官製談合

北海道における官製談合の実態

kenryuxの北海道の官製談合の実態(31)

2012-03-09 16:03:20 | Weblog
 (29)で取り上げた十勝管内池田町の官製談合事件、釧路地検が略式起訴で罰金刑を求めましたが、3月5日の池田町議会で同町の西坂建設に対して町が決めた指名停止期間の20ヶ月が長すぎると、期間短縮を求める陳情書を賛成多数で採決されました。

 陳情書は当初総務産業委員会に付託、2月15日に委員長を除く委員5人による採決で4人が反対し不採決になった。
ところが、3月5日の本会議で委員長が不採択の報告をしたにもかかわらず、議長を除く11人で採決が行われ賛成6人反対5人で採決が決まったという。賛成した議員は「このままでは西坂建設がつぶれてしまう。」と話しているという。

 たびたび登場する元公正取引委員会主席審判官の鈴木桐蔭横浜大法科大学院客員教授は「議会がどんな決定をしても町が態度を貫けばいいだけの話だが、談合が本当に悪いことと思っているのか、いないのかが問われる象徴的なケースだ」と話しているとのこと。

 恐らく賛成した議員たちは池田町では官製談合が恒常的に行われていることを知っていて、「たまたま今回だけ発覚して西坂建設が犠牲になった。だから助けてやってもいいのではないか。」と思っているに違いない。

 (29)でも書いたが官製談合により落札率が5%上がったとした場合、校舎工事で約3,000万円、体育館工事で約1,600万円の損害を町に与えていることになるが、賛成した議員たちはこのことをどう思っているのだろうか。本当にあきれた議員たちで即刻やめてもらいたい。

 (30)でも取り上げましたが、深川市の官製談合事件に対する2審(札幌高裁)判決を受け、深川市が上告を断念して市側の敗訴が決まりました。山下市長は「一審、二審を通しての判決での事実認定を覆すことは困難と考えた。」当たり前のこと。一審でやめとけば訴訟費用を無駄使いしなくてもよかったのに。

 市は地方自治法に基づき判決が確定する上告期限の9日から60日以内を支払期限とする約2,600万円の請求書を河野前市長と工事を落札した共同企業体の代表3社に送付することになりました。
 大いに結構なことと大歓迎ですが、これに懲りて官製談合がなくなればよいのですが。

 今日はこれにて

kenryuxの北海道の官製談合の実態(30)

2012-03-02 20:07:17 | Weblog
 2月22日室蘭市発注の市営住宅の屋根改修工事で、業者に入札情報を漏らした見返りに知人女性の旅行代金を支払わせたとして、受託収賄の疑いで室蘭市都市建設部建築課主幹豊田法雄(59)、同市の建築会社「古川土建」社長古川秀明(61)の二人を、贈賄の疑いで同市建築会社「北営工業」社長津川圭三(56)が逮捕されました。

 豊田容疑者は都市建設部建築課長だった2010年1月下旬から2月中旬にかけ、市営住宅の屋根改修工事の指名競争入札で、津川容疑者の求めに応じて指名業者の情報を漏らして受注できるようにした見返りとして、津川容疑者に知人女性のタイ旅行の代金十数万円を立て替えさせた疑いとのこと。

 豊田、古川両容疑者は津川容疑者に「工事を1本やるから知人女性がタイに行く旅行代金を払ってくれないか」と依頼し津川容疑者がそれに応じたとのことである。

 豊田容疑者は2010年1月頃「古川土建」の社員旅行に知人の女性を参加させるために古川社長に旅費について相談。古川容疑者は「津川に頼んでみては」と提案し豊田容疑者が津川容疑者に旅費の肩代わりを持ちかけたという。その後、豊田容疑者の携帯電話に古川容疑者から「津川と話がついたから1本頼む」というメールがあったという。
 古川容疑者は「工事のことは知らなかった」と容疑を否認しているそうだが携帯電話に記録が残っていては言い逃れはできないだろう。それにしてもこの女豊田容疑者に旅行代金を払ってくれと言えるほどねんごろな関係だったのだろう。

 豊田容疑者と古川容疑者は繁華街で一緒に飲み歩く姿がたびたび目撃されており、2009年ごろから飲食や旅行など業者との交際が庁内でうわさになり、2010年には上司から数回にわたり口頭で注意を受けていたそうで、2011年7月建築課長から同課主幹(降格)になり建築相談業務主体の役職になったが、市は「業務に必要な資格を持っていたのが理由、降格の意味合いはない」といっているとのこと。退職させたいところだが市の入札の内情を暴露されては困るから窓際に追いやったのだろう。
 
 豊田容疑者が市教委主幹だった2006~2008年度、学校の修繕などの工事を随意契約で2割以上古川容疑者の「古川土建」に発注していたとのこと。年間予算総額は約6千万円、発注権限は課長や主幹にあり部長以上が確認する仕組みにはなっていないという。最終の決済はだれがしているのだろうか。

 豊田容疑者が建築課長になった2009年以降、北営工業は10件で4,733万円の工事を受注しているが落札率は93.63~94.98で落札したのはすべて指名競争入札で予定価格1千万円未満の工事。入札参加業者を選定する権限は都市建設部長にあり建築課長は選定過程に関与していたとのこと。

 青山剛市長は「現段階では組織的なものではないと認識しているが、捜査の状況を踏まえ入札制度の課題や改善策を考えていきたい。」と話しているそうだが、前から何度も書いているとおり国、道、市町村の指名競争入札はすべて本命割り付けの官製談合、今回の件も「北営工業」の分だけ本命割り付けなんてことはあり得ない。

 話が変わりますが深川市が2006年に発注した小学校改築工事を巡る官製談合に関連し、同市の住民が山下貴史市長を相手取り河野順吉前市長と落札業者に賠償請求するよう求めた訴訟の控訴審判決が24日札幌高裁であり、一審判決と同様に約2600万円を賠償させるよう命じました。

 昨年4月の一審判決は立件された機械工事以外にも3件の工事で談合があったと認定し、工事契約金額の5%の約2600万円を損害額として認定していた。
 控訴審で市側は一審判決は具体的な証拠が乏しいのに談合を認定するなど誤りがある。また、「仮に談合があったとしても地元建設業を維持、育成するための実質的な随意契約で市の損害はない。あっても契約金額の5%には達しない。」
と主張していた。一方、原告の住民側は「市側の主張は官製談合は有益という開き直りだ。」と反論し控訴棄却を求めていました。

 十勝管内池田庁の官製談合事件に対し釧路地検が罰金刑を求める略式起訴にしたことについて、私は官製談合そのものが違法行為であり釧路地検の決定はおかしいと批判したが、元公正取引委員会首席審判官の鈴木満桐蔭横浜大法科大学院客員教授が「官製談合という違法行為がなぜ地元業者の保護育成につながるのか」と言っているとおり、山下市長のような考えを持っている首長(高橋知事を筆頭に)がいる限り官製談合は永遠になくならないと思う。

 今日はこれにて、また