『死国』、『狗神』が映画化されて話題になった
直木賞作家・坂東眞砂子さんの最新作『傀儡』は
鎌倉時代を舞台に
中国から禅宗を伝えるために渡って来た僧侶と
一族を侍によって惨殺された農民
さらに諸国を廻る傀儡たちの運命が交錯し合う重厚な作品
ストーリーの細部は…ブログがつぶれちゃうのでこれ以上は書きませんが
まぁ、色んな人たちが出るんだと推し量ってください。
本書の舞台となる鎌倉時代初期は
一面で、華やかな貴族文化に代表され
反面で、天狗や魑魅魍魎の類が跋扈した平安時代に近接しています。
また同時に、鎌倉幕府を打ち立てた武士たちによる粛清の真っ只中でもあり
別の角度から見れば、鎌倉新仏教と呼ばれる仏教の諸理論が花開いた時代でもあります。
本書では全編通じて、こうした鎌倉時代特有が的確に表現され
読んでいる最中、それがずっとまとわりつきます。
帯には
―戦いを好む者には、禅は魅力的に映るのでしょう
と書かれてあったり
主人公の僧侶が、鎌倉仏教のどれにも親近感を抱けず
最終的に、民衆の躍念仏の中に、仏と一体となる智慧を見出す
という展開がとても著者らしく感じました。
個人的には、
本書の前提となってる鎌倉仏教の認識が教科書レベルの古めかしいものに感じたり、
主人公(←たぶんに筆者の思考が投影されていると思われる)の問題意識やたどり着く結論に対しては、大いに疑問を感じますが
ともあれ、小説としてとても面白く読みました。
そもそも作品の絶対数が少ない鎌倉初期を舞台に選んだという点
また、このご時世
宗教屋さんの立場からでも
スピリチャルな立場からでもなく
真っ正面から宗教を取り上げる心意気がステキです。
多少のデッドボールでも、笑顔で進塁できる方のみお読みください。
直木賞作家・坂東眞砂子さんの最新作『傀儡』は
鎌倉時代を舞台に
中国から禅宗を伝えるために渡って来た僧侶と
一族を侍によって惨殺された農民
さらに諸国を廻る傀儡たちの運命が交錯し合う重厚な作品
ストーリーの細部は…ブログがつぶれちゃうのでこれ以上は書きませんが
まぁ、色んな人たちが出るんだと推し量ってください。
本書の舞台となる鎌倉時代初期は
一面で、華やかな貴族文化に代表され
反面で、天狗や魑魅魍魎の類が跋扈した平安時代に近接しています。
また同時に、鎌倉幕府を打ち立てた武士たちによる粛清の真っ只中でもあり
別の角度から見れば、鎌倉新仏教と呼ばれる仏教の諸理論が花開いた時代でもあります。
本書では全編通じて、こうした鎌倉時代特有が的確に表現され
読んでいる最中、それがずっとまとわりつきます。
帯には
―戦いを好む者には、禅は魅力的に映るのでしょう
と書かれてあったり
主人公の僧侶が、鎌倉仏教のどれにも親近感を抱けず
最終的に、民衆の躍念仏の中に、仏と一体となる智慧を見出す
という展開がとても著者らしく感じました。
個人的には、
本書の前提となってる鎌倉仏教の認識が教科書レベルの古めかしいものに感じたり、
主人公(←たぶんに筆者の思考が投影されていると思われる)の問題意識やたどり着く結論に対しては、大いに疑問を感じますが
ともあれ、小説としてとても面白く読みました。
そもそも作品の絶対数が少ない鎌倉初期を舞台に選んだという点
また、このご時世
宗教屋さんの立場からでも
スピリチャルな立場からでもなく
真っ正面から宗教を取り上げる心意気がステキです。
多少のデッドボールでも、笑顔で進塁できる方のみお読みください。