていましたが、間もなく指名になり翌年には工事を受注しました。
 議員達はみな口利きなどしていないと言いますが、受注を増やすのには口利きが一番です。ですから建設業者は選挙になると一生懸命になるのです。
 口利きは自民党の議員だけではありません。ある時、社会党の謀議員から電話があり、○○日の入札で○○会社が指名になっているが予定価格はいくらだというのです。地元の小さな業者で謀議員の口利きで初めて指名になったようで、それで予定価格を教えろと言うのです。私はそんな権限はありませんからと言って断りましたが、道の幹部は議会で野党の議員にいじめられるのがいやだから口利きを断られないのです。

 1999年2月私は官製談合をやめさせようと公正取引委員会に手紙を出しました。5月に公正取引委員会北海道事務所の二人の課長と会い実態を説明しました。
その結果、10月に公正取引委員会は官製談合摘発のため、道農政部、上川支庁、旭川農業土木協会、関係業者などに立ち入り調査に入りました。
 全国から2百数十人の調査員が集まり、297社の土建業者、測量業者を一斉に調査し談合摘発をしたのです。後で支庁の職員に聞いたのですが、その手際の良さには本当に驚いたと言っていました。
 私は前回に書きましたが、正直なところこれで官製談合は終わると思っていました。ところがどっこい上川支庁以外の13支庁及び、10土木現業所では本当に何事もなかったように官製談合が続けられていたのです。
 堀前知事は官製談合は認めました。業者は6%または3%の課徴金を課せられましたが、談合を主導した道の職員は福田農政部長が左遷させられただけ。これでは片手落ちだと思いませんか。
 道は2000年4月入札改善委員会を設置し、堀前知事はこれで入札の不正はなくなると言いましたが、知事はその時点で各支庁や土木現業所でどのようなことが行われているか何も知らなかったようです。
 その後については次回で

 

kenryuxの北海道の官製談合の実態

2007-03-08 16:17:05 | Weblog
 昭和40年のある日、初めて入札に立会した同僚が入札から戻って『どうして業者はあんなに上手に積算できるのだろう。皆予定価格と殆ど同じだ。』と、そのころ既に官製談合が行われ本命業者には予定価格が知らされていたのです。
 
 私は元北海道職員で昭和44年から退職までの間約15年間入札業務に携わってきました。58歳の時に肩をたたかれOBとして民間に行くよう勧められましたがろくに仕事をしないで給料を貰うようなことは嫌いで、また、自分でやりたいこともあったので断り、60歳で定年退職しました。
 しかし、縁があって民間に再就職、入札にいったり入札金額を見積り積算したりすることを5年間やりました。ですから北海道の官製談合については裏も表も熟知しております。
 官製談合については在職中から疑念を抱き、毎年数百億円の税金が無駄に使われていることを腹立たしい思いで何とかしなければと常に考えておりました。
 北海道警察の裏金問題のように名乗り出る勇気がないのが悲しい事です。私は私なりに官製談合絶滅のためいろいろとやってきました。1999年の公正取引委員会による北海道上川支庁の農業土木工事にかかる談合摘発で官製談合が認定され、これで官製談合が終わるかと思ったのですが、他の13支庁、10土木現業所は何事もなかったごとく官製談合が行われ、1年後には上川支庁でも官製談合が復活しました。公正取引委員会が一度調査に入ったら後はしばらくは調査に入らないだろうと高をくくっているのでしょうが、そのしぶとさには恐ろしくなります。
 
 これから何回かに分けて北海道の官製談合について書きたいと思います。

 昭和43年から北海道の農業基盤整備事業は急激に増大し、上川支庁においても4月から9月頃までは一月の入札件数は50件から100件、入札担当者は毎日残業しなければ対応できませんでした。
 入札通知が各指名業者に発送されると業界紙にも通知されますが、件数が多いのでいちいち書き取っていては大変なので入札一覧表で渡します。この一覧表には工事名、指名業者その他の事項が記載されております。地元の農業土木協会にも同じものが渡されておりました。
 部内で使用する一覧表には予定価格が記載され、本命業者にチェックが付けられています。
 入札前に協会から担当者が部長(当時は耕地部長)室で部長から予定価格と本命業者を聞き、協会に戻って本命業者に連絡、本命業者は他の指名業者に入札書に記載する金額を指示し、大きい工事については2回又は3回で落札するようにして、それぞれの金額を指示して入札に参加して落札します。
 昭和49年某OBが農業土木協会の事務局長に就任後、部長から部内で使用する一覧表と同じものが直接手渡されるようになりました。
 当時の予定価格に対する落札率は98%~99%でした。他の13支庁、10土木現業所でも手渡す方法、団体が違うだけでほぼ同様です。
 このようなことは平成5年度まで続けられました。その根拠は平成5年に旭川土木現業所で汚職事件があり課長補佐?が逮捕されました。その結果、協会等に対して本命だけは知らせましたが予定価格は知らされなくなったのです。
 平成6年度4月の第1回の上川支庁の落札金額はめちゃめちゃだったのです。
当時は積算の基礎となる歩係りは公表されておらず、歩係りを持っている業者は少なかったのです。OBがいたりコネのある業者はある程度の予定価格は聞き出せたのですが、それの出来ない業者は妥当な見積もりが出来なかったのです。50%以下の金額で落札した業者もいました。
 それ以降、本命業者は積算した金額を設計担当の課や出張所等に示し、高すぎるから少し下げろとか、もっと上げろといわれて予定価格を推定し入札したのです。
 それでは支庁や土木現業所は困るので建設部と農政部等が協議し、業者が金額の確認にこなくてもいいように、公示用設計書に積算内容を詳しく記載し誰でも積算できるようにしたのです。
 しかし、いつの頃からか協会等に予定価格が知らされるようになりました。支庁や土木現業所からきたOBは積算を出来ないのに協会に見積書を持って行くと高すぎるとか安すぎると言い出したからです。
 日本全国で官製談合の摘発が報じられていますがそれでも官製談合をやめない、やめられない、本当にどうなっているのでしょうか・・・
 次回また続きを