官製談合

北海道における官製談合の実態

kenryuxの北海道の官製談合の実態(3)

2007-03-12 20:26:04 | Weblog
 1999年10月上川支庁発注の農業土木工事に対する公正取引委員会の立ち入り調査を受け、上川支庁は予定価格の事前公表に踏み切りました。予定価格を公表すれば本命業者が予定価格を知るために耕地課や出張所にお伺いをたてる必要が無くなるだろうとのことです。公示用設計書に積算根拠を詳しく説明しているのでその必要はなく、予定価格の公表は邪道です。
 それに各支庁も追随、更に、地域限定型入札や公募型入札、指名業者名の不公表、ランダムカット、最低限価格の設定などを始めました。地域限定型は一般競争入札で一定地域に本社、出張所等のある業者が入札に参加できる仕組みで、どの業者が落札してもよく本命割付はありませんでした。しかし、発注される工事等はゴミのような小さな金額ばかりです。指名業者の不公表も何の影響もありません。協会等は工事が指名された業者に工事番号、工事名を報告するよう指示し、さらに、インターネットを利用したマーベリックなどというものまで出来、各業者はそれに工事名等を入力すれば他の指名業者はすべて分かるようになったいたのです。
 ランダムカットは30社くらいから無作為に7~10社の指名業者を選ぶもので本命割付は出来ないだろうと外部のものから見れば思われるでしょうが、耕地課長等から指示された本命業者を選ぶことが出来ない場合、間違ったふりをして何度でもやり直せばいくらでも出来ます。このころは業者の指名は契約担当課から離れ会計課の中に専門の係をつくってそこでやるようになっていました。しかし、会計課の職員は仕事に対する知識がありませんので耕地課等から職員を派遣、その職員が業者の指名を担当したのです。ですから耕地課長等はいくらでも指示できるのです。それが出来ない場合もあります。その場合は代理落札をさせるのです。
 代理落札した業者は幾ばくかの手数料を貰って本命となるであろう業者に一括して権利をゆずるわけです。このランダムカットは特定の業者がいつもはずれることがあったようで不評でした。2004年4月に廃止されました。
 対外的にはいろいろやって入札業務を改善し談合はなくなったと思わせましたが中身は何も変わらず、いまもって官製談合は堂々と行われているのです。予定価格に対する落札率は98%前後から95%前後に下がりました。一般競争の地域限定型の場合、落札率は最低限価格ぎりぎりの75%くらい、調査設計等の委託業務は60%くらいです。指名競争は95%、その差は20%です。すべて一般競争入札にすれば北海道の入札だけで国費、道費等を含めて年間数百億円の金が浮くのです。それは長野県や宮城県、横浜市などを見ればわかるでしょう。
 
 1999年の公正取引委員会の立ち入り調査の結果、252社が総額14億円余の課徴金を徴収されました。しかし、本命割付をした道職員は前回書いたとおりで当時の福田農政部長がさせられただけ。札幌市の橘晃弘さんと和田香織さんが堀元知事らに対して損害賠償を求めた裁判でもアホな笠井勝彦裁判長は業者には10%の損害金の支払いを命じたが堀元知事らには『受注調整を知っていたとはいえず、過失はない』と無罪。バカもいい加減にしろと言いたい。
 当時は最低限価格は設定されていなかったし、仕事が無くて困っている業者は70%を切っても落札いたことでしょう。ある支庁での発注、ある町の2社が工事がほしいと支庁に陳情しどちらも引き下がらず。支庁は決めればはずれた業者が談合を暴露しかねないと恐れ、おまえ達で勝手にしろと、その結果45%くらいで落札されたそうです。本当に裁判官は世間知らずもいいとこです。

 2004年8月高橋知事は道の財源不足を理由に重度身障者や難病患者、高齢者に対する助成金を削減しました。身内に難病患者のいる私は2004年9月1日に高橋知事に官製談合の実態を書き、助成金を削減する前に本命割付による官製談合をやめてくださいと訴えました。しかし、翌2005年になっても官製談合は続けられました。
 9月、大学の先生等で構成される入札監視委員会の一人教授に今までの経過を説明し、官製談合の絶滅を訴えました。大学の先生達は私の資料を会議で示し改善をしようとしましたが、事務局はそのような証拠は掴まえられないと突っぱねたそうです。そう言われればどうしようもなく、年が明けてから公正取引委員会に任せようと言うことになり、資料を公正取引委員会に送付したそうです。
 
 2006年3月21日私は再び高橋知事に官製談合をやめるようメールを送りました。その直後に入札監視委員会の委員長の教授からメール、公正取引委員会から私に会いたいと言ってきたがどうしたらよいかと、私はOKをだし、公正取引委員会の担当者が二人5月10日に東京からきて、前回立ち入り調査後の経過を説明しました。そのうちの一人は前回の立ち入り調査にも関わったとのことでした。
 時あたかも国の鋼橋談合が摘発され、公正取引委員会としてはその他の談合についても立ち入り計画中で、北海道は地域が広いし関係する業者の数も多いから大変だとぼやいていました。特に大手は談合決別を宣言しているが北海道の入札でどのように関わっているか知りたいようでした。その時は確たる証拠がほしいようでしたが持ち合わせず渡すことは出来ませんでしたが、10月になって客観的な証拠が見つかり送付しました。官製談合摘発に役立てばと思っています。
 
 その後、福島県、和歌山県、宮崎県、北海道の深川市など談合の摘発が進んでいますがすべて金が絡んだもの、金の絡まない官製談合も続々と摘発されるよう望みたいものです。
 全国知事会は談合絶滅のため2007年度から1000万円以上のすべての工事等について一般競争入札をするよう申し合わせましたが、高橋知事は当初は北海道では難しいと言っていましたが時期が遅れても実施するようです。
 知事が仮に本命割付をやめなさいと言ってもこれからOBとして天下ろうとしている道の幹部達はハイそうですかとやめそうにもありません。すべて一般競争入札になれば業者は高い金を出してOBを迎入れる必要はなくなります。知事は所詮は女、建設部や農政部の幹部になめられているのでハイハイと言うことは聞かないでしょう。

 1999年の談合摘発以降、業者の中には談合に加担するのは嫌だと言うものも出てきました。そうなると困るのは本命業者、せっかくの仕事がその業者に取られては困るので最低限価格に近い金額で無理矢理落札します。
 また、公共事業が減って困っている業者は『うちだって仕事が無くて困っている。』、『もう課徴金を取られるのは嫌だ』などと言って嫌がらせをします。この場合も本命業者は仕事を取られたくないからぎりぎりの価格で落札します。
 ここ数年、発注者も仕事を細切れにして出さなくなりました。予算の問題もあると思いますがそうなれば小さな業者は仕事が貰えません。そうなれば何のための協会だと言うことになり、協会が中に入って落札後に分割して小さな業者に下請けさせるのです。協会は事前に本命業者を知っているので入札前に取り仕切っています。
 
 北海道の場合は落札率が予定価格に対して95%前後、工業事業が激減して困っている業者は75%で落札しても十分やっていけるのです。公共事業の設計単価が高いのです。民間でしたら道の予定価格の70%以下でしょう。
 高橋知事も95%の落札率を見ておかしいと思わないのが不思議です。入札に関して無知なのです。4月の選挙で建設業界の票が欲しいのかも。
 旭川市は新年度から130万円?以上のすべての工事等を一般競争入札にすることになりました。拍手を送ります。

 毎年数百人の道職員が定年等により退職しています。その中でOBとして再就職するのはほんの一握りの者だけです。天下るOBは退職時の給料保証、その他の恩典があります。仕事が出来るかと言えば入札や挨拶回りくらい、それなら会社の人間の方が安上がりです。官製談合で仕事が貰えるから受け入れているのです。
 全面的に一般競争入札が取り入れられ自由に仕事がとれるようになれば仕事の出来ない給料の高いOBは必要ないのです。いろいろな恩典を加えれば役員より年収の高いOBはたくさんいます。
 天下りを無くすること、協会等との関わりをたつことも官製談合の防止になるでしょう。
 いずれにしても公正取引委員会のさらなる活躍により一日も早く官製談合が絶滅するよう願っています。
  
 3回にわたり北海道の官製談合の実態を書きました。まだまだ書きたいことはありますが一応これで終わります。ご意見がありましたら遠慮無く、質問でも何でもお聞かせください。