官製談合

北海道における官製談合の実態

kenryuxの北海道の官製談合の実態(34)

2012-06-30 20:29:51 | Weblog
 (30)で取り上げました室蘭市発注の市営住宅改修工事にかかる贈収賄事件、5月17日に札幌地裁で初公判が行われ、市建築課主幹豊田法雄被告(59)に検察側は「常態化した癒着の中で行われた犯行で公務への信頼を失着させた」として豊田被告に懲役2年を求刑しました。又、共同正犯として同罪に問われた古川土建の元社長古川秀明被告(62)に懲役1年6ヶ月、贈賄罪に問われた北営工業の元社長津川圭三被告(56)に懲役1年を求刑しました。

 起訴状によると豊田被告は市の建築課長だった2010年2月、市営住宅改修工事の指名競争入札で北営工業に落札させる見返りに知人女性の旅行代金14万5千円を津川被告に肩代わりさせた。古川被告は豊田被告と共謀し津川被告に肩代わりを提案したという。

 検察側は公判で「室蘭市では本命割り付けと称して建築課長が事前に落札業者を選定する悪しき慣例があった」とした上で「豊田被告は以前から津川被告から飲食代やタクシーチケットなどの提供を受けており、気に入ったホステスの歓心を買いたいという我欲で津川被告に賄賂を要求した」と。
 被告人質問で豊田被告は「いつの間にか公務員の自覚を忘れやってはいけないことをしてしまった」と殊勝なことを言ったとのこと。

 今回の事件は明らかに発注者による本命割り付けの官製談合であるにもかかわらず、検察側はそのことには一切触れずただ単に贈収賄事件として取り扱っているにはおかしい。
 官製談合が堂々と行われていたから今回のような収賄事件が起きたのに、そのことに全く触れない検察側の考え方には納得ができない。
 どうせ又、執行猶予付きだろうと思っていたら案の定28日の札幌地裁での判決は執行猶予付きだった。

 渡辺裁判長は豊田被告に対し「事実上握っていた落札業者決定権を私物化した」として、懲役2年、執行猶予3年を言い渡したが、落札業者決定権とは本命割り付けによる官製談合のこと、そのことに一切触れないのはどういうことか。
 室蘭市の市長はじめ幹部たちが本命割り付けを認めていたこととはいえ、そのことによって市に与えた損害についてはどのように考えているのだろうか。

 共同正犯として同罪に問われた古川土建の元社長古川秀明被告に対しては懲役1年6ヶ月、執行猶予3年、贈賄罪の北営工業元社長津川圭三被告は懲役1年、執行猶予3年だった。

 渡辺裁判長は「室蘭市では長年、本命割り付けと称し建築課長があらかじめ落札業者を決める不正な慣行が行われていた」と指摘、「3人だけにこの弊害の責任を負わせるのは相当でないが、公共事業の公正さへの市民の信頼を害する悪質な犯行だ」とした。
 執行猶予の理由について「室蘭市では入札制度が見直され再犯防止策が講じられた。3人は一定の社会的制裁を受けた」だからと。

 5月の初公判で本命割り付けの実態が明らかになり、市は急きょ内部調査に着手、結果は7月中旬にも公表するが、市幹部は「市役所は捜査機関ではなく調査には限界がある」と。はじめからそんな考えでは実態解明などできっこない。
 市民からは「本命割り付けの実態解明を進めた上でしっかりとした対策を取ってほしい」との声が上がっているそうだが、市幹部に対して損害賠償の請求をすべきだと思う。
 市内のある業者は「公共事業が減る中みんなで生き残るために工事を分け合うことの何が悪いのか」と談合を容認する発言をしたとのこと。もってのほかだ。

 青山市長は28日夕、緊急の幹部会議を招集して「当事者意識を持って再発防止に全力を尽くしてほしい」と強調したそうだが、果たしてどこまで本気だろうか。

 今日はこれにて