こちらv-603.
ちょっと愉しい授業風景をお知らせしましょう。
何かを試みる時の、
~てみます
という表現の勉強風景です。
まず、この表現を使った状況を何例か提示した後、
買ってみます やってみます 聞いてみます 走ってみます などと 動詞のテ形に『みます』をつけさせて、口ならしします。
その後 会話として使える文型を何例か作らせ、発話させ、
~てみたいです という表現を練習していたときのことです。
A: <Dalatに行った>ことがありますか。
B: いいえ、ありません。
A: とても<すずしい>ですよ。
B: そうですか、ぜひ一度<行って>みたいです。
この会話の中の、< >の部分を変えて、ペアーで会話します。
たとえば、
日本のアニメを見たことがありますか。
いいえ、ありません。
とてもおもしろいですよ。
そうですか、ぜひ一度見てみたいです。
< >の中は、教科書や私が提示したものでもいいですが、各自が自由に発想したものを私はいつも尊重します。
温泉に行ったことがありますか。
いいえ、ありません。
とても、きもちがいいですよ。
そうですか、ぜひ一度いってみたいです。
これは、教科書の中の例です。
このとき私が、「サイゴンに一番近い温泉はどこですか」と聞きました。
すると、Cさんが「ブンチャオです」と答えました。
私はベトナムの温泉は、一番近くてフエあたりで、サイゴンの近くにはないと思っていましたから、これは驚きです。
「え、それはどこですか」と私。
「ブンタウのちかくです」と多数。
「何で行きますか。バスで行けますか」
「行けます」Cさん。
このあと、このブンチャオ温泉の話とベトナムではどうやって温泉に入るのかという話でクラスが盛り上がってきました。
「私も行ってみたいです」と私が言うと、Cさんが「旅行会社のツアーがあります。50万ドンです」
と言いました。
「え、高いですね」
「でも、ホテルも、朝と昼と晩のご飯もついています」
「あ、そうか」
「ホテルは三ツ星です」
「え、ほんと、じゃ、安いですね」
「うそです、うそです。星ひとつです」これは、ちゃかすのが得意なHさん。
「ほんとうです。私は、家族と3回行きました」Cさん。
「私は4回行きました」これはCさんと仲のいいSさん。
「え、うそ、うそ、Sさんは一度も行っていません」Cさん。
そのとき、いままで黙って聞いていたNさんが、こんなふうに言いました。
「私のホテルは千ぼしです」
「え、せん?」と私は黒板に『1000』と書きました。
「はい、千の星です」
クラス中が一瞬静かになった後、どっと笑いが起きました。
五つ星どころか、千の星なんですから・・・。
私は、すかさず、このひとことをもらいました。
そして、Nさんを促して、私との会話を始めました。
N: 千星ホテルに泊まったことがありますか。
私: いいえ、ありません。
ここで、Nさんが何というのか興味津々です。
すると、Nさんはこう答えたのです。
N: 安いですよ。
みんなが、大笑いします。
私: そうですか、ぜひ、行って泊まってみたいです。
みんな、大笑いです。
でも、私はこの会話のすばらしさを、みんなにわかってもらいたいと強く思いました。
私が言いました。「千星ホテルは安いです。千星ホテルには、屋根がありません」
また、クラス中が笑います。
「だから、安いです」と、私。
すると、クラス中が「安いです、ただです」「フリー、フリー」と、笑いで沸き上がります。
「かべも、ありません。ね?」と私はNさんと目を合わせます。Nさんが、うなづきます。
みんなは、おんぼろのホテルを想像します。
私は続けます。
「夜になって、空を見ます」
「たくさんの 星が見えます」
「千の星です」
「・・・・・」
みんな、笑いません。
夜空が見える、大自然のホテル・・・。
もう、クラスの全員がこの雄大なホテルを理解しています。
それが、私に伝わってきます。
みんなが、このホテルのすばらしさを理解してくれる・・・。
和やかで、安らかな雰囲気が、クラスにあふれました。
いい学生達だなあ、と私も豊かな気持ちになりました。
ありがとう、みんな。
ちょっと愉しい授業風景をお知らせしましょう。
何かを試みる時の、
~てみます
という表現の勉強風景です。
まず、この表現を使った状況を何例か提示した後、
買ってみます やってみます 聞いてみます 走ってみます などと 動詞のテ形に『みます』をつけさせて、口ならしします。
その後 会話として使える文型を何例か作らせ、発話させ、
~てみたいです という表現を練習していたときのことです。
A: <Dalatに行った>ことがありますか。
B: いいえ、ありません。
A: とても<すずしい>ですよ。
B: そうですか、ぜひ一度<行って>みたいです。
この会話の中の、< >の部分を変えて、ペアーで会話します。
たとえば、
日本のアニメを見たことがありますか。
いいえ、ありません。
とてもおもしろいですよ。
そうですか、ぜひ一度見てみたいです。
< >の中は、教科書や私が提示したものでもいいですが、各自が自由に発想したものを私はいつも尊重します。
温泉に行ったことがありますか。
いいえ、ありません。
とても、きもちがいいですよ。
そうですか、ぜひ一度いってみたいです。
これは、教科書の中の例です。
このとき私が、「サイゴンに一番近い温泉はどこですか」と聞きました。
すると、Cさんが「ブンチャオです」と答えました。
私はベトナムの温泉は、一番近くてフエあたりで、サイゴンの近くにはないと思っていましたから、これは驚きです。
「え、それはどこですか」と私。
「ブンタウのちかくです」と多数。
「何で行きますか。バスで行けますか」
「行けます」Cさん。
このあと、このブンチャオ温泉の話とベトナムではどうやって温泉に入るのかという話でクラスが盛り上がってきました。
「私も行ってみたいです」と私が言うと、Cさんが「旅行会社のツアーがあります。50万ドンです」
と言いました。
「え、高いですね」
「でも、ホテルも、朝と昼と晩のご飯もついています」
「あ、そうか」
「ホテルは三ツ星です」
「え、ほんと、じゃ、安いですね」
「うそです、うそです。星ひとつです」これは、ちゃかすのが得意なHさん。
「ほんとうです。私は、家族と3回行きました」Cさん。
「私は4回行きました」これはCさんと仲のいいSさん。
「え、うそ、うそ、Sさんは一度も行っていません」Cさん。
そのとき、いままで黙って聞いていたNさんが、こんなふうに言いました。
「私のホテルは千ぼしです」
「え、せん?」と私は黒板に『1000』と書きました。
「はい、千の星です」
クラス中が一瞬静かになった後、どっと笑いが起きました。
五つ星どころか、千の星なんですから・・・。
私は、すかさず、このひとことをもらいました。
そして、Nさんを促して、私との会話を始めました。
N: 千星ホテルに泊まったことがありますか。
私: いいえ、ありません。
ここで、Nさんが何というのか興味津々です。
すると、Nさんはこう答えたのです。
N: 安いですよ。
みんなが、大笑いします。
私: そうですか、ぜひ、行って泊まってみたいです。
みんな、大笑いです。
でも、私はこの会話のすばらしさを、みんなにわかってもらいたいと強く思いました。
私が言いました。「千星ホテルは安いです。千星ホテルには、屋根がありません」
また、クラス中が笑います。
「だから、安いです」と、私。
すると、クラス中が「安いです、ただです」「フリー、フリー」と、笑いで沸き上がります。
「かべも、ありません。ね?」と私はNさんと目を合わせます。Nさんが、うなづきます。
みんなは、おんぼろのホテルを想像します。
私は続けます。
「夜になって、空を見ます」
「たくさんの 星が見えます」
「千の星です」
「・・・・・」
みんな、笑いません。
夜空が見える、大自然のホテル・・・。
もう、クラスの全員がこの雄大なホテルを理解しています。
それが、私に伝わってきます。
みんなが、このホテルのすばらしさを理解してくれる・・・。
和やかで、安らかな雰囲気が、クラスにあふれました。
いい学生達だなあ、と私も豊かな気持ちになりました。
ありがとう、みんな。
◆ ぼくは、タイの「空気」は好きなのですが、バンコクは嫌いです。バンコクの夜空には★が一つも無いからです。本当に星一つすら見えません。◆ 経済的にはうんと貧しい地域ですが、こちら東北部の田舎の夜空は、年のせいで視力の霞んできた自分にさえ無数の星が見えてくれて、子どもの頃に母と一緒に行った銭湯への夜道の香りとか、「ああ、あれが天の川……」と初めて意識した、蛍狩りへの道すがらなどを思い出したりすることのできる夜空です。