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本の感想

本の感想など

映画 マイエレメント

2023-08-16 13:51:38 | 日記

映画 マイエレメント

 ディズニーのアニメで、小さい女の子向きであって確かに観客はそういう女の子が家族連れで多い。エレメントとは、自分の成分則ち「火」であるか「水」であるか「木」であるかであって、成分が違うと心を通じ合えないというのがテーマになっており、人種問題を抱えるアメリカではアニメにするような軽々しい題材ではないような気がする。しかし、そこを無難にこなしハッピーエンドに持ち込むのはさすがのシナリオになっている。しかし日本のお嬢ちゃんには果たしてその値打ちがわかるのかなと思ってしまう。

 時代は家族経営の小さなお店が成り立っていたアメリカで、父親が娘の経営に対する姿勢を指導する反発する受け入れるなどの感情的なやり取りがうまく描かれており昭和40年50年代の日本映画を彷彿させる。寅さんの映画のアニメ版アメリカ版と見ることができる。これがお盆に上演されて家族で見に来るのであるから、歴史は繰り返すと言いたくなる。

 アメリカは厳しい競争社会と思い込んでいたが、案外ほろっとさせるような映画の作り方もするものである。そういえば、昭和40年50年の日本もなかなかの競争社会であって、それでもというべきかだからというべきかお盆には寅さんを見に行ったのであるから、同じようなことかもしれない。

 ただ時代背景が日本でいう集団就職で、家業を廃止して会社へ勤めるかどうかというような時代設定である。しかも日本ではなくアメリカの個人営業のお店である。日本のお嬢ちゃんにはその情緒を理解することは至難であろう。アメリカのお嬢ちゃんでも難しかろう。案外一緒に見に行った若い両親にも理解できずに一緒に見に行った祖父母がその情緒を理解できるかもしれない。あのディズニーが、ターゲットとするお客の心情をリサーチしていないわけがない。ターゲットを祖父母においている可能性がある。

 アメリカのアニメは相当進んだ技法を開発したようである。絵に表すことの難しい炎の揺らめきを上手に表現し、背景の描き方は実に気合の入ったアート作品になって居る。これでは日本のアニメはとても太刀打ちできないだろう。

 日本市場向けに店の看板などを日本語にしてある。まさかアメリカ公開版も看板日本語じゃないだろう。してみると必要なところを別々に撮ったと見られる。お客に合わせて芸の細かいことである。とかく何かというとアメリカの製造業の衰退を揶揄する論調が見られるが、この映画をみる限りではそんなことは絶対ない。揶揄すべきは日本のアニメの衰退ではないか。


ショック・ドクトリン (NHKテキスト 100分DE名著テキスト)⑤昔官僚主義 今ドクトリン

2023-08-12 10:14:46 | 日記

ショック・ドクトリン (NHKテキスト 100分DE名著テキスト)⑤昔官僚主義 今ドクトリン

 むかしの官僚制度は酷かった。消費者に選択の自由がなかった、しかもバカ高い。休暇の取り方まで指定されていて、国民休暇村というのがあった。お役人がすべてを決めて、さらに自分たちは天下りというものをしていい思いをする時代があった。流石に評判悪くてそれらは廃止になったが、それに代わるものがドクトリンである。

 人々を羊のように管理しある一定の方向へながれるようにする。牧羊犬に依るのがショックドクトリン、ホ~ホ~と言って誘導するのが私の言うソフトドクトリンである。ある一定の政策(ドクトリン)が安全だけではなく個々人の心の満足人生の充実につながっているかどうかの検証がなされているかどうかが問題である。とても検証されているとは思えない。

 最近電気代が半分くらいになることがあった。これも何を狙っているのかだれも議論しない、アリガタイとだけ思っているヒトがほとんどだろう。タダほどあとで高くつくものは無い。何を狙っているのか、是非優秀なAIにその狙いを聞いてみたいものである。最近は政策もAIが作成するらしい。ならば在野にも優秀なAIを揃えて対抗策をたててはじめて治まる時代にならないか、何事も力が拮抗しているというのが平和な時代である。一方的にやられ放しというのは絶対いけない。

 

 いい悪いは別にして羊を飼うがごとくに人間を管理する思想がショック・ドクトリンであろう。羊を飼うのは万里の長城の北側だから自分たちにあんまり関係ないように思っているけど、イソップ物語を読むとギリシアのあたりも羊とオオカミは出てくる。ヨーロッパや中東には羊を管理する思想があるに相違ない。現に文字「A」(アルファ)は羊の頭を上から見た時の象形文字だという。三番目の文字「Γ」(ガンマ)になってやっと小麦の象形文字が現れている。

わが国は古代から羊を管理する文化を持たなかった。管理するのはせいぜいが農家の庭先で飼うニワトリくらいなものであろう。ショック・ドクトリンに対する耐性も免疫も何もない。外来の方策をむやみに日本に導入してはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ショック・ドクトリン (NHKテキスト 100分DE名著テキスト)④ソフト・ドクトリン

2023-08-10 11:07:38 | 日記

ショック・ドクトリン (NHKテキスト 100分DE名著テキスト)④ソフト・ドクトリン

 我が国には、ショックのどさくさ紛れにというのは少なくて甘言を弄して政策を導入するというのが多くないか。ソフト・ドクトリンというべきものである。

近頃かなり緩んできて機能しなくなっているが、受験勉強の競争というのがあった。なかなか厳しいもので最盛期にはこれが原因で心の病に陥る人がいくらも出た。わたしは実例をいくつも見た。受験競争に勝ち残ったヒトは、目の前に出された問題を必死で解こうとする習性を身に付ける。会社経営のヒトにとっては実にありがたい人材である。いや会社の中の課題よりもっと大事なことや問題があるとか、自分の人生には趣味の方が大事とか、仲間と連帯して労働運動が大事とか言われると困ったことが起こるがこの習性を身に付けた部下ほどありがたいものは無かろう。何しろ仲間は敵であるとの構造の中で鍛えられているのである、受験競争の延長上で出世競争に乗り出すであろう。ヒトを競争させるのが組織運営の肝である。(これは古い日本人の気持ちにはしっくりこないものである。)今でも受験競争をあおろうとする人を見かけるが、この人会社経営のヒトのしもべをやってるんじゃないかと疑う。

最近のだと男女雇用機会均等がある。いい話じゃないかと思うかもしれないが、これを会社経営のヒトから見るとかなりアリガタイ制度である。労働マーケットに二倍の人材が供給されるのである。給料は低く抑えられるし、優秀な人材が増えるに決まっている。

 石油消費で地球の気温が上がるという。これも電気自動車をこれから流行らそうという作戦の一環で、電気自動車製造販売の会社経営のヒトにとってはアリガタイ説である。

 およそ社会全体に大変いいことですよという説には、なにか後ろ暗いものがあるようなところがある。しかしだからと言ってそれ全部いけませんという訳にも行かない。ミヒャエル・エンデの「モモ」を読んでいて強く思ったことであるが、「時間貯金」をしなければそれは金利のない世界に住むということであるから物資の製造がおろそかになる。モモ自身も三度の御飯を食べ 服を着 夜のねぐらが必要であったはずだから、金利のない世界すなわち「時間貯金」のない世界は夢物語に過ぎない。程度問題であって、「モモ」に出てくる灰色の男たちは迷惑だからやっつけてしまえと言うわけにはいかないであろう。灰色の男たちの繰り出してくる政策に十分な修正を加えて弊害が小さくなる努力をもっと払う必要がある。できてしまった物はできていない昔に戻せない。しかし立案段階で素人がこの政策にはこういう副作用があると言い出すのは無理だろう。マスコミだけにその責を担わせるのは無理で、与党も含めた各政党が優秀な人材を集めたシンクタンクを作ってオープンな議論をやり政策に修正を施す必要がある。政党助成金はそういったシンクタンクの維持費に充てるべきもので、大声で候補者の名前の連呼に充てるべきではないような気がする。

 

 ナオミ・クラインの原著を読んでいないけど、結論はこういうこともあるので騙されないように注意深くなりましょうということに留まりそうである。

 


ショック・ドクトリン (NHKテキスト 100分DE名著テキスト)③フリードマンさんに対する提言

2023-08-09 14:39:30 | 日記

ショック・ドクトリン (NHKテキスト 100分DE名著テキスト)③フリードマンさんに対する提言

 私はなぜ新自由主義を無理して世界に広めるのかを不思議に思っている。広めるにはコストも危険もある。自分のところが繁栄しているだけで、世界の他のところからは貿易お願いしますと言ってくるはずだからなにも無理する必要はない。他国に自国の文化を押し売りする必要があるのか?世界中を自国と同じ文化にしてしまうと退職後に世界旅行をする楽しみがなくなってしまうとフリードマンの弟子であるシカゴボーイズ(シカゴ大学卒業生だからこの名がある)に言ってやりたい。

 三蔵法師そのほかがわざわざインドまで出向いたには仏教に魅力ありと認めたからであろう。そのようにして思想が広まるのならまだいいけど、フリードマンさんは新自由主義の思想を押し売りしている。思想は押し売りするものではない、例えば私は「なるたけぐうたらにしてお気楽に生きていく」主義を標榜していてなかなかいいものだと思っているが、これを世間に広めようとは思わないしましてや押し売りしようとは絶対思わない。自分だけの楽しみである。

 どうやら思想というのは、静かに発見されるのを待つというけなげなところが無いようである。自分の方から盛んに売り込みに行く。伊藤若冲さんは自分の絵を評価してくれる人を「百年具眼の士を待つ」と言ったそうである、フリードマンさんも若冲に習えばどうか。そんなにいいものなら自然と広まるんではないのか。

 

 もう一度あの何でもありの初期資本主義の精神に立ち戻れというのが新自由主義で日本人とこれとが相性が悪いのはこんなことが理由と考えられる。本郷和人さんの説によると、鎌倉武士団の発祥は共同して各人の土地を守るために始まったという。その場合のトップは皆が推戴した人物であり無能とか自分たちのことから遊離したとかとなると容赦ない仕打ちをしたが、一方仲間の土地を守るためには命懸けの戦いもした。源実朝は都の文化に心惹かれたので容赦ない仕打ちにあったし、おとーさんの頼朝はそれを知っているので都には近づかなかった。(気の毒に都の美女に心惹かれていたであろうに、北条政子のみであったらしい。美女と命とが引き換えになっているとたいていの人は命の方とりますから。)

 この仲間のために命懸けで働くという精神が今の日本人に受け継がれているようにみえる。つい最近まで日本人の会社に対する忠誠心はモノ凄いものがあった。その忠誠心はトップに対するものではなく仲間に対するものであった。それには弊害も大きかったがおかげで高度経済成長したところもある。日本人は、仲間に忠誠を尽くす時に快感を感じる文化を持っているのである。(危ない面もおおきいから少しづつでも変えていかねばいけないけど)

 一方西洋は、古代に奴隷制であった。(ソクラテスもプラトンも奴隷に生産を任せて自分たちは気ままな議論にふけっていた。)いかにして奴隷を効率的に働かせるかが西洋で磨かれてきた政策であろう。もちろん新自由主義はこの系譜の一番最後に乗っかっている。仲間に忠誠する快感を持っている社会(それはそれで欠点も多いが)に、そんな古代西洋から伝わる政策から出てきた智慧が根付くはずがない。竹の根に檜の苗木を接ぎ木するようなもので両者とも一気に枯れてしまう。

 そこでフリードマンさんに言いたい。よその国にご自分の思想を広めたいなら、よほどその国の人々の心的傾向を理解して、こちらの売り込みたい思想をそれに適合するように変形してからしないと両方ともダメになってしまいますぞ。最近の日本人の引きこもりの増加にダメの兆しがある。または「働いたら負け」という標語にもそれは感じられる。日本のシカゴボーイズの皆さん、ここが考えどころですぞ。枯れた国からは利益が上がらないことに早くお気づきになるように。


ショック・ドクトリン (NHKテキスト 100分DE名著テキスト)②

2023-08-08 15:56:15 | 日記

ショック・ドクトリン (NHKテキスト 100分DE名著テキスト)②

 どさくさ紛れにこの新自由主義の政策を注入するということで、チリのクーデターの時の注入実例を挙げている。わが国の国鉄民営化は特段のことのない時であったし、電電公社がNTTになったのは日本が調子のよい時であった。どさくさ紛れではない。しかし、終身雇用が崩壊するような法案が通ったのはバブル崩壊後の経済混乱して倒産企業が多く出た小泉政権の時であったから、クーデターほどのことはないにせよどさくさ紛れであった。これを日本のショック・ドクトリン注入の実例にするのがいいのではないか。

 あのころはもう日本経済はあかん、お先真っ暗やという報道ばかりが流されていたが終身雇用をやめる法案が通ってしまうとそのあとはそんなひどいことは起こらなかった。日本に新自由主義を根付かせるためにバブル崩壊をひきおこしたのなら、巨大な経済を手のひらで転がすことができるということで新自由主義者は相当大きな力をお持ちと考えられる。大金を操作して金融市場に混乱を引き起こし多くの経済学者に恐怖をあおる発言をさせそのすきに法案を通す、そんなことが本当にできるのだろうか。ここはナオミ・クラインさんの原著を読むのが良いと思うが外国のヒトの本は分厚い上に読みにくいので躊躇する。

 次にショックを起こしてまでも新自由主義の法案を通したいのは間違いなく国民健康保険であろう。保険財政はもう持たないと言われて久しい。法案の原案はもうできているのだそうである(ちょっと先走った予想かも)、ちょっと見せてもらいたいもんだ。もうすでに医療を提供する会社は日本にもできているらしい、この会社はこの法案によって巨大化することが予想される。革命に近いような大きな変化がおこるだろう。

 そのときの混乱を起こすために、日本の財政破綻のうわさを盛んに撒いているのかもしれない。それでもし日銀の金庫の中にあるおカネより大量のおカネを動かすことができれば、国債を売り崩すことはできるから。夏の夜の怪談話であればいいんだけど。

 ついでに、竹中平蔵さんはミルトン・フリードマンの弟子だそうでそれは納得できるが、前の前の日銀総裁白川さんも弟子なんだそうである。黒田さんの名前はここにはなかった。

 さらにこんな内容の本がアノNHKから出版されていることに驚く。なにか深い深い裏があるのか、と勘繰りたくなる。本当なのかと疑いたくなる本である。新自由主義者のことが嫌いだけどよく知っているという人がこの本を書いている。新自由主義が嫌いという人がお読みになるのに適した本である。